[PR] ホワイトニング 非思量

Queensrÿche(Queensryche)@赤坂Blitz(2009.8.23)

2009年08月26日 22:58

前回より随分と会場の規模が縮小されてしまったが、前回も客の入りが芳しくなかったようなので仕方あるまい。むしろ来日したこと自体に驚いたぐらいで。

開演30分前に会場に着いたが、なかなか恐ろしくなるぐらいのガラガラっぷり。前方4分の1は人だかりが出来ていたが、その気になれば余裕で突っ込んでいける程度の密度。どうなることかと思ったが、気がつけば(ちなみに私は真ん中より少し後ろにいた)ソコソコの入り。密度がそれほど高くないので実数としては知れているだろうが、閑散といったことは全くなく、むしろ年齢層の高いオーディエンスにとってはそこそこの密度で快適にライヴを楽しめる環境だった、ということにしておこう。

何やら機材のトラブルとかで20分遅れでスタート。全米ツアーに帯同していたサポートのキーボード奏者の姿はなく、ステージもスクリーン等の仕掛けもないシンプルなもの。 セットリストは以下の通り。

  1. Neue Regel
  2. The Whisper
  3. The Killing Words
  4. Gonna Get Close To You
  5. Walk In The Shadows
  6. London
  7. Sliver
  8. Hundred Mile Stare
  9. At 30,000 Ft
  10. If I Were King
  11. Best I Can
  12. The Thin Line
  13. One And Only
  14. Della Brown
  15. Another Rainy Night(Without You)
  16. Jet City Woman
  17. Anybody Listening?
    Encore
  18. Empire

 



「Operation:Mindcrime II」で来日時に新宿で観た時はギターの音がデカすぎてヴォーカルが埋もれ気味だったが、今回は“Neue Regel”の出だしこそ少々ヴォーカルが引っ込み気味だったものの2曲目以降はバランスも良好。Geoff Tateのヴォーカルを堪能することができた。

そのGeoff、さすがにレンジがシャレにならないほど高い「Rage For Order」パート(1〜6曲目)こそ、出し切れない高音を表現力でカヴァーする(あるいは観客にマイクを向けて任せてしまうとか。“Walk In The Shadows”ギターソロ後のスクリームのところでマイクをこちらに向けてきたときは「そらあんまりだ」と思った)場面が散見されたものの、最新作ゆえ無理なく歌える中盤の「American Soldier」パートや、ハイトーンを駆使する場面があまりない後半の「Empire」パートでは卓越した歌唱をいかんなく披露。この人の声の良さはもう天性のものですな。

すっかり余裕綽々な「おやじロッカー」と化したMichael Wilton(G)&Eddie Jackson(B)と、ひたむきなプレイを見せていた名前のわからない(“One And Only”の前に紹介されてたけど忘れた)若いギタリストa.k.a.Geoffの娘婿も良かったが、私は主にScott Rockenfield(Dr)のプレイに釘付け。“Della Brown”でのハイハットの使い方とか、思わず見入ってしまった。

ここで終わると前回のライヴレポと書いてることがあまり変わらないので、他のことも書いておかないと。

まずセットリストについて。22日から中身を結構いじってきたようで、“The Killing Words”“Another Rainy Night(Without You)”を聴けるとは正直思っていなかった。嬉しい。その代わり“I Will Remember”“Silent Lucidity”などはカット。後者が聴けなかったのは悲しい。

「American Soldier」からは4曲の演奏に留まったが、正直なところ最もパフォーマンスが充実していたのはこのアルバムからのパートだったように思う。曲数が少ないのはアルバムの人気がイマイチと判断してのことだろうが“Sliver”は結構盛り上がっていたし、できれば“The Killer”“Man Down!”あたりも演奏して欲しかったところ。

しかしまあそれに続く「Empire」パートの盛り上がりを考えればそうなるのも仕方ないかな、と思えたり。特に“Best I Can”のイントロで上がった歓声はその日一番だったと思う。今読み返して気づいたが「Empire」から8曲もやったのか。いっそのこと“Resistance”“Silent Lucidity”“Hand On Heart”も加えて全曲再現すればよかったのに。ほら、そういうの最近流行ってるし。

あと、この日の観客について。相当コアなファンが集っていたという印象で、Geoffの煽りが上手いこともあるが、数は少ないながらも相当な盛り上がりを見せていた。アンコールの“Empire”が終わった後も手拍子をしている人がソコソコいて(私もしていた)、客電がなかなかつかないので期待したのだが残念ながら三度の登場はならず。満足の中に微妙に物足りなさが残る105分間だった。アソコで出てきてくれれば言うことナシだったんだが、とっとと会場を出てる人もいたから、しゃあないか。

凄く楽しかったのだが「次はないかも」という前回来日時も抱いた危惧は払拭されず。やはり「Hear In The Now Frontier」以降の約10年に及ぶ空白期間(活動を停止していたワケではないので正確な表現ではないが)は痛すぎる。客の少なさ&年齢層の高さ(10代はおろか20代ですら皆無だったかも知れない)は致命的。演奏も上手いが、特にGeoff Tateの表現力はハンパではないので、フェスとかに呼んで「Operation:Mindcrime」「Empire」の曲ばかりやれば若いファンの開拓も可能なのではないか、と思うんだがなあ。フェスの運営に携わっている方、一度ご検討いただけませんでしょうか。

1997年〜2006年の10枚+1(序文)

2009年08月11日 22:46

※最終回となる第11弾アップしました。このエントリーの真下にあります。(09/08/11)

企画モノ始めます。テーマはタイトルの通り。

まあ、今までどおりCD/DVDのレビューを行うだけですが、ちょっと旧譜も取り上げてみようかな、と。選考基準は
  1. 以前「cota:marine 475」というサイトをやっていた時に取り上げた
  2. 購入してから結構時間が経ったけど今でもちょくちょく聴く
で、特に2番目の基準を重視したので、発売から1年ほどしか経っていない2007年以降の作品と、「あまりCDを持っていなかったので同じのばかり聴いていた/熱中のあまり聴き過ぎたため、逆に今はあまり聴かなくなった」1996年以前の作品は除外。特に後者の時期の作品を含めるとオールタイム・ベスト的な性格が強くなってしまい、今回の趣旨から外れるというのもあります。ただ、1996年リリースの作品を1枚だけ含めました(それがタイトルの「+1」)。

「この10枚が1997年〜2006年のベスト10だ!」と言いたいワケではありませんし、例によって大半の日本人の人生に縁がなさそうな音楽の話ばかりになりますが、私にとってはそれなりの年月を経てなお重みを失わない、良い音楽をチョイスできたと思っております。通常のレビュー等と並行してボチボチやっていきますので、お付き合いくださいませ。ちなみに、登場順は単なるアルファベット順です。

※このレビューをアップするたびにこの記事を一番上にもってきます。この下にレビュー一覧のリンクをはっていく予定です。
  1. Art Zoyd「u.B.I.Q.U.e」
  2. Bill Bruford With Ralph Towner And Eddie Gomez「If Summer Had Its Ghosts」
  3. Chris Cornell「Euphoria Morning」
  4. Devin Townsend Ocean Machine「Biomech」
  5. Disillusion「Gloria」
  6. James LaBrie's Mullmuzzler「2」
  7. Nik Bärtsch's Ronin「Stoa」
  8. 今沢カゲロウ「BassDays」
  9. Rachel's「Music For Egon Schiele」
  10. Rush「Rush In Rio」(DVD)
  11. Univers Zero「The Hard Quest」

Univers Zero「The Hard Quest」(1999)

2009年08月11日 22:43

thehardquest.jpg 

※「1997年〜2006年の10枚+1」第11回→他のレビューはこちら

'78年にデビューし、RIO(Rock In Opposition)なる反商業主義的な音楽を志向するムーヴメントの中で活動、'87年に一度解散したベルギー産バンドの再結成第一弾(6th)。なお、バンド名は「ユニヴェル・ゼロ」と読む。

主にアコースティック楽器(ベースはエレクトリック)を用い、室内楽の精緻なアンサンブルとロックが持つダイナミクスの融合を目指したチェンバー・ロックと呼ばれるジャンルの嚆矢の1つで、部分的にはMagmaに通じるところもあるかも知れない。ドラマーがイニシアチヴを握っている点も共通している。ただ、祝祭的かつ宗教的な高揚感を漂わせ、ある種冗談の通じなさそうな暑苦しさを持つMagmaに対し、Univers Zeroの方は内向的で陰鬱、厳格でありながらどこか屈折したユーモラスさを(微かではあるが)漂わせている。

前述の定義に従えば、最もチェンバー・「ロック」している3rd「Ceux De Dehours」('81)及び4th「Uzed」('84)が一番「らしさ」を感じさせるのだが、「The Hard Quest」においてそのようなハードな側面を見せるのはラスト前の10曲目に収録された“Xenantaya”ぐらいで、そのほかの曲は、一歩一歩足元を確かめながら歩むような感じでガッチリと構築された、無機質かつ前衛的なアンサンブルを聴かせる。

アコースティック楽器の透明感のある音色はなぜか殺風景な世界を現出せしめ、高音域を駆使するベースは聴き手に不安や混沌をもたらす。爽快感は皆無で、聴いていて鬱になるタイプではないが、平和の中に潜む静かな狂気を感じさせる音楽である。

正味な話、再結成後の作品は芳しい評価を得ているとは言い難い気がする(というか、そもそもあまり言及されていない)のだが、ひたすら不吉なイメージを刻み込むことに全力を注いでいるアングラ色タップリな1st、2nd(これはこれで捨てがたい)や、音楽的には飛躍的な技術的向上を見せつつそのユーモア感覚(あと音質)ゆえに(あくまでも曲によっては、だが)少々「軽さ」を感じさせる部分がないでもない3rd〜5th(一般的に評価が高いのはここかも)よりも、歪んだ陰鬱さがより明快に表現されたこの作品が個人的には最も好みである。この時期の彼らのフォロワーというのは恐らく存在しないので、なかなか他では聴けない音だと思うよ。


Univers Zero“Civic Circus”

Rush「Rush In Rio」(2003)

2009年07月17日 22:55

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※「1997年〜2006年の10枚+1」第10回→他のレビューはこちら

The BeatlesもLed ZeppelinもThe Rolling StonesもBlack Sabbathも…ええと、後は何があるかな?とにかく、年寄りからでも若者からでも(勿論、その両方からでも)いいのだけれど「これを聴かずしてロックを語るなかれ!」みたいな扱いを受けてるミュージシャンてどれくらいいるんですかね?恐らくその大半を私は聴いていないか少しかじっただけで「ま、これはいいや」とうっちゃったままにしてあるのだが、そんな私が数多ある伝説的ミュージシャンを差し置いて「これを聴かずしてロックを語るなかれ!」と声を大にしてお勧めしたいのが「Rush In Rio」である。

Rushも十分伝説的な存在だとは思うが、まあその話しは置いておくとして、この作品はDVD、即ち映像も込みで1つの作品である。というワケで今回はCDではなく、DVDのレビューである。正味な話し、コレはDVDで観ないと意味がない…とまでは言わんが、得られる感動が10倍ぐらい違うので、是非映像込みで鑑賞して欲しい(高いのがネックなんだが…)。

2002年発表の「Vapor Trails」アルバムのツアーを収録したもので、タイトルの通り、収録会場はブラジルのリオデジャネイロが選ばれている。ブラジルでの3日間で計12万5千人を前にして演奏したそうで、最終日のリオには4万人のフリークが集結している。

そう、フリーク。この日の観客にはまさにその呼称が相応しい。1曲目“Tom Sawyer”のイントロで早くもクライマックスに到達。主の帰りを喜ぶ忠犬のように昂ぶる感情を爆発させ、踊り、歌う。1曲終わるごとに爆音のような歓声。インスト“YYZ”ですら彼らは歌う。圧倒的なオーディエンスの反応に誘発され、バンドの演奏もまた、熱を帯びていく。まさに理想的なライヴのあり方であるが、特筆すべきは観客の熱狂ぶりがハンパではないことだ。飢えた野獣でももう少しジェントルだろう。日本人には到底マネできない、これがブラジリアン・クオリティ。このDVDのMVPは間違いなく彼ら。 

私もここにいたかったと思うと同時に、日本での公演が半ば絶望的なことを思い知らされる映像でもある。要は「これくらい客(=金)を集めないと北米から遠く離れた地には来てくれない」ということだから。豪州やシンガポールあたりとセットでアジア・ツアーでも組めば4万人も集める必要はないが、それでも大阪城ホールや横浜アリーナぐらい満杯に出来ないとダメだろう。新宿厚生年金会館ぐらいなら満員にできるかも知れないが、それでは話しにならんのである。冷静に考えたら、日本じゃムリよね。

Rushのファンでもなんでもない友人にこのDVDを貸したら、3時間に及ぶライヴを「ぶっ通しで4回連続観た」そうである。アホだ。アホだが、ファンでもなんでもない人間をそれだけ釘付けにできるだけの凄さがある、ということだ。新旧取り混ぜた選曲もベストオブとして最適、“La Villa Strangiato”やDisc 2に収められたドキュメンタリーでのAlex Lifeson(G)のお茶目すぎる振舞いなど、見所は有り余るほどある。3人の演奏は言わずもがな。一家に一枚、究極の一枚(2枚組だから二枚か)であります(海原雄山のほうが好きと仰るなら「至高の二枚」でもいいです)。




「Rush In Rio」より“YYZ”。ファンの熱狂ぶりに刮目せよ。

Jamie Saft「Black Shabbis」(2009)

2009年07月13日 22:05

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ユダヤ系(恐らくアメリカ人)の鍵盤奏者、Jamie SaftがJohn Zorn主催のTzadikレーベルからリリースしたブラック・メタル(!)のアルバム。ブックレットのSaft本人の楽曲解説には「blood libel(直訳すれば『血の侮辱』)」「anti-Semitism(反ユダヤ主義)」という言葉が頻出しており、長きに渡るユダヤ人迫害の歴史に関する「反・反ユダヤ主義」とでも言えそうな彼の見解や主張が記されているものと思われる(英語力がないので意味がよくわからんのです…)。

ピアノ・トリオでBob Dylanの曲をジャズ調にアレンジして演奏したりしてるような人が作ったこのアルバム、果たしてマジなのかジョークなのか、さっぱりわからん。ジャケットやタイトルを見るとギャグにしか見えないけどなあ。でもブックレットの内容は真剣そのものに見えるし。

大昔の海外ハードボイルド・ドラマのオープニングみたいな1曲目でいきなるズッこけるが、そこからはオビでSlayerやBlack Sabbathの名前が記載されているのも納得なスラッシュ〜デス〜ドゥーム路線のオンパレード…と思いきやなぜかオビで並んで記載されているAlice Cooperに通ずるパーティ・ロックっぽいフレーズ(音像としてはデス〜ブラックなんですけどね)が。オビに「returns to his roots」とあるが、やっぱオマエ、こういうのがやりたかっただけだろ。

このテの音は普段は全然聴かないので本職との比較はできないが、Saft本人が一部のベース、ドラム、ヴォーカルを除く全楽器(ギター、ベース、ヴォーカル、オルガン、メロトロン、オプティガン、シンセサイザー)を担当しており、なかなかに気合の入った音。ユダヤ人虐殺が行われたポーランドの地名をそのまま曲名に冠し、まさにその虐殺を音で表現したようなドローン・ドゥーム“Kielce”や、不安定な女性Voがリリカルでキャッチーな歌メロを聴かせる“Remember”など聴かせる曲もあり、その混沌ぶりが結構楽しい怪作。普段ここで紹介している作品にも増して一般向けではありませんが。



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