小比類巻かほる@名古屋ブルーノート(2018.5.3)

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2月にGoGo Penguin新譜を買った際、帯に書いてあった来日公演情報をもとに名古屋ブルーノートの公式サイトを眺めていてたまたま見つけた小比類巻かほる(以下Kohhy)ライヴ。GW後半の初日で都合もつきそうだったので「観られる時に観ておこう」と思い行ってきました。高校生ぐらいの頃、短い期間(TDK在籍時後半~徳間ジャパン在籍時まで)ではあるがファンだったのですよ。

初の生Kohhyは「Ballad Night」と銘打たれたアコースティック・ライヴ。以下、感想その他諸々を箇条書きスタイルで。

・席はステージ真横(向かって左側)。
・位置的には大変微妙だったがスピーカーの配置が上手いのか、音を聴く分には特に不具合はなし。
・1stステージと2ndステージの両方を観たのだが、演奏曲が(多分)両方同じ(正確には2ndが1曲少なかった。これについては後述)だった。マジか。
・1stが割とヒットパレード的セトリというか、客に完全燃焼させる感じの流れだったので「あれ、これ第2部どうするんかな?」と思ったら。
・1st、2ndそれぞれ75分と短めなので、1stと2ndは全く別のセトリを組んでいて、通しで観ること前提でチケットを売ってるもんだと思っていた。で、合間に酒飲んだりメシ食ったりする時間設けるからバンバン注文せえよオラ、という意味なのかとてっきり。
・1stではMCで“Smile For Me”を、2ndでは“幸福とゴール”をアカペラでワンフレーズだけ歌っていたんだが、いやそれフルでやってくれよ、という。どちらかでしかやらない曲が少しあるだけで随分印象も変わっただろうに。
・しかしステージ前の前方に陣取っていたファンは1st、2nd通して同じように歌い、盛り上がっていた。皆、優しいなあ。ファンの鑑。
・私は1日に2度同じものを見ることになってちょっとガッカリしていたが「2度同じものを見られてラッキー」という見方もできる…のか?
・でも“Tonight”を2回聴けたのは素直に嬉しかった。この曲、大好き。
・“オリオンのように”はちょっとグッときた。リアルタイムで最初に買ったKohhyのアルバムが「Silent」(1991)だったので。
・あ、さすがにMCは一緒でなかったです。
・1stがアンコールなしで終わったら客席から「えー!」。そこで2ndは少し構成を変えて“Together”で一旦引っ込み、アンコールで“Summer Factor”を演奏。臨機応変。客席も満足。
・但し2ndでは“Mercy Me”をオミット。
・Kohhyのヴォーカル、さすがに昔と同じようにはいかない部分もあるように感じられたがそこはヴェテランらしい技巧でカヴァー。2ndの方が声が出ていた印象。全体的な音のバランスも2ndの方が良かったと思う。
・バックはG,B,Vln×2,Perの5名。席の位置的な問題もあって、主にパーカッションの小野かほりのアクションに視線が行きがちでした。なんか素敵だった。
・気になっていたのはこれ。“Summer Factor”で使用していたウクレレベース。ライヴでは手前のものしか使用しなかったが、後方のは予備かな。弦がポリウレタン製。

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ちょっとガッカリと書いたが2回観ることで分かったこともあり。なかなか来る機会もない場所で観られて良かった。お金に余裕があれば優雅にステーキなんぞ食いながら楽しみたかったが、まあ、それはまたいずれ。

Marillion来日!

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「Brave」で彼らの音楽にハマッてから24年。赤ん坊が生まれ、順調に育てば大学を出て就職し、ちょっと難しい仕事も任されてるかな、というくらいの年月。Marillionが日本にやってくる。待ち焦がれたなんてもんじゃない。というか、そもそも期待してなかった。だって昨年の2公演、両方観たんだもの。




昨年、ようやく23年ぶりに来日したかと思いきや、今度は僅か1年弱という極めて短いインターヴァルでの再来日。川崎公演は各国で行われているファン・コンヴェンション「Marillion Weekend」を模した「Weekend Live」と銘打ち、2日間異なるセットリストで演奏することを示唆、さらに24年ぶりの大阪公演まで。本当にどうしたのでしょうか。クラブチッタ30周年という大義名分は一応成り立つが、それにしても、なあ。昨年の盛り上がりによほど気を良くしたのか、あるいは30数年ぶりの京都観光にでも行きたくなったのか(85年の初来日時に訪れているそう)。

なお大阪の方は「昨年クラブチッタを燃え上がらせた怒涛のマリリオン・ヒッツ・ショーをほうふつとさせるスペシャル・ライヴ」(クラブチッタ特設ページより)が予定されているそうなんだが、会場がZEPPなんば大阪。結構広い。オール椅子席でも約1200席。クラブチッタよりデカい箱という超強気な会場のチョイスだがちゃんと埋まるんだろうか。なんばhatch(755席)でも「うーん、どうだろ…?」と若干懐疑的にならざるを得ないんだが。

この文章の出だしの部分は昨年の今頃に書いた同名エントリのセルフ・パロディで、当時は若干エモーショナルな気持ちであの文章を書いたが、今回はエモーショナルというより戸惑いの方が大きいです。川崎はともかく、大阪、本当に大丈夫…?

当初、大阪はスルーして川崎2Days参戦を目論んでいたのだが、9/17は朝から絶対に休めない仕事が入っており16日は参戦不可。昨年は「変な仕事入るんじゃねえぞ!入れたって働かんからな!」と書いたが、世の中にはどうにもならないことだってある。「ライヴが終わった後夜行バスで徳島まで帰ればいいじゃないか」とか言うの禁止。もうそんなムチャが利く年齢じゃないの。虚弱体質だし。

というワケで、大阪と川崎の初日なら何とか、と思っております。昨年のライヴ、いくら言葉を紡いでも伝え切れないぐらい素晴らしかったので、昨年観られなかった関西近辺及びその他地域に在住の皆様、何卒よしなに。勿論、観られた方も。

なお今度こそ川崎で“Garden Party”をやりそうな予感がしているので“I'm fuckin!”と叫ぶ練習だけはしておこうと思います。

島津亜矢@鳴門市文化会館(2018.4.21)

国籍を問わず、日本に住んでいる者にとって「島津亜矢は凄い」というのはもはや常識だと思われるのだが、その凄さを体感すべく友人と鳴門市文化会館まで行ってまいりました。

途中20分の休憩を挟んで2時間キッカリ、後半、2度ほど衣装替えで舞台から消える時間帯はある(その間はバックバンドによるインストや、事前収録と思われる島津本人の語りでつなぐ)が、それ以外は常に歌っているか、何かをしゃべっている。インスト隊はあくまで「伴奏」であり、もったいぶったイントロや長ったらしいソロなどはない(ついでにいえばエンディングも実に素っ気ない)ので「常に歌っているか、何かをしゃべっている」という表現には一切の誇張はない。これを1日2回やる(昼の部と夜の部)んですよ。演歌歌手ってハードな職業やねえ…。

そして我々が観たのは夜の部なのだが、1曲目から両手を合わせて拝みたくなるほどの歌唱力で圧倒。美空ひばりや北島サブちゃんの曲を歌いながら客席を練り歩き握手して回るという文字通りの「神降臨」パートがあったのだが、曲の合間に「美空ひばりさんや北島三郎さんの曲でどれが好きですか」と客のおじいちゃんへマイクを向けたら、そのおじいちゃん、なぜか鳥羽一郎の“兄弟船”と回答。まるでご長寿早押しクイズだが、そんな状況に陥っても、軽くおじいちゃんにツッコミを入れつつ慌てず騒がずその場で“兄弟船”をアカペラでワンフレーズ。あとやはり美空ひばりの“愛燦燦”もアカペラでワンフレーズ歌ってくれたが、これがまあ、見事過ぎて呆然としつつ拍手するしかないという。

ちなみに島津さん、私の席の間近も通ってくれて、友人は満面の笑みでハイタッチしてもらえたのだが、私はその友人と、私を乗り越えるように身を乗り出して握手してもらっていたおばちゃんに挟まれて手を差し出すことができなかったため、神の手に触れることは叶わず。思い出すだに悔しい…!

まあそれはともかく、“独楽”“帰らんちゃよか”といった自身の代表曲に加え、中島みゆき“命の別名”や吉田拓郎“落陽”といったポップスのカヴァーに昨年の紅白でも歌った“The Rose”、果てはセリフも入った独り芝居調の股旅物まで、振れ幅ありすぎの様々な曲を、最後まで疲れを全く見せることなく、そして一切の淀み無く歌い上げておりました。ただただ「恐れ入りました」とひれ伏すのみ。

終了後に入った居酒屋で1枚。

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パンフに書いてある「むぞらしか」は「可愛らしい」という意味の熊本弁。会場で買ったタオルにはゴジラっぽいフォントで「歌怪獣 シマヅアヤ」と書いてある(ちなみに写真では隠れているが口元を少しゴジラっぽくアレンジした島津さんのシルエットもプリントされている)のだが、怪獣というより完璧超人の類でした。表現力の幅広さ奥深さといった技量面もさることながら、圧倒的な声量と最後まで衰えない強靭な喉。「天賦の才能」という言葉はこういう人に出会ってしまったときに使う言葉なのだなあ、としみじみ感じた夜であった。同郷の先輩方(八代亜紀、石川さゆり)みたくロックフェスに出て観衆の度肝を抜いてみたりしてくれんかなあ。フェス会場で物販やったら、このタオル、飛ぶように売れそうな気がするぞ。

なお当日の客層は当然ながら高齢者が大半で、車いすの方や腰が90度曲がった方の姿も。冗談抜きに我々が最年少だったのではないかと思うが、そんな中、最前列に陣取り、黄色い半纏(背中に島津亜矢の名前が入った公式グッズ。定価9000円)を身にまといペンライト(確か定価2500円)や団扇(これがグッズなのか手作りなのかよくわからず)?を振っていた応援団というか、「あやちゃあああああああああん!」という野太い咆哮が昔のアイドルの親衛隊的ノリを思わせるおじいちゃん方が印象に残った。オリジナル曲を歌う前の島津本人の曲紹介に反応して「待ってましたー!」。結構な頻度で言う(片手では数えきれないぐらいの回数)ので終盤には軽く笑いも起こっていた気がするけど。「アンタら、待ちすぎやろ」て。

幸せそうでええなあ、と思いました。割とマジで。

Judas Priest「Firepower」(2018)

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私がJudas Priestを唯一ナマで観たのはRob Halfordが復帰した時のツアー(2005)だった。楽しかったのだけど、後から思い返してみると、モタりまくるリズムとヘロヘロのヴォーカルは「最後の時が近づいている」と思わせるに十分なものであり、2010年のワールドツアーからの引退宣言(後に撤回)も、個人的にはごくごく当然のこととして受け止めていた。

でも「Firepower」リリース後のツアーの様子をYouTubeで見てみると、Rob、結構歌えてるのな。杖みたいなのを片手にヨロヨロになりながら必死こいて歌っていた2005年よりずっといいかも知れん。シャウトかましたら心配しながら見つめていた観衆から「お、叫んだ!」て歓声が上がるレベルだったのだよあの時は。

もうてっきり引退したものだと思っていたので、「Redeemer of Souls」(2014)には「いつまでやってんだ」という感情しか抱けず完全スルー、2015年にワールド・ツアー引退を撤回したことすらロクに知らなかったという状況でこの「Firepower」リリースの時を迎えたワケですが、なんかツイッターのTLで妙に評判が良かったことやYouTubeで公開されたタイトル・トラック“Firepower”の印象がそれほど悪くなかったこともあって購入することに。

そのタイトル・トラックが1曲目に配され、そこからScott Travisのツーバスがドコドコと鳴り響く曲が3連発で続くのだが、全体的にはそれほどゴツゴツしていない。“Electric Eye”や“Painkiller”のようなキメを多用する様式美ナンバーがなく、若干クラシカルな雰囲気を漂わせつつも、古臭さを感じさせない骨太で筋の通ったサウンドでPriestらしいシンプルでキャッチーなメロディを聴かせる。個人的には“Ram It Down”のない「Ram It Down」(1988)という印象が強い、かな。各国でのチャート・アクションも良好なのだそうで、Glenn Tiptonがパーキンソン病と診断されたというつらいニュースもものかは、バンド自体は元気そうで何より。


Judas Priest“Firepower”

Gleb Kolyadin「Gleb Kolyadin」(2018)

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女性Voとのデュオ、Iamthemoringで鍵盤を担当しているロシア人ピアニスト、Gleb Kolyadinの1stソロ。

そのIamthemoring、私も一応聴いたことはある。その時はもう一押し足りない印象があって「またご縁があれば…」という感じで作品を購入するところまではいかずそのまま今に至っているのだが、今作ではMarillionのSteve Hogarthがゲストで参加していたため購入。なおHogarth以外にもJordan Rudessがゲスト参加、その他にもドラムにGavin Harrison、フルート、サクソフォンにTheo Travis、ベースにNick Beggsといった豪華な面々がレコーディング・メンバーとして名を連ねている。

Hogarth参加の“The Besy Of Days”を聴いて買ったので、てっきり曲ごとに色んなヴォーカリストを呼んで歌モノの作品に仕上げているのかと思い込んでしまっていたが、全13曲中、ヴォーカル入りは“The Best Of Days”と、Antimatterというゴシック・ロック・バンドのVo、Mick Mossが参加した“Astral Architecture”の2曲のみ。あと、語りやスキャットが入っている曲がいくつかあるが、基本的にはKolyadinのピアノもしくはキーボードを主軸に据えたしたインストがメイン。曲の長さは10分超から2分弱まで様々だが、短い曲は数曲がシームレスで繋がった組曲形式になっており、基本的にはプログレらしい大作(というほど長いワケでもないが)志向。

ピアノがメインのパートではチェンバー色を、バンド・サウンドの時はシンフォ・プログレ色を強く感じさせつつ、上品に整えられた曲を聴かせる。ハイライトはHogarthの語りをフィーチュアした静謐なモノトーンのパートから、その静謐さを維持しつつバンド・サウンドへ移行する10分超の“Confluence”なのだろうが、ゴシック・メタル系に通ずる鬱々とした感じが他の曲とはやや異なる感触の“Astral Architecture”で聴けるMick Mossの端正なヴォーカルが印象に残った。


Gleb Kolyadin“The Best Of Days”