非思量

Steve Hackett「Darktown」

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初期Genesisのギタリスト、Steve Hackettが99年に発表したソロ・アルバム。

他の作品を聴いたことがないので比較ができないのだが、この作品は「暗い」と言われているようだ。Hackett自身もライナーで「とても物悲しく、陰鬱なアルバムに感じられるでしょう」と述べており、確かに、感情を押し殺したような語りとIan McDonaldの妖しげなサックスが重苦しい印象を与える“Darktown”や、虚ろなメロトロンの響きからどうしてもKing Crimson“Starless”を連想せずにはおれない(しかもBassの音はJohn Wettonのサンプリング)“In Memoriam”を代表に、ゴシック的な重厚なムードが全編を通して感じられる。

ただ、全編通して気が滅入るようなダークネスに覆われているのかといえば決してそんなことはなく、むしろ、長い絶望の時間を越えた先にある希望への希求が強く感じられる。情熱的なギター・インスト“Twice Around The Sun”から空を覆っていた厚い雲の間から光が差してくるときの神々しさを感じさせ、“Rise Again”は序盤の静かな立ち上がりから軽やかなシンフォ・ロックに移行し、まさにタイトル通り「復活」を感じさせるポジティヴなカラーの曲だ。

どの曲も繊細で美しいメロディ、演奏で彩られており、そんな中でジャンクな“Omega Metallicus”“Darktown Riot”もしっかりと聴かせる。勿論、Hackettのギター・プレイも素晴らしくて、ギターを弾く人にとっては聴きどころ満載(私のような素人が聴いてもこの人はメチャクチャ上手いのだろうな、と思う)なのだろうが、決してギターを弾くこと/聴かせることが主眼ではなく、曲を構成する一つのパーツとして、その中でギターを光らせている。ギタリストのアルバムなのに「ギッター!」という感じがあまりしないあたり、Alex Lifeson(Rush)のソロ「Victor」を想起させないでもない。アッチにも重苦しい語りのナンバーがあったし。

特にGenesisのファンというワケではない(私、いわゆるプログレ5大バンドでマトモに聴いているのはCrimsonだけです)のでSteve Hackettもここまでスルーしまくってきた(Peter Gabrielは元々好きだが…)が、これほどのアルバムを作り出せる力量があったとは。正直、見くびっておりました。いやはや、これは凄い。

ここまで触れなかったが一番好きな曲は“The Golden Age Of Steam”。中世を模した仮想世界を舞台にしたRPGのBGMにありそうな(?)管弦楽やクワイアをフィーチュアした曲で、Hackett本人も気に入っているそうだ。

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Comment

ロックは無用 #YyyuZQ7E

この頃のHackettと言えば、John WettonやIan McDonaldといったクリムゾンファミリーを象徴する重鎮との共演が目立っていましたね。

私もGENESISには特に思い入れはないクチですが、これより前にSteve Hackett & Friends名義で彼らを引き連れての来日公演を収録したアルバム『The Tokyo Tapes』がリリースされたときには、随分興奮して聴いたのを思い出します。

この『Darktown』は当初、Wettonとの共演に期待して意気揚々と購入したものの、実際にはサンプリングのみの参加であったことに相当ガッカリした覚えがありますが、作品の内容自体には大満足で、前半のダークな世界が徐々にHackett独特の暖かみのある世界へと移り行く過程がなんとも魅力的で、今でも時々引っ張り出しては夜中に一人で聴くのが楽しみなアルバムであります。

2007/09/11 (Tue) 12:42 | URL | 編集 | 返信 | 

cota #BqEwgRj.

ジャケットに日本語で「スティーヴ ハケット 東京テープス」て書かれてあったヤツですね?私は聴いてませんが、結構話題になりましたよね。ハケットのプロジェクトのはずなのに他の人の曲やりすぎ、とか書かれていたような(笑)。

ジェネシスはピーガブとフィル・コリンズが揃い踏みしている4枚しか持っていなくて、それ以前は関心ナシ、ピーガブ脱退後は何となく気になりつつも聴く機会のないまま今に至っております。「Invisible Touch」をチラっと聴いて「これ、いいな~」とは思ったのですがね。折りよくSACDで再発されていて欲しいな~と思いつつも、ハードまでそろえないといけないので躊躇しまくりです(笑)。

で、「Darktown」ですが、前半の闇が後半をより光らせる好盤だと思いますが、「(ハケットの作品は)これから聴いちゃダメ」というようなことを書いているのを見かけたから、やはり他のとは雰囲気が違うんでしょうね。とりあえず1つ前のオーケストラとの共演は買ってみようかと思っています。

2007/09/11 (Tue) 21:37 | URL | 編集 | 返信 | 

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