非思量

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10 2007

Devin Townsend「Ziltoid The Omniscient」

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「家族と共に過す時間が欲しい」「燃え尽きた」とか何とかいう理由でDevin Townsendがバンド活動/ツアーからの引退を宣言したらしい。

「スクリームしながらメロディックに歌う」という、今では色んなバンドが採用しているスタイルを最初に開拓したのは紛れもなくDevinだ。Strapping Young Lad(以下S.Y.L.)の1stと2ndをリアルタイムで聴けた人間は勝ち組。

ただ、人気の高い「凄まじく感情的になれる、本物の解放感や自由に満ちた、エキサイティングな場所」(Euro Rock Press Vol.32インタビューより)であるS.Y.L.も「トシをとってキツくなってきた」と語っており、また、消耗度の激しいヴォーカル・スタイル故に喉の衰えも顕著で、まあ、表舞台から身を引くにはいい頃合いなのではないかと思う。子供もできたことだし。

で、今後はプロデューサー業と平行して「Ziltoid The Omniscient」なるパペット・ショウを手がけていく、らしい。詳細はよくわからんが、今回紹介するアルバムはそのパペット・ショウのサウンド・トラック(?)で、クレジットを見る限り、ドラム以外のほぼ全ての楽器をデヴィンが演奏しているようだ。

はじめ、このアルバムのコンセプトを見たときに「どうせ適当にSEっぽい音とか、短めのインスト曲とかがギッシリ詰めこまれてるんだろ?」と思ったが、いざ聴いてみると、ところどころに語りが入っている以外はいつも通りのデヴィン印がしっかり刻まれたヘヴィ・メタルのアルバムだった。

暑苦しいながらもスルスルと耳に入り込んでくるサウンドメイク、キャッチーなメロディにハーモニー、キメの粗いスクリーミング・ヴォイスと繊細なノーマル・ヴォイス、唸りを上げるツーバス…。ハッキリ言って、長年Devinを追い続けた者にとって何一つ新しいと感じられる要素はない。

ただ、今回は「Terria」「Synchestra」の大作路線にS.Y.L.のメタリックな音楽性が歩み寄る形で結構メリハリのあるアルバムになっており、近年の作品の中ではとっつき易いのではないかな、と思う。ファンなら間違いなく満足できる出来。

私にとってDevinのベストワークは、一曲一曲をしっかりと形にして、アルバム単位ではなく曲単位でも楽しめる形に仕上がっていた、と言うか、まあ一言で言えば「まっとうなハード・ロック」なThe Devin Townsend Band名義の「Accelerated Evolution」だった。アルバム製作をやめるワケではなさそうなので、そのうちああいう分かりやすいポップなアルバムを作ってくれたら嬉しい。お疲れさん。

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