非思量

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22 2013

聖飢魔II「Ponk!!」(1994)

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今年に入ってから、聖飢魔IIのソニー時代のオリジナル・アルバムがリマスター&Blu-spec CD2で再発されている。4月に3rd「地獄より愛をこめて」(1986)、4th「Big Time Changes」(1987)、5th「The Outer Mission」(1988)がリリースされていたが、7月に入って1st「悪魔が来たりてヘヴィメタる」(1985)、2nd「The End Of The Century」(1986)と共に本命の6th「有害」(1990)、7th「恐怖のレストラン」(1992)、そして今回紹介する「Ponk!!」がリリースされた。というワケでようやく「Ponk!!」を語れるチャンスがやってきたわい。

ベスト盤「Worst」(1989)、続くシングル「Bad Again~美しき反逆」(1990)でセールスが頂点に達した後、90年代に入って音楽性に揺らぎが見えてくるのだが、実はメンバーにメタラーがいない聖飢魔II、ここにきて前作「恐怖のレストラン」とは正反対の世界観を描き出しており、ついにメタルであることすらほぼ放棄している。何せ1曲目“千年香妃花”(この曲名、未だにどう読むのか知らない)はポルカなのだ。更に“闘う日本人”はファンク、“ロマンス”はフォーク、“A Stick And Honey”はプログレ・ハードではあるが東洋風フレーズを導入してミステリアスというかサイケというか、まあやりたい放題。

バラードが多いのも特徴。初々しい“Teenage Dream”“Just Let Me Go”、友との永遠の別れを歌ったシリアスな“The Requiem”等々。全体的に多彩かつポップで、当時デーモン小暮が出演して大ヒットしたフジカラー「写ルンです」CMやシングル「世界一のくちづけを」(1993)の流れに沿った、とても親しみやすい、言葉を変えればこれまでのファンを切り捨てることも厭わない作風。これでセールスが良ければ「勝てば官軍」だったのだろうが残念ながらそうはならず。当事は閣下のスキャンダル等が原因でバンド内外に大変な逆風が吹いており、新規のファンは獲得できず、逆に長年のファンは離れていく結果となった。ツアーの客入りも厳しかったらしく、閣下のソロ「Demon As Bad Man」(1995)、シングル「赤い玉の伝説」(リマスターVer.)をリリース後、聖飢魔IIはこれまで所属していたソニーを離れている。

かく言う私もこの頃から聖飢魔IIとやや距離を置くようになって(洋楽にハマり出したという事情もある)「Demon As Bad Man」、未だに聴いたことがない。先行シングルがいまいちピンと来なかったことだけは覚えている(c/wが聖飢魔IIによるThe Beasty Boysのカヴァーという、今思えば当時の状況を象徴するような意味不明というか、チグハグなものだった)。

話が逸れたが「Ponk!!」、あえて人に薦めようとは思わないが「有害」「恐怖のレストラン」と並んで10代後半に最も良く聴いたアルバムなので、思い入れは深い作品である。エヴァーグリーンで瑞々しい“Teenage Dream”やゼノン石川のベースが冴え渡る“優しさが人を殺める”等は今でも大好き。再発にあたって施されたリマスターは、90年代の作品、しかも潤沢な予算をかけてアビィ・ロード・スタジオで製作されたそれなので元々音質は悪くなく、私の耳には「まあ、変わったといえば変わったかな」程度。それよりも今回改めて聴き返す事で、タメの利いたライデン湯沢のドラムが大変印象に残った。演奏、楽曲は充実している。

あとはベスト盤「Worst」、シングル集「愛と虐殺の日々」(1991)、ロンドンでのライヴ盤「Live! Blackmass In London」(1992)の再発も強く希望。


聖飢魔II“Teenage Dream”

Deenのヤツとは同名異曲だが、だいたい同じような時期にリリースされ、しかも後から出たDeenの方が売れた。こういうところでも聖飢魔IIの勢いが落ちていることを感じさせられたものである。

2 Comments

不埒者  

地味な情報ですが、このアルバムの大半の曲をミックスしてる
NICK DAVISっていう人は、MARILLIONの"Seasons End"の
プロデューサーですよね。

私はいつも1曲目と8曲目を飛ばして聴いている不埒者ですが、
かなり好きなアルバムです。

2013/08/03 (Sat) 03:38 | EDIT | REPLY |   

cota(管理人)  

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。たった今確認しました。ホントだ。同じ名前だ!
今の今まで知りませんでした。少し賢くなりました。GenesisやXTCを手がけた、という
のは本で読みましたが。あとDeep Purpleの作品でもエンジニアやったりしてるみたい
ですね。

私も10曲目以降あたりはちょっと軽い感じがして昔はよく飛ばして聴いていた記憶が。
でも好きな曲は多いアルバムですね。

2013/08/04 (Sun) 00:47 | EDIT | REPLY |   

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