Marillion「Radiation 2013」(2013) 

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最新作「Sounds That Can't Be Made」(2012)が好評を博しているMarillion。昨年「Sounds~」が出るまで、国内盤がリリースされた最後のスタジオ・アルバムだった「Radiation」(1998)がMichel Hunterによるリミックスの上、Stewart Everyのオリジナル・ミックスとの2CDセットで今年リリースされた。

EMIからドロップされた90年代中盤以降のMarillionは、ブリティッシュ・ロックの体裁を保ちつつジャンルや時代の壁を飛び越えんと冒険を続けている感がありそれは今も続いているが、「Radiation」はそれまであまり前面に出ることのなかったファルセット・ヴォーカルやブルーズ調の曲がフィーチュアされており、こう言ってはナンだが全カタログ中最も「新しい道を模索中」といった風情が漂う作品である。

そういう印象をより強めていたのが当時台頭していたRadioheadに通ずるドライで抑制された部分と、ジトッとした煮え切らない部分が同居したサウンドだが、リミックスではそこが大幅に改められている。具体的に言うと全体的にラウドかつクッキリした音になり、特にギターとキーボードが非常に目立つようになった。イントロ的小曲“Costa Del Slough”を経て2,3曲目の“Under The Sun”“The Answering Machine”というハード・ロック・ナンバーにおいてその効果は顕著。特に後者はライヴ・アルバム「Anorak In The UK Live」(2002)の「スタジオ盤もこんな感じだったら良かったのに」と思った豪快なヴァージョン(EMI盤には未収録で、Intactからリリースされた2枚組にのみ収録されている)に雰囲気が接近しており、なかなか良い。

“Now She'll Never Know”のアコギもより哀愁を帯びた響きになっており、いいことずくめ…と言いたいところだがリミックス盤にも瑕はあって、その際たるものは“Costa Del Slough”の冒頭約30秒や、“Cathedral Wall”のラスト1分がバッサリカットされていること。音像の変化も相俟って、アルバムを取り巻く空気がすっかり変わってしまっている。かつてDave MustaneがMegadethの諸作品に手ずからリミックスを施して再発したことがあるが、私の好きな「Risk」(1999)が必要な装飾までそぎ落としていわく言いがたい出来になっていたのとやや印象が被る。ラストの“A Few Words For The Dead”の静謐かつ神秘的なイントロも、神秘的というよりストレンジなムードになっており、やや違和感が残る。

タイトルの後ろにわざわざ「2013」とつけていることからも分かるように、これは単なるミックスのやり直しではなく「Radiation」の2013年における再解釈、なのだろう。そう考えればオリジナル盤がついているのも納得できるし、慣れればラウドなサウンドと良質な楽曲に身を任せるのが心地よくなってくる。ソング・オリエンテッドな作風なので比較的とっつき易いし、「Sounds~」でMarillionに初めて触れて興味を持った人が次に買う作品としては良いチョイスになり得ると思う。

2013/03/01 Fri. 20:59  edit

Category: CD/DVDレビュー:M

Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

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