Geoff Tate「Kings & Thieves」(2012) 

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Queensryche(以下QR)を解雇(?)されたヴォーカリスト、Geoff Tateの2ndソロ。国内盤、出るんですかね?

Geoff Tateは相変わらず我が道を進んでいる。ミッド・テンポのオープナー“She Slipped Away”が彼にしてはキャッチーな雰囲気のハード・ロックだったので「ここにきてようやく心を入れ替えたか」と油断させておいて、その後は「Q2K」(1999)、「Tribe」(2003)、あるいは「Dedicated To Chaos」(2011)あたりに通ずるグランジくずれというか、とにかく大多数のQRファンが望んでいるであろう路線からは遠く離れた楽曲をずらずらと並べている。ラストの“Waiting”は辛うじて“I Will Remember”のような叙情性を微かに醸し出しているが、“I Will Remember”のハイ・ノートはここ(に限らずアルバム全編)では聴けないのでやはり多くのファンは落胆するだろう。

高音が出ないという事実は私にとって大した問題ではない。言いたいことは「一刻も早くKelly Gray(g)を切るべき」。コレに尽きる。録音とミキシングも担当しているこの人の才能のなさには常に愕然とさせられる。Tateがどれだけ歌に感情を込めようと、コイツのせいで出てくる音は灰色一色に塗り込められてしまう。演奏についても然り。一方「Dedicated To Chaos」も今作同様Grayが録音とミキシング担当だったが、コチラはメタルどころか「ロックであること」すらいくつかの曲では放棄してしまい、針の振り切れたアレンジを施すことによって随分と面白い仕上がりになっていた。

恐らく「Dedicated~」で頑張ったのはScott RockenfieldとEddie Jackson。しかし当たり前のことだが「Kings & Thieves」に2人の姿はない。残ったのはキャッチーなメロディが書けないヴォーカリストと無能なギタリスト。結果、フックに乏しい楽曲がだらだらと流れていく、何とも掴みどころのないアルバムになってしまった。まあ好意的な目で見れば「ある程度聴きこめばそれなりに味わい深さも感じられる作品」ではあるし、絶望的にダメとまでは言わない。でもだからこそ「ダメだ」と言わざるをえない。中途半端すぎる。QRから大きく距離を置いたモダン・プログレ然としたポップな装いの1stソロ「Geoff Tate」(2002)の方が遥かに良かったし、「Q2K」や「Tribe」もまだ「好きだ」と言える曲があるだけずっとマシだったぞ。

私自身は決してこのアルバムは嫌いではないんだが、それにしても…。海外のサイトでは「career suicide」とまで書かれてしまっているが、徐々に人も金も周りから消えて「素人に毛が生えたような楽器隊を従えてQRナンバーをセルフ・カヴァー」とか「伴奏がアコギだけ」とか、見るからに悲惨なアルバムを作っている未来がこの作品から透けて見えてしまう。それが悲しい。

「Geoff Tateのヴォーカルが聴ければ何でもいい」という方はどうぞ。


Geoff Tate“Dark Money”

2012/11/13 Tue. 20:31  edit

Category: CD/DVDレビュー:G

Thread: HR/HM - Janre: 音楽

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