Robert Fripp / Andrew Keeling / David Singleton「The Wine Of Silence」(2012) 

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King CrimsonのRobert Frippが過去に発表したサウンドスケープスの曲を採譜しリアレンジの上、Adrian Belewとも共演した経験のあるThe Metropole Orkestが演奏したものを録音、再構成したアルバム(よってFripp本人はこの作品では一切演奏していない。KeelingとSingleton両名も演奏はしておらず、それぞれアレンジャー/共作者、プロデューサー/共作者として名を連ねている)。

サウンドスケープをご存じない方のために一応説明しておくと、2台のディレイを用いてループ・サウンドを作り出し、そこへ更に自身の演奏を重ねていくという、言わば自分との共演をするためのシステムである。ヴィジュアルやその他の構成要素についてはコチラを参照されたい。

サウンドスケープのアルバムは、King Crimson等のロック・バンドでFrippが聴かせる凶暴さを伴うプレイとは全く異なり、ロング・ディレイを利用し、ギター・シンセを用いた眩いばかりの光を放つサウンドを幾重にも重ねた、抽象絵画的な音世界を描いている。下にはったYouTubeを聴いていただければわかるが、非常に、こう、催眠作用のある音でして。私は2006年にPorcupine Treeが来日した際の前座として帯同したFrippがサウンドスケープによるパフォーマンスを行ったのを生で見ているが、少なめに見積もっても客の2割はFrippのパフォーマンス中、ずっと舟を漕いでいたぞ。

サウンドスケープのアルバムを暗闇の中で流して睡魔の訪れに身を任せるのも良いが、音そのものはピンと張り詰めたような荘厳な空気を帯びている。The Metropole Orkestの総勢50名以上の演奏を録音した本作においてもその荘重さは引き継がれ、特にレクイエム詠唱や典礼用聖歌が新たに加えられた“Miserere Mei”“Requiescat”は、サウンドスケープ曲のオリジナルから大きく姿を変えた結果、元々持っていたクラシック~現代音楽的な色合いを更に増すことになっている。

重厚で、威厳のある作品だと思う。難解だし聴き通すには少しばかりの忍耐がいるかも知れないが、たまにはこういう音に耳を傾けてみるのも良いのでは。ラストの“Pie Jesu”を聴いていると心の底に溜まった澱(おり)が洗い流されていくよう。


参考:Robert Fripp"Midnight Blue"
アルバム「A Blessing Of Tears」(1995)より。「The Wine Of Silence」収録曲の1つとしてこの曲が選ばれている。

2012/07/04 Wed. 23:58  edit

Category: CD/DVDレビュー:R

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