King Crimson「Starless And Bible Black」(1974) 

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The 25 best basslines of all time

上の記事(ラインナップされた25曲全てが試聴可能)では残念ながらランク・インしていないが、ベース・ラインという語句から私の頭に真っ先に浮かんできたアルバムがKing Crimson「Starless And Bible Black」だった。ちょうどいいタイミングで40周年記念盤がリリースされ、それでもってこれがまたビックリするほど素晴らしかったのでここで紹介しようと思う。

このアルバムを知らない若人向けに解説しておくと、このアルバムはRobert Fripp(G)、John Wetton(B)、Bill Bruford(Dr,Per)、David Cross(Violon)の4人で録音されており、全8曲中、冒頭のVo入り2曲("The Great Deceiver"、"Lament")及びやはりVo入りである"The Night Watch"の一部を除いた全てがコンサートで演奏されたライヴ音源を元に製作されており、前記Vo入りの曲及びラストの"Fracture"以外は全てインプロヴィゼーション(即興演奏)である。

しかし予備知識無しに聴けば、これが即興演奏主体で製作されたアルバムだとは夢にも思うまい(観客の歓声や拍手は一切入っていないし、ライヴ・レコーディングである旨の説明も特に無い)。特に、Crossのヴァイオリンが甘美な音色を響かせる"Trio"(この曲名はBrufordが敢えて演奏に参加しなかったことから名付けられている)や、静かながらも混沌とした音の連なりがやがて一体となるも一瞬の爆発の後に音が霧散していく"Starless And Bible Black"は即興であることすら信じ難い曲である。

作曲された曲も冒頭2曲のドライヴ感、"The Night Watch"のリリシズム、ラスト曲"Fracture"の超絶アルペジオから静寂→爆発の展開における破壊力、全てが素晴らしい。所謂第3期Crimsonは(当初の5人から1人ずつメンバーを減らしながら)3枚のオリジナル・アルバムを残しており、一般的にはラスト作の「Red」もしくは1枚目の「Larks' Tongues In Aspic」が脚光を浴びがちだが、衝動性と創造性、バンドとしてのケミストリーといった様々な要素が最も高い位置で融合しているのはこの「Starless And Bible Black」だと思う。以上、若人向け解説終わり。

ここからは40周年記念セットのコンテンツに対する感想だが、まず何より新ミックスが素晴らしい。近年のテクノロジーの進歩により、70年代の作品も音質面であまり古臭さを感じることなく聴ける機会が増えているが、この新ミックスなどはまさに「テクノロジー万歳!」。音の1つ1つの輪郭がハッキリとして立体感が増しており、この傾向はインプロ曲でより顕著になる。これはボーナス・トラックの"The Law Of Maximum Distress"も例外ではない。ボックス・セット「The Great Deceiver」に収録された同曲のテイクと聴き比べれば一目瞭然。

また、ここで聴けるWettonのベースが尋常でない。先述の通り、元々ベースが印象に残りやすい作りなのだが新ミックスで迫力倍増、曲を牽引するというより、他の楽器を追い立てるように唸りを上げるサマはあたかも野獣の如し。King Crimsonは一分の疑いも無くRobert Frippのバンドだが、音楽面ではリズム隊が大きな役割を果たしていることが改めて分かる音に仕上がっている。

このアルバム、これまでは「傑作だけど一見さんにはかなり厳しい」という認識だったのだが、この音ならたとえKing Crimson未経験の人にも(難解な音楽に対するある程度の経験値は要求されるにしても)自信を持ってオススメできる。DVDに収録された30周年リマスターと聴き比べて欲しい。明らかに違うから。その他のライヴ映像を含むコンテンツも充実。国内盤は高くてちょっと…と仰るなら輸入盤でもOK。ちなみに私は輸入盤を購入。

もうRobert Frippのアコギな商売に付き合う気はないので40周年記念盤シリーズはことごとくスルーしていたのだが、これは本当に買って良かった。

2011/11/07 Mon. 22:37  edit

Category: CD/DVDレビュー:K

Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

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