Dream Theater「A Dramatic Turn Of Events」(2011) 

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皆様お待ちかねの新作であります。

新作を聴いてまず思ったのが「Mike PortnoyはMetallicaにおけるBob Rock的存在だったのではないか」ということ。Bob RockのMetallicaにおける役割の全てを知っているワケではないが、「Metallica」から「St. Anger」までの音楽性の変化を見れば、彼がバンドを「革新的な存在」で在り続けさせようとしたことは間違いない。

一方のDream Theater(以下DT)、6th「Six Degrees Of Inner Turbulence」あたりから自身が築き上げた音楽性にPortnoyの新しモノ(もしくは古典プログレ)好き精神が色濃く注入されていたのはご存知の通り。ま、コチラの場合は「革新的」と言うより「半周遅れ」感があったのは否めないが、いずれにせよ、今思い返せば強迫的なほどに「前進し続けること」を自らに課していたように感じられる。

そして1st「When Dream And Day Unite」から20年を経た前作「Black Clouds & Silver Linings」で顕になったのは前進することが目的化して硬直し切ったバンドの姿だった。ダラダラと長いインスト・パート、メロディがまるで活きてこない曲構成。トドメは「アルコール依存症を克服する12のステップ」最終章の最悪すぎる出来ばえ。

実は「Systematic Chaos」の時点で「次はちょっとキツいかもな…」と思ってはいたのだが、さすがにここまで酷いとショックだった。以前にも書いたが「Black Clouds~」は多分通算で10回ぐらいしか聴いていない。つか今iTunesを確認したらあのアルバムを通しで聴いたの、3回だけだよ。

まあいずれにせよ、潮時だったんでしょうなあ。

新たにバンドを主導する立場となったJohn Petrucciは何よりもまず「メロディを聴かせること」に重点を置いているように思える。「Images And Words」が素晴らしかったのは、複雑な構成でありながら曲が滑らかに流れていくことだった。超絶インストが主役と見せかけて、実はメロディをしっかり活かしている。これは"Metropolis Pt. 1"も例外ではない。別々の曲を繋ぎ合わせたような途中でワケワカメになる展開や陰鬱なヘヴィネスの大幅な後退、クリアなサウンドといった新作で顕著な傾向も、突き詰めればメロディを重視した結果なのではないか。結果、ここ数作でPortnoyがリップ・サービス的に口にしていたのとは全く異なる次元で「Images And Words」の世界観に接近したアルバムになっている。

勿論このアルバムは「Images And Words Pt. 2」ではない。そもそも「ピアノはともかくキーボードの音、時々ヘンじゃないか?」なJordan RudessにKevin Mooreの音世界を再現しろと言ってもどだい無理な話であって、ついでに書くと滑らかな曲の流れに水を差す贅肉のような冗長さも完全には排除し切れていないし、10分超の曲が4曲というのも多すぎる。

とまあ課題もあるが、James LaBrieの意向がこれまでになく反映されていると思しきメロディはこれまでになくナチュラルな響きをたたえていて、結構ハッとさせられる場面も多い。例によって収録時間は80分近くに及ぶがそれ程長く感じないし、聴いていて疲れない。彼らの作品でこういう感覚を味わうのは「Train Of Thought」以来だなあ。新生DT、まずは合格点である。真価が問われるのは次だろうが、コレは案外期待してもいいのかも知れない。

2011/09/11 Sun. 00:40  edit

Category: CD/DVDレビュー:D

Thread: HR/HM - Janre: 音楽

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コメント

Dream Theaterの新作

こんばんは、いつも楽しく拝見しています。

Dream Theaterの新作は僕も聴いたのですが、
今までの作品に比べるとアンサンブルを大事にしているような気がしました。
ペトルーシのギターがいつになく丁寧で、
今まで感じていた、「テクニックは十分にあるのにどこか危なっかしい」という感じが大分減ったように思います。
相変わらずラブリエが微妙に音程を外すところが気になるのですが、
全体としてはやはり他のアーティストの比ではない仕上がりに満足しています。

. . . なんて適当な感想を書かせていただきましたが、
これからも楽しい記事を期待しています。

UENO #qbIq4rIg | URL | 2011/09/11 20:43 | edit

初めまして。書き込みありがとうございます。

近作でマイキーが持ち込んでいた要素を、それこそ
「丁寧に」取り除いた後の、ペトルーシの好みが
反映されたDTの等身大に近い姿が今作なのかな、と。

ドラマーがいないのでリズム面でムリして欲しくない
なあと思いましたが、そういう意味でも背伸びして
いない印象です。FIIみたいな作風でも構わなかった
んですけどね私は(笑)。

いずれにせよマンジーニが曲作りに関わってきそう
な次が楽しみになりました。

cota(管理人) #BqEwgRj. | URL | 2011/09/12 21:47 | edit

mixiでもお世話になっております(苦笑)。ボクも一応このアルバムのレビューをしようと思ったのですが、cotaさんのレビューが秀逸すぎて、リンクさせていただきました。問題がありましたらご連絡下さい。

それにしても、かなりドラマティックなアルバムに仕上がりましたね。

シュン #KLcuhdgY | URL | 2011/09/28 20:07 | edit

リンクはご自由いどうぞー。

ネットでの記事を追ってみると、自分が考えていた以上に「Images & Words」をなぞった作風だったようです。

http://akkkkkkkkk.exblog.jp/13564168/

それを踏まえて聴くとさらに興味深いと同時に「そう言う風にしなきゃもっと良くなったのにな」と思う部分もチラホラ。

ドラマティックな要素が増したのは勿論「良くなった」ところなので、次はこのカラーを保ちつつ「I&W」の影を感じさせないアルバムを作れるかが鍵でしょうね。それをやると「Falling Into Infinity」になってしまう恐れもありますが私はそれでもアリです(笑)。

cota(管理人) #BqEwgRj. | URL | 2011/09/28 21:38 | edit

Dramatic Turn of Events について

初めまして、ヒロチェリと申します。
いつも、楽しく拝見させて頂いております。

Dream Theaterの最新作、
「Dramatic Turn of Events」
は予想以上に素晴らしかったですね。
ドラマーがマンジーニに変わり、
どうなる事やらと心配していたのですが、
全く杞憂に終わりました。

私はマイアングが大好きなので、
ベースの音がちゃんと聴こえる点は、
非常に嬉しかったですし、
新鮮味を感じました。

ただ、前作、
「Black Clouds & Silver Linings」
収録の「The Count Of Tuscany」
のようなキラーチューンがなかったのが、
残念と言えば、残念です。
(「Breaking All Illusions」は
素晴らしい曲だと私も思うのですが、
「The Count Of Tuscany」と比較すると、
少し印象が劣るように思います。)

ただ、総合的に見て、
非常にクオリティの高いアルバム
ですので、大満足とは言わなくても、
非常に嬉しく思います。

ヒロチェリ #- | URL | 2011/10/26 06:44 | edit

Re: Dramatic Turn of Events について

はじめまして。書き込みありがとうございます。

このアルバムではドラムの音が小さくてびっくりすると
いうあり得ない経験をしましたが、おかげでマイアングの
ベースが結構聴こえていますよね。いいことです。
マンジーニも本領発揮は次でしょうけどいい仕事を
していると思います。

確かに「アルバムの代表曲を1曲挙げろ」と言われると
難しいですね。でも平均点は凄く高いし、あまり省みられる
ことがないけどラブリエの優秀なメロディ・メイカーぶりが
発揮されていると思います。強いて言えば中音域の多用で
少しだけ平板さが感じられるので、それが次でどこまで
修正されてくるか(言い換えれば、ラブリエのケツを蹴り上げる
人間がいるかどうか)は注目すべきポイントではないかと。

いずれにせよ語りどころの多い、良い作品です。
難しい状況でよくやったなと思います。

cota #- | URL | 2011/10/26 21:38 | edit

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