H(Steve Hogarth)「Ice Cream Genius」(1997)

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例年、8月はCDの購入枚数が少なくて、このブログでも8月になると旧譜の紹介やらプロレスの観戦記やら企画モノやらでなんとか更新頻度を維持していたりする。

今年も今月に入ってまだ1枚もCDを買っていない(注文した新譜が届かない)ので旧譜のレビューなぞ。Marillionの2代目ヴォーカル、Steve HogarthのH名義によるソロ・アルバムである。1997年作だからEMIからドロップされてから初めてのアルバム「This Strange Engine」と同じ年のリリース。「This~」国内盤は当時日本で最もプログレに優しいレーベルだったポニーキャニオンからの配給だったが、「Ice Cream Genius」の国内盤発売は見送られている。

それ故、日本ではこの作品を知る人自体少ないだろうが、参加メンツはなかなかに豪華で、Richard Barbieri(Key - 元Japan)、Dave Gregory(G - 元XTC)、Chucho Merchan(B - 元Eurythmics)、Clem Burke(Dr - 元Blondie)といったニューウェーヴ系人脈プラスLuis Jardim(Per - 詳しくはWikipedia参照)という布陣で製作されている(その他、「Additional Genius」としてSteve Jansenらもクレジットされている)。

現在流通しているのはオリジナルの8曲入りにボートラを追加した計9曲。「Radiation」以降のMarillionのプロトタイプのようでもあるが、でもやっぱりMarillionとは違う。気だるい空気と浮遊感、時折漂う荘厳さ。簡潔にまとめるとそんな感じの作風。力の抜けたヴォーカルが多彩な曲調と共にゆったりと流れていくが、Richard Barbieriが空間を覆いつくすようなシンセを聞かせる"The Deep Water"、"Nothing To Declare"がそれぞれ中盤、終盤のハイライトとなっており、アルバムを引き締めている。後者はHogarthの流儀で作った"The Space"といった趣きも。

明らかに90年代以降の文法で作られた音楽なので、Hogarthが加入して間もない時期のMarillionや、Marillion加入前にHogarthがやっていたHow We Liveのようなクッキリした音は望むべくもないが、Marillionでも音楽的イニシアチヴを握っているであろうHogarthの最も素に近い部分がムキ出しになっていてこれはこれで味わい深い。ちなみに、BarbieriやGregoryも参加したThe H Band名義の2枚組ライヴ・アルバム「Live Spirit Live Body」(2002)はPeter GabrielやPink Floyd等のカヴァーも収録した好盤。機会があればこちらもチェックしてみては。


H"Better Dreams"

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