非思量

Mick Karn「The Concrete Twin」(2010)

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現在癌で闘病中と伝えられる元Japanのベーシスト、Mick Karnのソロ・アルバム。昨年ダウンロードで先行発売され、今年になってCD化されたものらしい。

私にとってJapanはかなり遠い存在である。初めて買ったJapanのCDがよりによってシングル収録曲をヴァージョン違いとは言え同じ曲の重複もいとわずにブチ込んだ「Singles」で、その構成もさることながら当時Dream TheaterやKing Crimsonのようなギッチギチにテクニカルなプログレを信奉していた私には音そのものもかなりキッツいシロモノだった。「Singles」は早々に里子に出され、Japanの作品はそれっきり一度も手にした事はない。

でも何故かメンバーのソロ・アルバムはポツポツとではあるが所持していて、特にRichard Barbieri「Things Buried」(2005)とSteve Jansen「Slope」(2007)は私のお気に入り。ということで今回初めて聴くMick Karnにも結構期待していたのだがこれもなかなか面白い作品。ベースは勿論のこと、その他のほぼ全ての音がKarnの手によるもので、全10曲のうち4曲で参加しているPete Rockett(Dr,Per)が唯一のゲスト。Pete Rockettはイギリス人パーカッショニストで、1999年にはBill Bruford等のドラマー/パーカッショニストばかりを迎えたNetwork Of Sparks名義の「One」というアルバムをリリースしている(こちらにレビューあり)。

ベーシストのソロ作品ということで、ベースが楽曲の土台を支えるというよりは、ベース以外の音によってあらかじめ構築された枠の中でベースが前面に出て舞っているような印象を受ける。John Paul Jonesのソロにも同様の印象を持ったが、フレットレスで奇妙なフレーズをうねうねと弾き出すKarnの作品においてその傾向はより顕著。

とは言えまずベースありきの作品というワケではなく、ピアノやギター、シンセ等々を組み合わせたアンサンブルは非常にクールでミステリアス、それでいてポップさも持ち合わせたかなり独特なもの。別に悪い意味ではなく、どこか「芯」の感じられない作品なのだが、この気ままな浮遊感というのもこの人の個性なのだろう。

Jansenのソロとかからも感じたのだが、ロックというよりは「アート」といった雰囲気の、格調高い作品(但しやや変態度高め)。ジャケットのデザインもアーティスティックで好き。

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