Fish「Yin」「Yang」(1995) 

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Marillionの日本における評価というか立ち位置は「ハマる人はハマるが、そもそもハマる人が少ない」というもので、それゆえに近年は国内盤の発売もない(と書いておいてナンだが11月24日にライヴ・アルバムがディスクユニオンから出ます)が、この「Yin」「Yang」は、バブルの残り香も色濃く漂っていた1995年に「当時最もプログレに優しいメジャーレーベルの1つ」だったポニーキャニオン(何せDiscipline Global Mobile所属の無名アーティストの作品までリリースしていた)から堂々リリースされた、スコットランド出身でMarillionの初代ヴォーカリスト、Fishの1st~4thソロ及びMarillion時代の楽曲をコンパイルしたアルバムである。

タイトルは陰(=Yin)陽(=Yang)から取られており、その名の通り「Yin」はややダークな色合いを帯びた楽曲、「Yang」は比較的ポップで明るい楽曲がメインとなっている。ちなみにアートワークも陰陽を表す太極図と自らの名前(Fish)をモチーフとしたもの。Yesのカヴァー"Time & A Word"ではSteve Howeが、The Sensational Alex Harvey Band(以下SAHB)の"Boston Tea Party"では故人のVoを除くSAHBのメンバーが迎えられているのだが、特に後者は自身のカヴァー・アルバム「Songs From The Mirror」に収録されているにも関わらずこのコンピのために再録音されたもので、この曲に限らずこのコンピ用に再レコーディングされた曲がかなり多く、かなり贅沢な環境で製作された作品であると言えよう(Marillionの曲をはじめ、権利関係に問題があるケースも含まれていると思われるが)。その他、やはり再レコーディング曲である"Just Good Friends""Favorite Stranger"にはSam Brownがゲスト参加、麗しい歌声を披露している。

既にMarillionにおける最終作「Clutching At Straws」(1987)の時点で「欧州で大人気とかいうけど聴いてみると案外とっつきにくい」面は楽曲からもFishのヴォーカルからも払拭されつつあったが、その後ソロ作を重ねるにつれて味のある歌いまわしや秀逸なメロディ・センスはそのままに、繊細なバラード"A Gentleman's Excuse Me"からスコティッシュ色の濃い"Internal Exile"、ドメスティック・バイオレンスを扱ったシリアスな"Family Business"、ダイナミックな"Credo"にMarillionの面影を残す"Toungue"等々幅広く取り揃えた楽曲はより洗練志向となり、Marillion時代の楽曲も含めて聴き易く、入門編としてはうってつけ、かつお得な作品。

こないだ久々に何気なく聴いてみたら妙に心に沁みたので半分勢いに任せてレビューをしたためたが、初めて接したFishのソロ作品であるこのコンピ2枚は買った当初は結構聴き込んだ記憶がある。B!誌のレビューでも高得点をマークしていた。懐かしいな。ちなみにFishは今も活発に活動中。私は楽曲志向からシアトリカル路線への回帰を明確にした感のある「Fellini Days」(2001)を最後に脱落してしまって以来ご無沙汰なのだが、こちらも老いてなお盛んなMarillion同様、元気で頑張って欲しいな、と思う。


Fish"Credo"

2010/11/02 Tue. 22:45  edit

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Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

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