Cynic「Re-Traced」(2010) 

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2008年に「Traced In Air」で復活を遂げたCynicの、「Traced In Air」収録曲の一部をアレンジし直して再録した4曲+新曲1曲で構成されたEP。ベーシストのSean Maloneは残念ながら不参加、ツアーで弾いていたRobin Zielhorstがメンバーとしてクレジットされている。

フレットレス・ベースやクリーン・トーンのギターにデス声(andヴォコーダー)を組み合わせるという突き抜けた手法やひたすら複雑なビートを叩き出すドラムがエキゾチックかつ華麗な音世界を築いていた1st「Focus」が既にリリースから17年を経ているにも関わらず、未だにオリジネイターとしての輝きを全く失わない稀有なアルバムであるが故に、その1stの表面をなぞっただけのような2nd「Traced In Air」にはどうも入り込めなかったのだが、この「Re-Traced」はいい。

しょっぱなの“Space”でいきなり現れる打ち込みリズムに面食らうが、メタル色のみならず彼らの出自の1つであるジャズ・ロック/フュージョン色も希薄。強いて言えばChroma Keyに近い空気が漂う、隙間の多い、醒めた内省的なサウンド。「Focus」とは全く異なるヴェクトルでオリジナリティをアピールしているが、独特の浮遊感やしなやかなアンビエンスが「Focus」に通じているのは興味深いところ。

「Traced In Air」を聴いてる時には気づかなかった(というかあまり聴いていない)が、音をギッチリ詰め込んだ演奏に埋もれがちだったメロディの良さにハッとさせられることが多かった。「Re-Traced」はデス声もヴォコーダーもなく、歌をメインに据えた音作りをしているため、派手さは無いものの繊細で良質なメロディが耳に残る。ラストの新曲“Wheels Within Wheels”も、高速ツーバス導入で他の4曲に比べたらメタル成分多めとなっているものの、アルバムの流れを壊さないようにアレンジされている。

「Traced In Air」が元ネタとしてあるからCynicとして成立する作品ではあるが、私はこういうの好きだ。


Cynic“Integral”

2010/07/10 Sat. 21:48  edit

Category: CD/DVDレビュー:C

Thread: HR/HM - Janre: 音楽

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