非思量

Anathema「We're Here Because We're Here」(2010)

weareherebecausewearehere.jpg

英国産ゴシック・バンドの8th。過去の曲をセミ・アコースティックでリアレンジの上再録した「Hindsight」からは2年ほどのインターヴァルだが、純然たる新譜としては「A Natural Disaster」以来実に7年ぶりとなる。私が購入したのはDVDオーディオ付のデジパック限定盤。

Blood Red Skiesなジャケットを逆さにして振ると赤い血が滴り落ちてきそうなじゅわっとした手触りが「涅槃メタル」とでも呼べそうな虚無感を感じさせた「A Natural Disaster」のサイケデリック的な浮遊感溢れるアレンジは後退(ついでにただでさえ希薄なメタル色もさらに後退)、地に足のついたウェットな感触のプログレッシヴ・ロックといった風情に仕上がっている。これまでのダウナーなイメージは、ジャケットに描かれた1人の男と水面を照らす陽光のようなポジティヴさを感じさせるものに取って代わっている。

「Hindsight」を経て感傷的なメロディの演出力にはさらに磨きがかかっており、女性Voをコーラスに起用した“Summernight Horizon”“Everything”は泣きのメロディを引き立てるピアノが絶妙。その“Everything”から一転、陰や重さを感じさせるムードの“Angels Walk Among Us”~“Presence”~“A Simple Mistake”の流れも良い。Steven Wilsonがミックスを担当したとのことで、あえて音圧を抑える彼の音作りの傾向がAnathemaの繊細な世界観とよくマッチしている。

いかなる事情があったのか、「新作、出るよ」というアナウンスから3年以上経ってのリリース(しかも合間に「Hindsight」をはさんで)となったが、長い間待たされた甲斐があったと言える出来になっている。一見さんには少し地味に聞こえるかもしれないが、良いよ。できればこんなクソ暑い時期ではなく、気温が下がってくる秋ごろに酒を飲みながら浸りたい逸品。


Anathema“Thin Air”

Newest

Comment

Leave a comment