Univers Zero「Clivages」(2010) 

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99年の再始動以来、3枚のスタジオ盤と2枚のライヴ盤(うち1枚は80年代のアーカイヴ盤)をリリースと、比較的順調に活動を続けているチェンバー・ロック界の暗黒魔人Univers Zeroの新作(スタジオ9th)。ドラマーにして首領のDaniel Denisを筆頭に、バスーン、オーボエ、クラリネット、鉄琴、ベース、ヴァイオリンといったアコースティック主体の様々な楽器を複数担当する総勢7名のメンバーにゲスト3名(ドラム、アコーディオン、チェロ)を加えた編成。ゲストでドラム(ラストの“Les Cercles d'Horus”にのみ参加)としてクレジットされているNicolas DenisというのはDanielの息子?

一聴して感じるのはサウンドの持つ生々しいエネルギー。Michel Berckmans(Basoon,English Horn,Oboe,Melodica)の自宅でレコーディングされたことでコスト面の制約が減ったことが大きいのかも知れない。その点では再結成後の作品とは明らかに一線を画していて、特に人間臭さというか体温が感じられなかった(私はそこが好きだったんだが)「The Hard Quest」や、ミュージック・コンクレートの領域にまで踏み込み、抽象的な印象を強めた「Implosion」とはまるで異なるライヴ感溢れる音が全編を支配している。

楽曲も充実。突進してくるのではなく真上にピョコピョコ飛び上がるような独特なリズミカルさの“Les Kobolds”に始まり、2nd「Heresie」の「暗黒」という言葉を体現した音世界を現代に蘇らせた“Warrior”、満月に照らされた青白い闇を思わせる、じわじわと来るイントロから一転、爆裂ジャズ・ロックが唸りを上げる“Straight Edge”、「The Hard Quest」のラスト曲のうら寂しさに通じる“Retour De Foire”などなど、聴きどころは多い。再始動後のテイストを引き継ぐDenisの曲と5th「Heatwave」までの空気を漂わせる出戻り組(Andy KirkとMichel Berckman)の曲、Univers Zeroの持ち味を尊重しつつ新しいテイストを持ち込んだ若い(?)Kurt Budeの曲が上手く共存している。

鉛色の空の下でモノクロのピエロがダンスを舞っている様な、どことなくユーモラスな響きを持った曲ですら狂気じみた何かが漏れ出してくるバンドの個性は健在。多分、変拍子と不協和音の効果なのだと思うが、どこを切っても薄気味悪い(褒め言葉です)。「Ceux Du Dehors」「Uzed」が好きだったけど再結成後の作品はちょっと…という人にもオススメできる。皆で国内盤を買って来日公演を実現させよう!

2010/03/18 Thu. 22:10  edit

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Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

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