Univers Zero「The Hard Quest」(1999) 

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※「1997年~2006年の10枚+1」第11回→他のレビューはこちら

'78年にデビューし、RIO(Rock In Opposition)なる反商業主義的な音楽を志向するムーヴメントの中で活動、'87年に一度解散したベルギー産バンドの再結成第一弾(6th)。なお、バンド名は「ユニヴェル・ゼロ」と読む。

主にアコースティック楽器(ベースはエレクトリック)を用い、室内楽の精緻なアンサンブルとロックが持つダイナミクスの融合を目指したチェンバー・ロックと呼ばれるジャンルの嚆矢の1つで、部分的にはMagmaに通じるところもあるかも知れない。ドラマーがイニシアチヴを握っている点も共通している。ただ、祝祭的かつ宗教的な高揚感を漂わせ、ある種冗談の通じなさそうな暑苦しさを持つMagmaに対し、Univers Zeroの方は内向的で陰鬱、厳格でありながらどこか屈折したユーモラスさを(微かではあるが)漂わせている。

前述の定義に従えば、最もチェンバー・「ロック」している3rd「Ceux De Dehours」('81)及び4th「Uzed」('84)が一番「らしさ」を感じさせるのだが、「The Hard Quest」においてそのようなハードな側面を見せるのはラスト前の10曲目に収録された“Xenantaya”ぐらいで、そのほかの曲は、一歩一歩足元を確かめながら歩むような感じでガッチリと構築された、無機質かつ前衛的なアンサンブルを聴かせる。

アコースティック楽器の透明感のある音色はなぜか殺風景な世界を現出せしめ、高音域を駆使するベースは聴き手に不安や混沌をもたらす。爽快感は皆無で、聴いていて鬱になるタイプではないが、平和の中に潜む静かな狂気を感じさせる音楽である。

正味な話、再結成後の作品は芳しい評価を得ているとは言い難い気がする(というか、そもそもあまり言及されていない)のだが、ひたすら不吉なイメージを刻み込むことに全力を注いでいるアングラ色タップリな1st、2nd(これはこれで捨てがたい)や、音楽的には飛躍的な技術的向上を見せつつそのユーモア感覚(あと音質)ゆえに(あくまでも曲によっては、だが)少々「軽さ」を感じさせる部分がないでもない3rd~5th(一般的に評価が高いのはここかも)よりも、歪んだ陰鬱さがより明快に表現されたこの作品が個人的には最も好みである。この時期の彼らのフォロワーというのは恐らく存在しないので、なかなか他では聴けない音だと思うよ。


Univers Zero“Civic Circus”

2009/08/11 Tue. 22:43  edit

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