Fight「Into The Pit」(2008) 

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Rob Halford(Vo)がJudas Priestを93年に脱退後に結成、2枚のオリジナル・アルバム+1枚の企画モノを残したFight。今回紹介する「Into The Pit」は、その3枚に1st「War Of Words」の全曲再現(プラス“Light Comes Out Of Black”)ライヴ等の映像を収録したDVDをプラスした4枚組のボックス・セットである。

1stのリリースから14年経っているため音源には当然手が加えられており、3枚のCDは全てリマスター、更にオリジナル・アルバム2枚はRoy Zによるリミックスが施されている。オリジナルのミックスは贅肉を極限まで削ぎ落とした「飢えた軽量級ボクサー」とでも形容できそうなソリッドな音だった(特に1stでその傾向が顕著)が、Roy Zのミックスは、ヴォーカルがやや前面に出て、全体的にも立体感が増した音作り。先ほどのたとえになぞらえるなら、ホンの少し肉付きが良くなって階級を1つ上げたような感じ。オリジナルの残り香を漂わせつつもハッキリと変化を読み取れる、なかなかツボを心得た仕事振り。

なお、2nd「A Small Deadly Space」の方はリミックスに留まらず、更なる変更が加えられている。大きいのが曲順の変更。オリジナルのオープニングはスロー・テンポの“I Am Alive”だったのがミッド・テンポの“Beneath The Violence”に、しかもヴォーカルが例のヒステリックなハイトーンにほぼ全編差し替えされたものに置き換えられている。

当時は“I Am Alive”のような「重くて遅い曲」がトレンドの1つだったことや、恐らく1stと異なるイメージを打ち出したかったバンドの意向等もあってのことだろうが、これでアルバムの印象が随分と変わっている。それ以外の曲でもヴォーカルのミックスが大幅に改変されたり、オリジナルでは効果音程度の扱いだった音が前面に引っ張り出されるなどして、Robのミステリアスというか怪しげな面が強化されている。オリジナルの音は、95年当時としてはああなるのもまあ当然と言えば当然なんだが、当時のスタッフが押しなべて凡庸だったという見方もできる。まあ、14年後の視点であれこれ責め立てるのも酷な話しではあるが。

DVDに収録されたライヴでは2曲目の“Nailed To The Gun”で早くも喉が死に掛けてハラハラさせられるがなんとか最後まで持ちこたえている。それにしても野球帽をかぶったシンプルな出で立ちから4文字言葉が出てくるMCや歌詞の内容まで、「メタル・ゴッド」を演じていたPriest時代とは正反対。神ですら時流に乗り遅れまいと必死だったのです。ちなみにこのDVD、リージョンコードが1なので注意。音楽ソフトぐらいリージョンフリーにしとけよ。

私は事あるごとにJudas Priestの作品を最初に聴くなら「Painkiller」からと言っているが、その次がこのFightのボックス・セットでもいいのではないか、という気がする。今の耳で聴けば「Painkiller」の後のPriestのアルバムがコレ(Priestじゃないけど)でもあまり違和感はないと思うし、Halford「Resurrection」にも割と自然に繋がっているので(FightとHalfordの間にあるTWOは飛ばしてもいいと思う)。4枚組にしては結構お求め安い値段なので、未体験の方、いやむしろFightをリアルタイムで聴いてきた皆々様、これを機に再評価などいかがでしょうか。


1st「War Of Words」のオープニングを飾った“Into The Pit”のライヴ(DVDに収録されているものとは別テイク)。Fightでもギター・ソロ中のタコ踊りは健在。

2009/05/10 Sun. 23:55  edit

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