Tiit Kikas「String Theory」(2007) 

stringtheory.jpg

エストニア出身のヴァイオリニスト/コンポーザー(ティト・キカスと読むらしい)のソロ・アルバム。ユーロ・ロック・プレスのレビューで興味を持ち、HMV Onlineで購入。

全ての音がヴァイオリンで多重録音された一人芸術とのことだが、通常の擦弦奏法のみならず、まるでギターのように掻き鳴らすなど、普通ヴァイオリンをそう言うふうには扱わないだろう、という手法をかなり取り入れているようで、更に言えば様々な処理を加えられたサウンドも重ねられ、使用された楽器が一種類とは思えないほど多彩な音を出している。

ライナーノーツ(あ、国内盤が出てます)によると、Kikasは地元では映画、ラジオ、テレビの音楽を製作する売れっ子コンポーザーらしいが、「インディペンデントになること」「レコーディングにすべての過激なアイディアを注ぎ込むこと」が彼の目的だそうで、確かにこのアルバムにおいて、その目的は達成されていると言って良い。

民族音楽を下敷きにしたと思しきラディカルな楽曲の合間に、深い闇に閃光が差し込んでくるようなダーク・アンビエント調のナンバー等を差し挟みつつアルバムは進行する。アルバムのハイライトはラストの“Everything Happens For A Reason”。爽やかな朝の目覚めを思わせるポジティヴな曲で、エレクトリック・ヴァイオリンによるまばゆいフレーズの繰り返しが印象的。アルバムの締めくくりに相応しいナンバーである。

音の息遣いは刺激に満ち溢れている(ヒステリックで聴き辛いという意味ではない)が、楽曲自体は「アヴァンギャルドの中庸」(何じゃそりゃ)という感じで、まあ曲にもよるし聴き手の経験値にもよるだろうが、それほど取っ付き辛い印象はない。幻想的なムードを漂わせた視覚的な作品。


2007年6月8日にエストニアで行われたライヴの映像。アルバム未収録の“String Theory”という曲。足元を映し出した映像はないが、足の動きを見るに自らの演奏をその場でサンプリングして重ねていく今沢カゲロウ状態ではないかと推察されるのだが、どうだろう。

2009/05/07 Thu. 00:16  edit

Category: CD/DVDレビュー:T

Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

tb: 0  |  cm: 0

top △

コメント

top △

コメントの投稿

Secret

top △

トラックバック

トラックバックURL
→http://hishiryo.blog95.fc2.com/tb.php/134-6202f3f9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

top △