非思量

Disillusion「Alea」(2016)

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私に大いなる衝撃を与えた2nd「Gloria」(2006)のインパクトの大きさ(一般ウケの悪さとも言う)ゆえか、その後パッタリと作品のリリースが途絶えていたドイツのDisillusion。ライヴの情報は公式サイトでポツポツと更新されていたので活動していることは確認できていたが、気が付けば「Gloria」から10年、ようやく待ちに待ったスタジオ音源の登場である。

10分20秒の長尺曲1曲のみ収録という特異なフォーマットで、せめて2、3曲入りのEPというワケにはいかなかったのか…とは思うが、贅沢は言うまい。マス・ロック的なリフや複雑な場面展開を織り交ぜたダークなヘヴィ・メタルに仕上がっており、「Gloria」ほどの奇抜さはなく、1stのファンだった人にも馴染みやすいと思われる(Voはデス声ではない)が、冒頭の不穏なSEやエンディングへ向かうパートで鳴り響くニヒルなトランペットに「Gloria」を通過したバンドの強烈な個性が垣間見える。

もう新譜のリリースは難しいと思っていたので、それがたとえ収録曲がたった1曲だったとしても、復活は嬉しい。なかなか出来も良いので、この調子で早期のアルバム・リリースも期待したい。


昨年12月のライヴ映像。「Gloria」収録の“The Black Sea”

Marillion「Fuck Everyone And Run」(2016)

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スタジオ17th(「Less Is More」(2009)を含むと通算18枚目)。ジャケットに表記されている「FEAR」はタイトルの頭文字を取ったもの。その名のとおり、Fear=恐怖を各曲共通のテーマとしているらしい。

インデックス上では17曲クレジットされているが、実際は15分超の大曲が3曲と、それぞれ6分、7分、2分の小曲が大曲の間及びラストに配された全6曲。大作もあったが全体的には個々のキャラ立ちが明確であった前作「Sounds That Can't Be Made」(2012)とは明確に異なる作風を打ち出しており、Steve Rotheryのギターに代表される淡いサウンドが、時間をかけてゆっくりと水彩画のグラデーションのように色彩を変えながらクライマックスへ到達する。

これは元々の彼らの持ち味の一つであり、大曲でも小曲でもその傾向に大差はない。まあそういう作風なので、一聴で聴き手のハートを鷲掴みにするドラマティックな曲はないんだが、少しソウルっぽいムードを織り込んでみたり、リズム隊に結構存在感があったりと、コテコテのプログ・ロックでありながら茫洋としたアトモスフェリックなそれに流れないあたり、さすがキャリア30年超にして欧州のプログ・ロック・シーンで先頭集団を疾走している貫目というものを感じさせる。

私が最初に購入したMarillionのアルバム「Brave」(1994)から既に22年、写真を見ると彼らも随分トシを取った(などと書いているが私自身その「Brave」当時のメンバーよりも年上になっているのであった)ものだが、近年の作品はいずれも好評をもって迎えられており、今作では遂に「この20年で彼らが出した作品の中でベスト」という評価を得るに至っている。「この20年」だと私のオールタイム・ベスト「Afraid Of Sunlight」(1997)が入ってくるし他にも好きな作品はあるのでその評価は首肯しかねるが、良い出来なのは間違いない。

2枚連続で国内盤がリリースされ、我らがマサ・イトーはライナーノーツで「久々に来日する大義名分は、このニュー・アルバムの登場によって固まった」と書いた。来日はありますかねえ。来日して欲しいんでプレオーダー盤と別に国内盤まで買ってしまったのは私だ。報われる日は来るのか。


Marillion“The New Kings”
17分近い曲のうち、前半6分程のみのチラ見せ。

Devin Townsend Project「Transcendence」(2016)

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精力的に作品をリリースし続けているDevin Townsendの「Z2」及びCasualities of Cool名義で発表した同名アルバム(共に2014)以来の新作。

Anneke Van Giersbergenが録音メンバーに名を連ねるようになった「Addicted」(2009)以降、「Epicloud」(2012)~「Sky Blue」(2枚組だった「Z2」の1枚目)(2014)と、シンフォニックな作風の作品を断続的にリリースしていたが、ここに至って大仰さここに極まれりと言った感じの、非常に壮大な音楽を聴かせる。元々、分厚いサウンドを聴かせる人だが、それがこの路線においてひとつの完成を見た感。舞台の上で大人数のオーケストラ/バンド/クワイアが躍動している様が、瞼を閉じると浮かんでくるようなスケールの大きい作品に仕上がっている。

メロディ等にさして目新しい点はないが、“Failure”では5拍子を導入。あまりあからさまに奇数拍子を使う人ではなかったように思うが、プログレ寄りとも言えるシンフォニック・メタルにマッチしている。Steve Vaiに見いだされて世に出てから20年以上経過し、トシも40半ばに差し掛かっているので、かつての溌剌とした刺激やStrapping Young Ladのような禍々しさは当然望むべくもないが、今一つ入り込めなかったここ数年の諸作よりも楽曲のクオリティを含め、出来栄えは良くなっていると思う。


Devin Townsend Project“Failure”

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