非思量

Operation: Mindcrime「Resurrection」(2016)

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Geoff Tate率いるOperation: Mindcrimeの2nd。ライヴ活動も行っているが、レコーディングでは複数のメンバーをやりくりしており、バンドというよりはGeoff Tateのソロ・プロジェクトと表現する方が適切かも知れない。

コンセプト・アルバムの曲間に挿入されていそうな小品を冒頭4曲にズラッと並べ、その後にバラード調含むソフトめなスロー~ミッド・テンポの曲が続き、後半にエピックな雰囲気を持つ曲がポンポンと現れる、なんだか不思議な構成のアルバムになっている。

構成こそ少し変わっているが、作品の出来は悪くない。楽曲のクオリティがこれまでと比較していきなり上がったワケではないが、キャラクターに合わない気の抜けたポスト・グランジまがいの曲や、R&B~ソウル方面に色目を使ったような曲が姿を消し、緊張感を殺がれる場面がなくなっているのが良い。

替わってTateのプログレ趣味が前面に出ている。作品のエピック面を象徴する“Invincible”や“A Smear Campaign”あたりに顕著だが、特に後者はTateの歌よりもアグレッシヴなギターをはじめとするインスト隊の演奏を聴かせる作りの、彼の曲にはかなり珍しいタイプのそれに仕上がっている。Tim “Ripper” Owens(ex Judas Priest)とBlaze Bayley(ex Iron Maiden)参加と聞いてズッこけるしかなかった“Taking On The World”も、荒々しい曲調が作品のアクセントとして良い働きをしているように思う。

全体的にはQueensrycheの「American Soldier」(2009)あたりが作風としては近いだろうか。相変わらずモッサリとしたプロダクションが残念だが、「俺の上にまたがる彼女はまるでエクササイズマシン!寝かせてくれない!誰か助けて!」なんてクソとしか形容しようのない歌詞の曲を歌っていた数年前のことを思うと、よくここまで持ち直したなあ、とは思う。YouTubeでライヴの動画を確認する限り、声の調子もどん底からは脱しているように聞こえる。


Operation: Mindcrime“Lest For Dead”

Steve Jansen「Tender Extinction」(2016)

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元Japanのドラマー、Steve Jansenの「Slope」(2007)以来となる2ndソロ。

今回も大半の演奏をJansen自らが手掛け、曲によってゲストを招くスタイル。前作は制作に5年かけたというが、今作も完成までに約3年を費やしたのだそう。前作同様、ストイックな中に、暖かい空気の感じられるサウンド。アコースティックとエレクトリックの配合が絶妙で、優雅な音の流れに身を任せるのが実に心地よい。

強いて「Slope」と異なる面を挙げるなら、やや先鋭的な空気を纏っていたインストではなくヴォーカル入りの曲で始まっている(とはいえこちらも変拍子を使用しているが)ことで、だからというワケでもないだろうが、ヴォーカル入りの曲が結構印象に残る。「Slope」でも歌っていたThomas Feinerはオープナーの“Captured”でディープで渋みのある声を響かせ、初参加の女性Vo、Melentini(“Sadness”)、Nicola Hitchcock(“Faced With Nothing”)も良い仕事をしている。個人的には、シンプルなピアノを従えて繊細な歌声を響かせる後者がアルバム中最も印象に残った。Jansen自身も2曲でヴォーカルを披露。実兄のDavid Sylvianに似た声質の、ジェントルな声を聴かせている。

何となく、個人的にJapanのメンバーの作品は不見転で買っても大丈夫という、根拠のない信頼感を抱いているのだが、この作品も秋の夜長に飲む酒との相性が大変よろしい、アーティスティックな1枚に仕上がっていると思う。

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