非思量

今沢カゲロウ@Funky Chicken(2016.6.15)

近年は大学やら専門学校等での講演活動など、ライヴ、クリニック以外での活動も活発に行っているという今沢カゲロウ。例年、徳島では年に1回鳴門でライヴを行うのが常であったが、この4月より特任教授に任命された四国大学での特別講義に併せ、実に15年ぶり2度目となる徳島市内でのソロ・パフォーマンスを敢行。勿論行ってまいりました。彼のライヴを観るのはおととしの11月以来、約1年7か月ぶりである。

ちなみに15年前はハードコア系のイベントに招かれたそうで、その時はリハーサル後に他の出演者が主催者に向かって「なんであんな人がここにいるんですか!」と言ったとか。そりゃまあ、なあ。

12年、14年に鳴門で観た時にステージで鎮座ましましていたあれやこれや(ラップトップ+Novation Launchpad+Keith McMillen Instruments SoftStep)は姿を消し、機材は足元にルーパーのフットスイッチがあるだけのシンプル極まりないもの。ベースシンセもなし(そういえばベース本体は新調されていた)。そういうワケで、バンド・サウンドよりも情報量が多い過剰な音の絨毯爆撃が全て純粋な6弦フレットレス・ベースのサウンド(with今沢が各地で採取した虫の鳴き声)で観客に襲い掛かることに。

その演奏は「リハ見たけど凄すぎ。初めて見たけど…」とライヴ前に言っていた会場のマスターをはじめ、観客の心を鷲掴み。演奏同様トークのキレも冴えており、誰かが「トークだけのCDを出してほしい」と言っていたが、それじゃまるでさだまさしだ。しかし昆虫ネタはもはや癒しの域に達しているのかも知れない…いるのか?人間メトロノームのコーナーやベースニンジャ版スクール・オヴ・ロックといった定番ネタも披露し、最後は“The Chicken”のメロディに虫の名前を乗せて客に歌わせるという奇想天外なネタで幕。マスターがエラいウケていた。

初めての会場、告知期間も短くあまつさえ平日夜という悪条件が重なり集客は芳しくなかったものの、そういう時の演奏が案外印象に残ったりするものである。地上で最も苛烈な音楽のひとつを通して繰り広げられる幸せな空間がそこにありました。

Dizzy Mizz Lizzy「Forward In Reverse」(2016)

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デンマーク出身の3人組、実に20年ぶりとなる3rd。4月のアルバム・リリース後に来日も果たしている。

彼らが活動していた90年代半ばには結構な人気を博していたバンドで、当時ラジオでも散々聴いたハズなのだが、全く印象に残っていない。多分、好きじゃなかったと思う。ただ、近年再結成したというのは知っていて、たまたまYouTubeで観た“Made To Believe”がなかなか良いと思ったのである。いかにも90年代のロック・バンドが出しそうな音で、久しぶりにこの空気を味わってみたくなり、アルバムを購入。

アルバム全体も概ねそういった雰囲気でまとめられている。作品を形作っているのは、甘いメロディに舞い上がるでもなくヘヴィネスに溺れるでもない、その中間のどこかに位置する乾いたサウンドとアーシーなメロディ。しんみりと始まって徐々に重々しい展開に移行するバラード調の“Say It To Me Anyway”がアルバムのラストに配置されている(その後、ライヴ音源が3曲、ボートラとして収録されているが)のもなんとなく90年代のアルバムっぽい。

8年前にAsia「Phoenix」(2008)のことを「'80年代の空気をそのまま真空パックしたよう」なんてやや茶化し気味に書いたが、もしかしたら、自分が昔を懐かしんで聴いている作品が8年前の私と同じぐらい、あるいはもっと下の世代に茶化されるフェーズに入った?うひゃあ。思えば遠くへ来たもんだ。まあ若い人たちがこの作品を聴いてどう感じるのかはわからないが、要所要所をユニゾンでキメまくる上質なハード・ロックに仕上がっているこの作品、私にとっては「ま、あの時の雰囲気が味わえれば」などというレヴェルの低い期待を吹き飛ばす出来栄えでした。


Dizzy Mizz Lizzy“Made To Believe”

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