Blue October「Home」(2016) 

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3年ぶりの8th。今回もクラウドファンディングでレコーディング資金を募ったうえで製作されている。なお、前作「Sway」(2013)ではメンバーとしてクレジットされていたのは4名だが、今回再度ギタリストが加わった5名がメンバーとしてクレジットされている。

「Sway」及びその前の「Any Man In America」(2011)はポスト・グランジにカテゴライズされているバンドらしいヘヴィネスをそれなりに備えていたが、今回はJustin Furstenfeld(Vo)のルーツと思しきニュー・ウェーヴ色、あとPink Floydとかのアトモスフェリックなプログレ的テイストがかなり色濃く表れているように感じられる。

重々しさを伴うサウンドや“The Feel Again(Stay)”“Bleed Out”のようなドラマティックなナンバーは姿を消し、キーボードによるシンプルながらキラキラした色彩のフレーズと、カラッと突き抜けきれない湿っぽさを帯びたメロディが楽曲の大半を占める。前作がとても良く出来ていたので、この新作は期待と不安が半々だったが、その両方が裏切られた印象。はじめは「え、こんななっちゃったの?」というのと「これ、なかなか悪くないやん」というのがゴッチャになっていた。

何回か聴いているウチに「結構いいなコレ」というのが大勢を占めてきてはいる。たま~に80年代すぎて「うわあ…」てなるようなイントロの曲があったりするけど。前作のような音を期待すると肩透かしだが、気にしなければなかなかの良作。

後半にラウド感のあるドラムを前面に出した“Houston Heights”があったりするが、これとてロックではないところから着想を得ているような。例えば80年代前半のワールド・ミュージックにかぶれていた頃のPeter Gabrielとか。どこか、Marillion脱退直後のFishが現代のMarillionを歌っているような感じがしないでもない。“Leave It In The Dressing Room(Shake It Up)”とか、どこか「Marbles」(2005)収録の“Drilling Holes”に通ずる空気が漂っているし。Justinの音楽的嗜好とSteve Hogarth(Marillionの現Vo)のそれが近いのかもしれない。


Blue October“Home”

2016/04/30 Sat. 20:42  edit

Category: CD/DVDレビュー:B

Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

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Nik Bärtsch's Mobile「Continuum」(2016) 

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スイスのピアニスト/コンポーザー、Nik Bärtsch(ニック・ベルチュ。Baertsch、Bartsch)率いるアコースティック・ユニットMobileの、多分3枚目。Roninと異なり、Mobileはベーシスト不在の4人編成となる。

オリジナル作としてはRonin名義の「Llyrìa」(2010)以来で随分久しぶりとなるが、ミニマルなフレーズの繰り返しやリズムの微妙なズレによって生まれる独特なグルーヴを生み出す、そのストイックな求道者然とした佇まいに変化はない。

今作では「Extended」と称されたヴァイオリン、ヴィオラ、チェロといった弦楽器隊をゲストに招いており、これが新しい風を吹き込んでいる。Ronin「REA」(2004)収録ヴァージョンでは同一のフレーズを執拗に繰り返す偏執的な曲だった“Modul 18”が、ストリングスとの共演によって元のアレンジとは別種の緊張感を纏い、すっかり装いを新たにしている。

一方、ピアノ・ソロがメインだったソロ名義の「Hishiryo」(2002)収録曲の再演である“Modul 4”“Modul 5”は、今回もほぼピアノと僅かなパーカッションによる演奏で、オリジナルのプリミティヴな緊張感が色濃く残されている。

「Stoa」(2006)の衝撃から早10年、純然たる新曲が少ない(全8曲中“Modul 60”のみ)のがチト気になるが、過去曲のリアレンジや合体、再構築(元々、こういう手法を多用する人ではある)、ストリングスの導入でフレッシュさを維持している。次はベースの存在がオーガニックなグルーヴを生み出すRoninの新作を期待したいところ。


Nik Bärtsch's Mobile“Modul 29_14”(Excerpt)

2016/04/17 Sun. 09:35  edit

Category: CD/DVDレビュー:N

Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

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Myrath「Legacy」(2016) 

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北アフリカ沿岸に位置するチュニジア共和国出身のヘヴィ・メタル・バンド、Myrathの4th。チュニジアの音楽に触れる機会など、よほどの辺境マニアでない限り滅多にないと思われるが、彼らは既に前作「Tales Of The Sands」(2011)で日本デビューを飾っているのだそう。

勇壮かつエキゾチックなイントロ“Jasmin”に導かれて始まるミッド・テンポの“Believer”が聞き手の期待を煽るなかなかの出来栄え。初期はSymphony Xからの影響が大だったそうだが、ここでは速い曲こそ皆無ではあるもののジャーマン勢の影響が伺えるように思える。クサいほどにドラマティックな曲調もそうだし、ヴォーカルの声質は曲によっては割ともろにAndi Derisっぽい。メロディの質感はなかなかに日本人好みのそれなのではないかと思う。“Nobody's Lives”におけるコブシの効いた歌唱等、ちょっと演歌っぽい場面もそこかしこに。

ストリングスやキーボードを大胆に導入しており、剛健さよりもシンフォニックな鮮やかさが際立つ出来。特異な音楽性の割に綺麗にまとまっていて、違和感なく受け入れられる音に仕上がっていると思う。欧米でツアーに出たり大きなフェスに出演して培われた実力がいかんなく発揮されていると言っていいだろう。


Myrath“Believer”

2016/04/08 Fri. 22:18  edit

Category: CD/DVDレビュー:M

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