非思量

amazarashi@Zepp Namba(2016.2.21)

早くも今年2本目のライヴ。2週連続で四国から関西へ向かうという、お財布にはなかなかハードな状況である。チケット代は安かったのだが、移動費がね。バスが嫌いで自家用車で移動しているもので。

開演時間の15分前ぐらいに会場に入ったのだが、ロビーには結構な数の人、さらにホールに入るとこれまた沢山の人、人、人。そして客層が若い!普段私が行くライヴのそれよりも干支一回り以上若いんじゃなかろうか。とりあえず流れに任せて1階フロア最後方へ。奥へ奥へと押し込められ、気がつけばPA卓そばの絶好のポジションに。しかしほとんど身動きがとれん。ぎゅうぎゅうとまでは言わないが、ちょっと手を動かしたら前後左右誰かの体に触れる状態(なのでずっと腕を組んで観ていました)。最後方のさらに奥、車椅子の客用に一段高くなっているスペースも一般客に開放して客を押し込んだところでライヴ開始。

ステージ前面に薄いスクリーンが張られていて、ステージ上のメンバーはうっすらとしか見えず、スクリーンとバックドロップに映し出される映像やタイポグラフィが曲の持つメッセージを補完している。歌そのものも割と聞き取りやすかったが、歌詞そのものが映し出される場合もあり、私のように知ってる曲が数曲しかない身にも優しい仕様。客は体を動かすでもなく一緒に歌うでもなく、じーっと曲に聞き入っている感じだった。Dream Theaterのライヴで客が石地蔵状態なのはリズムを取るのが難しいからだが、amazarashiの客は歌詞を聞きに来ているんだろうな。もしくは新作からの曲が多め(で、その新作は明日発売なのですよ)で、知らない曲が多かったか。

その歌詞は時に青臭かったり時に風刺を利かせたり時に言葉遊びに溺れたりのメッセージ性が強いもので、さすがにこれを素直に受け入れて感動するには私はトシを取り過ぎているんだが、ドラマティックなサビと、そこまでの展開がガッチリ構築された楽曲がどれもこれも良かった。どことなくフォークの香りがする熱のこもった歌を支えるダークで奥行きのあるアレンジから青臭さは全く感じられない。だから私みたいなおっちゃんも聴けるワケだが。サウンドも良好。ヴォーカルの音が他の楽器と比べてやたらとでかかったが、このユニットの性格を考えればこんなもんだろう。

約1時間半の短いライヴだったが、良かった。あとほとんど動けず直立状態だったので体がバッキバキになりました。トシを取るというのは悪いことばかりではないんだが、正直、つらい。

Masayoshi Fujita & ハチスノイト@bar OIL(2016.2.13)

今年初のライヴは京都でのツーマン。会場は初めて来たが、間接照明の効いた、オシャレでムードのある空間であった。

大阪で時間つぶしをした後の移動に手間取り、会場のバーがある建物がわからず右往左往。開演時刻から10分ほど遅刻したが、私が会場に入った瞬間にハチスノイトがパフォーマンスの開始を(凄く小さな声で)告げていた。

そのハチスノイト、自らの声をその場でサンプリングする一人音声多重、さらにラップトップで声に処理を加える?男性との二人三脚。美声を活かした透明感のあるハーモニーを聴かせたかと思えば、女性が発したとは思えないドスの効いた破裂音を発したり。彼女の声だけで会場を独特の抽象的な空間に染め抜いてしまう全4曲、約30分間のパフォーマンスであった。

生で聴いて改めて感じたが、彼女の音楽はRobert Frippのサウンドスケープに通ずる、ニュー・エイジ/アンビエント色を漂わせつつ、出てくる音そのものはテンションが高いというか、聴く側に緊張感をもたらすもの。強靭な声と消え入りそうな声のMC(ラスト曲前にちょこっとしゃべっただけだが)のギャップもラヴリー。堪能しました。

しばらくのインターヴァルの後、Masayoshi Fujitaが登場。彼のことは全く知らなかったのだが、ベルリン在住のビブラフォン奏者なのだそう。

弦楽器を弾く弓を使ったり、楽器の上にビーズやアルミホイルを置いて演奏したりとトリッキーな一面を見せつつ、非常にリラクシングなサウンドを披露。こちらは正真正銘、ニュー・エイジ/アンビエント系の音、だろう。演奏を始める前に曲のテーマを朗読するのだが、これが視覚的イメージを想起させる効果的なものであった(はじめは「スカしやがって」と思ったのはここだけの話)。会場の外から聞こえてくる雨音も、邪魔になるどころか良い塩梅のアクセントに。

アンコールは遠慮して、昨年出た新作「Apologues」のCDを購入して会場を御暇し、晩飯を食って帰宅した時には日付が変わっていた。そういうワケで時間的に結構厳しく、ハチスノイトだけ観て帰ってもいいかなと思っていたのだが、いやはや、ちゃんと聴いてみるものである。「Apologues」、睡眠時のBGMとしてヘビロテ中である。寝てない時も聴いています。今とか。

GoGo Penguin「Man Made Object」(2016)

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英国産ピアノ・トリオ、GoGo Penguinの3rd。

水曜日のカンパネラがNHKに出てきた時も驚いたが、新聞でGoGo Penguinの記事を発見した時はもっと驚いた。そんなに日本で認知度が高い人達だったん?新譜が出ることもその記事で知ったのだが、Dream Theaterの新作を買いに地元のレコード屋に行ったらその「Man Made Object」が置いてあってさらにビックリ。来日公演があると聞いて三度ビックリ。4/2,3両日にブルーノート東京で行われる由。是が非でも観に行きたいところであるがその週末は既に仕事の予定が入っているのであります。嗚呼。

国内盤の帯に曰く、GoGo Penguinの音楽は「アコースティック・エレクトロニカ」と称されているそうで、なんかもうツッコミ待ちとしか思えないネーミングだが、彼ら自身も「僕たちはアコースティック楽器でエレクトロニック・ミュージックを再現している」と述べている(ライナーより)し、前作「V2.0」の“One Percent”で私が感じたことも、端的に表現すればまさにそういうことなのかな、と。はじめは単に「いかにも今風なジャズ・ロック」ぐらいの雑な捉え方だったが。

リズム隊はせわしなく自由自在に暴れまわり、メロディックなピアノもそれにつられて熱を帯び、やがて曲はクライマックスへと達する。華麗でありつつもテンションの高い音楽である。前作は後半でムーディな雰囲気の楽曲が増えてややダレるところがあったが、今回は緊張感が最後まで持続しており、構成上の弱点は見当たらない。多彩な表情を見せる各楽曲の出来も上々。極上の完成度を誇りつつ直線的な荒々しさも顔を覗かせる、創造性がピークへ向かう途上にある様をリアルタイムで捉えた一枚。オススメ。


GoGo Penguin“All Res”(Live)

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