非思量

2014年の5枚。

2014年中に購入したCDあるいはデジタル音源から良かったものをセレクトする恒例の企画であります。今年は当たりもそれなりにあったが、期待外れのものや、結構な地雷物件もそれなりに引かされた印象。

5枚の中で順位はつけず、アルファベット順に紹介。特に発表年の表記がないものは全て2014年にリリースされた作品。ジャケット画像をクリックすると当該レビュー記事に飛びます。

1. DAAU「Eight Definitions」

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2013年の作品。チェンバー・ロックというジャンルにはそろそろ飽きてきたというか、これ以上の進展があまり望めないような気がしているが、これやフランスのMasalを聴いて、まだもう少し追いかけてみても良いかな、と思った。


2. Freak Kitchen「Cooking With Pagans」

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Freak Kitchenの作品を聴いたのは「Move」(2002)以来でかなり久々だったが、衰えるどころか更に良くなっていた。


3. 水曜日のカンパネラ「私を鬼ヶ島に連れてって」

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ムチャクチャでいいなあ。


4. Thierry Maillard「The Alchemist」

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エレガントかつスリリングなジャズ。民族楽器の導入が効果的。


5. Unheilig「Gipfelstürmer」

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曲のつくりそのものは洗練された英米ポップスといった風情だが溢れんばかりのドイツ臭が物凄くて、このいびつさがたまらん。順位はつけないと書いたが、2014年に購入した作品の中ではこれが1位。

Unheilig「Gipfelstürmer」(2014)

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Rammsteinを祖とするロック・ミュージックのサブジャンルの一つ、Neue Deutsche Härte(New German Hardness)の雄、Unheiligの9thにして恐らく最終作。最終作だと思うんだが、Google翻訳を通して読んだ公式サイトに載っていた声明ぐらい(リンク先はドイツ語原文)しかソースと呼べるものがないので、今一つ自信はない。シングル・カットされた曲のタイトルが“Zeit Zu Gehen”(Time To Go=旅立ちの時)とか、結構モロに終わりを感じさせるのだが。

80年代のメインストリームを思わせるクッキリ、スッキリしたポップな曲や絶妙なストリングスを配したバラード、ゴリッとしたギターのエッジが効いた曲、とまあ様々なスタイルの曲をDer Grafが朗々と歌い上げる。いずれの曲もメロディにフックがあり、ウェルメイドな大作映画のエンディング・テーマを延々聴かされているかのようなスケールの大きさを誇る。ちなみに歌詞は全編ドイツ語。

ゴシック・メタル~インダストリアル寄りの音を耳に心地よいポップ・ミュージックへ昇華させ、そこへドイツならではのコクというか、妙ちくりんな濃さがブレンドされて唯一無二の音に仕上がっている。そしてこの異様なまでの完成度の高さ。文句なしの2014年ベスト。最高。


Unheilig“Zeit Zu Gehen”

Masal「Viens Des Quatre Vents」(2014)

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Masal(やはりこれは「マサル」と読むのだろうか…)はJean-Paul Prat(Pf)が率いるフランスのチェンバー・ロック・グループ。2010年に28年ぶりの復活作をリリース、今回紹介する「Viens Des Quatre Vents」は復活後2作目となる通算3枚目。Sax+G+Dr+Pf+Bという編成で、ドラマーのJean PratはJean-Paulの息子。

チェンバー・ロック・グループと紹介したが、80年代Univers Zero風のシリアスさを漂わせつつも、ピアノやサックスの音色が運んでくるのは鬼面人を驚かすような邪悪さや不穏さではなく、エレガントなジャズに通ずる優美さである。探せば他にもあるのかもしれないが、このテの音でこういうしなやかさを前面に押し出した作品というのは初めて聴いた気がする。

全5曲中、3曲が10~11分台という大作志向の作品だが、どれも中弛みを感じさせない。優美でありながらオープナーらしい勢いも感じさせる“A Pied Sec”や、ドラムレスのバラード調“Mer Suspendue”といった短い曲も良い。要は全部良い。かなりのものである。オススメ。


Masal“Viens Des Quatre Vents”

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