今沢カゲロウ「Spin, spin...」(2014) 

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ベースニンジャの17枚目。今回はピアノ・トリオ編成での録音と謳われており、今沢以外のメンバーはTakuto Kudo(Key)、Yoshiyuki Sakamoto(Programming, Recording, Mixing & Mastering)となっている。

ピアノ・トリオという言葉から「ジャズをやってるのかな」と連想する方が多いかも知れないが、ジャズはジャズでもニュー・ジャズとかフューチャー・ジャズとか呼ばれる類の音である。エレクトロニックでクール、かつ、全体的に非常に抑制の効いた音世界が繰り広げられている。トリオと言いつつベースは当たり前のようにオーヴァーダブを施されているが、リズム・トラックを重ね録りするような従来の手法からは離れ、別々のフレーズがお互いに溶け込みあいながら楽曲の一要素を構成しているような、そんな印象を受ける。

15th「Superlight」(2012)のレビューで「音の隙間であるとか、あるいは奥行きを強く意識させる仕上がり」と書いたが、この作品では遂に「音そのものを聴かせることよりも、音が作り出す空間を感じさせることに注力した作風」へと辿り着いた感がある。音の「間」に即興演奏由来のものを感じさせる部分は多く、昨年あたりから行っているBASSNINJA Wired(公式サイトに曰く「世界各地の表現者との瞬間作曲プロジェクト」)からのフィードバックが強く現れているのかも知れない。作品全体を貫く程よい緊張感が心地よい快作。


アルバムのトレイラー。

2014/09/26 Fri. 21:42  edit

Category: CD/DVDレビュー:国内あ

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The Chant「New Haven」(2014) 

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フィンランドのアトモスフェリック・メタル7人組による4th。

「なんかこう、Anathemaっぽいのが聴きたい」と思っていたところにYouTubeで偶然見つけたバンドがこのThe Chantで、このバンドのことを調べていて「Atmospheric Rock/Metal」というジャンルがあることを知った。もう少し掘り下げてみようと思いYouTubeで「Atmospheric Metal」で検索をかけたらブラック・メタルのバンドばかりが引っかかってしまい、ブラック・メタルのあの小汚いVoを1ミリ秒も聴きたくない私にとっては辛い。「Atmospheric Rock」で検索をかければいいのか、と思ったがいざ試してみるとソフト過ぎてソッチはソッチでまたなんか違うなあ。まあ、いいか。

動画を貼った“Come To Pass”が「A Fine Day To Exit」あたりの頃ののAnathemaっぽいなあと思ってCDを購入してみたが、いざ聴いてみると意外にも北欧というよりはアメリカンなテイストの乾いたサウンド。包装に貼られたシールには「Modern Atmospheric Rock」云々という文言と共にPorcupine Tree、Katatoniaと並んでToolの名前が挙げられていたが、特に前半で聴ける音はなるほどToolの影響下にあることを感じさせる。ただ、楽曲自体はマス・ロック色は皆無で、ひんやりとした手触りの、ゆったりとした浮遊感のあるもの。後半は、楽曲の傾向こそ変わらないものの、ポーランドのBelieveあたりに通ずるしっとりした感触が強まる。

アルバムのハイライトはやはりラストの“Come To Pass”。この曲が見せる神秘性にはかなり引き込まれる。同じような色彩の楽曲が並ぶためやや単調に聴こえるのが惜しいが、他の曲も個々で聴くと悪くない。全体的にはやや地味な印象が拭えないが、個人的には割と好き。


The Chant“Come To Pass”

2014/09/20 Sat. 10:35  edit

Category: CD/DVDレビュー:C

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Trioscapes「Digital Dream Sequence」(2014) 

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Between The Buried And Meのベーシスト、Dan Dreggs率いるB+Sax,Flu+Dr,Perという編成からなるジャズ・ロック・トリオ、Trioscapesの2nd。

はじめは「曲のクオリティ、落ちたかな?」という印象が残った。フレーズや楽曲の構成にやや強引さが目立ち、パワフルでありながら硬軟のバランスが絶妙だった前作「Separate Realities」(2012)と比較すると、やたらと複雑な展開を見せる割に直線的なイメージが拭えなかったので。

しかし前作を遥かに上回る強固なサウンドが全ての懸念を洗い流してしまった。そのぶっとさを表現する言葉が見つからない凄まじいベース、そのベースに真っ向から勝負を挑むようなサックス&ドラム。とにかく音の輪郭が太い。それでいてその輪郭にボヤケたところが全くない。このサウンドは文句なしに素晴らしい。

それがわかると剛毅極まりない楽曲群が俄然、説得力を帯びてくる。よくよく耳を傾けてみればちょいちょい現れるフルートやパーカッションの繊細な音色に心を奪われる瞬間もある。でもまあこの作品のツボはやはりこの比類なきサウンドである。メロディを聴かせることにも気を配っていた感のある1stとは似ているようで似ていないが、抜群に説得力のある、聴き応えのある作品を続けて生み出したことは素直に称えたい。可能な限りの大音量で楽しみたい1枚。


Trioscapes“Stab Wounds”

2014/09/15 Mon. 21:07  edit

Category: CD/DVDレビュー:T

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