Young Widows「Easy Pain」(2014) 

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米ケンタッキー州ルイヴィル出身、3人組の4th。5月頃にツイッターのTLで流れてきた“Kerosene Girl”がやたらカッコ良くて思わずCDを購入するもしばらく寝かせてあった(ピンと来なかったとも言う)物件。毎年のようにこういう現象が起こるんだが、その時の上半期に聴いた音楽を夏を過ぎて涼しくなってから聴き返すと、購入当時には見えづらかった魅力がいきなり顕になることがある。なんでなんだろうか。

まあそんなヨタ話はともかく作品の中身はというと、米インディー・ロック系にたま~に手を出してみるとこういう音のヤツに当たる確率高いよな、という感じの、洗練と対極にあるような、実に埃っぽいというか泥臭いというか、どこか不吉な空気を漂わせる、頭の中でぐわんぐわん反響するようなサウンド。それをズルズルと引きずるようなスロー~ミッドのリズムに乗せて聴かせるヘヴィな音楽。

一見ぶっきらぼうだが、様々な意味においてムダなところのない、トリオ編成が繰り出すシンプルな轟音でもってして全8曲で約40分とコンパクトにまとめた手腕からは独りよがりな面が一切感じられず、そういう意味においては「とても聴きやすい作品」である。実は結構洗練された作風なのだと思うが、それでいてこのテの音楽に最も求められるであろう退廃した空気を十分保っているのがなかなかに見事。


Young Widows“Kerosene Girl”

2014/08/28 Thu. 17:35  edit

Category: CD/DVDレビュー:Y

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Sia「1000 Forms Of Fear」(2014) 

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オーストラリア女性SSWの6th。国内盤が出ていない(2015/01/06追記:2014年12月24日に国内盤が発売された模様)ところをみると日本での知名度はイマイチと思われる(私もこれまで知りませんでした)が、このアルバムは本国オーストラリア及び米国、カナダでチャート1位を記録している。Christina AguileraやRihanna、Celine Dionら有名アーティストの作品にも楽曲を提供している模様。

まず何よりシングル“Chandelier”のPVで度肝を抜かれた。肌と同じ色のレオタードを着た女の子(アメリカのリアリティショーに登場した11歳のMaddie Zieglerという人だそう)が廃墟のようなセットの中で見せる尋常ならざる動きのダンスと荒んだ表情を見せる楽曲の醸し出す絶大なるインパクト。これはちょっと面白いのではないか、と。

アルバム全体で捉えてもおおよそ“Chandelier”の持つ、どうにも弾け切れない、閉塞感が息づいている。しかし重々しい空気の中に溜め込まれた熱量がどこか普通でない気がする。実は私、体調を崩して2週間ほど入院していたのだが、入院直前及び退院直後(つい数日前ですけど)はこれを聴いていても音が全く耳に入ってこなかった。作品が放つエネルギーの量が尋常でないため、不調をきたした体が受け止められなかったのだ。え、これがビルボード1位なんですか、という「そういうフィールドで評価される音じゃないだろコレ」感。

しかし少し落ち着いてから聴くと、さすが有名どころに楽曲を提供したりしているだけのことはある安定感が際立ってくる。“Elastic Heart”“Fire Meet Gasoline”などはウェットなメロディにフックがあって好き。“Chandelier”を聴いて気になったならアルバムに手を出しても損はしないのでは。


Sia“Chandelier”

2014/08/25 Mon. 17:27  edit

Category: CD/DVDレビュー:S

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Thierry Maillard Trio「The Alchemist」(2014) 

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フランス人ピアニスト、Thierry Maillardの10th。Maillard以外のメンバーはYoann Schmidt(Dr)、Matyas Szandai(B)で、Maillardは1曲で鉄琴もプレイしている。

下に貼った動画のような、ピンとした緊張感の漂うピアノ・トリオによるジャズを軸としつつ、ヴァイオリン×6+ヴィオラ×3+チェロ×3という12人編成のストリングス隊を加え、優雅な空気を漂わせる場面も。毛並みは異なるがJon Lord「Beyond The Notes」(2004)が持つノーブルなムードに通じるものを感じさせる。

それだけなら「まあ、私の好みに合うっちゃ合うかな」で終わりなのだが、面白いのは更にギター、フルート、ハープ、ドゥドゥク(バラバンとも呼ばれる、中央アジアの木管楽器)、バウー(巴烏。中国の笛)等々、多種多彩な楽器をゲストに迎えて時に鮮やか、時にスリリングな情景を描き出していること。特に深い郷愁を漂わせるドゥドゥクの音色が冴え渡る“It's Over”や、ミニマルなフレーズのピアノとウードが絡み合う“Albatross”の出来映えはかなりのもの。

一噌幸弘・しらせ「よしのぼり」(2008)とは、まあ全然違う作風だけれども、様々な地域の楽器が渾然一体となって大変面白い世界を作り出している点では共通しているかも。曲も良い。オススメ。


Thierry Maillard Trio“Albatros”
トリオ編成によるライヴ演奏。

2014/08/23 Sat. 22:59  edit

Category: CD/DVDレビュー:T

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