Yuka & Chronoship「Dino Rocket Oxygen」(2013) 

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女性SSW、船越由佳(Pf,Key,Vo,Cho)に田口俊(B)宮澤崇(G)田中一光(Dr)という3名のセッション・ミュージシャンを加えて2009年に結成されたバンドの2nd。

彼女らの存在を知ったのは今年冒頭にNHK-FMで4夜連続で放映された「新世紀プログレッシブの波」の第4夜に船越と田口が出演したのがきっかけ。この「新世紀~」、第3夜を除いて全て聴いたものの個人的にはあまり収穫がなかった印象なのだが、その中で第4夜ラストに流れたYuka & Chronoship“Cutting Gravity”のハードな調べはとても良いと思った。なので、放送が終わりきらないうちにアマゾンでMuseaリリースの輸入盤を購入。後から知ったが国内盤はライヴ音源をプラスした2枚組だったらしい。ぎゃふん。ちなみに2枚組は完売御礼とのこと。

Roger Deanが手がけたバンド&タイトル・ロゴ、13分+24分+18分の組曲3曲という構成。この2点だけで回顧主義的なプログレから極力距離を置きたい私としては通常ならスルー必至なアルバムで、実際ユーロ・ロック・プレスのアルバム・レビューは流し読みしただけでその存在すら忘れていた。ラジオで聴かなかったらまず死ぬまでこのバンドを意識することはなかっただろう。

ピアノ/キーボードをメインに据えつつギターも割と前に出てくる、インストがメインのシンフォニック・ロックというのが大雑把な印象で、ともすればクセのないYesのインスト・パートを聴いているような気分になる瞬間もあるが、アルバム全編これまさにプログレというサウンドながら、全編を聴き通した後は不思議なほどに先人からの借り物臭が薄く感じる。確かラジオで船越は「クラシックの勉強をしていてプログレのことは全く知らなかった」という旨の発言をしていた気がするが、そのあたりの出自が関係しているのかも。「ルーツがプログレ」なのではなく「ルーツがたまたまプログレの元ネタの1つだった」から必然的にこういう音になった、というか。

プロデューサーでもある田口がバリバリのプログレッシャーらしいのでこういう見方はさすがに穿ち過ぎなのかも知れないが、それぞれに個性の違いを見せる組曲の出来映えであるとか、聴いていて心地よいサウンドであるとか、成果物はトータルで素晴らしいものになっている思う。推奨物件。


アルバムのトレーラー。

2014/01/29 Wed. 22:29  edit

Category: CD/DVDレビュー:国内や

Thread: 邦楽 - Janre: 音楽

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2013年の16曲。 

1年を振り返る企画その2。2013年に買ったCDから選曲してiTunes…あ、最近ようやくFoobar2000を入れたのでソレやiPodで聴きまくる16曲。

YouTube動画を貼りつけまくってページが重くなるのを避ける為、既にレビューで紹介済みの曲については当該レビューへのリンクを貼っておくので、興味のある方はソチラで確認していただければ幸い。

1.Shining“I Won't Forget”

レビューはコチラ
スピード感溢れるシンプルな展開とキレッキレのサウンドが良い。


2.坂本慎太郎“死者より”
レビューはコチラ
スピード感やキレとは無縁のダウナー系ポップ。


3.Phoenix“S.O.S. In Ber Air”

再びキレのある曲で。


4.Empty Days“Two Views On Flight”

しっとりとした触感のダーク・チェンバー。


5.The National“Sea Of Love”

レビューはコチラ
醒めていながらコクのあるヴォーカルが光る。


6.John Hollenbeck“Canvas”
Imogen Heapのカヴァー。メロディもアレンジもビューリホー。


7.The Gathering“Afterwords”


初代Vo、Bart Smitsの渋い声が響き渡るディープなナンバー。


8.Brandt Brauer Frick“Plastic Like Your Mother”
レビューはコチラ
テクノとダーク・チェンバーの境界線上を飄々と渡り歩くかのような。


9.Exivious“Deeply Woven”
レビューはコチラ
汗臭さとは無縁な、暑苦しくないバカテク系インスト・メタル。


10.Blue October“Bleed Out”
レビューはコチラ
恐らく昨年最も聴いた曲。もっと優れた曲はありそうな気もするが、やはりこういう激情型メロディに弱い。


11.Anna Pingina“Бесконечная”

イントロのごついベースと裏腹に洗練されたポップさを持つ曲。


12.James LaBrie“Back On The Ground”
レビューはコチラ
Dream Theaterではまず聴けない明るいメロディの曲。


13.Soilwork“Antidotes In Passing”
地味でメロウ。私のハートを鷲掴み。


14.Alter Bridge“Lover”
Myles Kennedyのものごっついヴォーカルが堪能できる。なんなんだコイツ。


15.Anneke van Giersbergen“Shooting For The Stars”
掛け値なしにど・ポップな方向に振った曲。


16.Steve Hogarth & Richard Barbieri“Elaine”

締めは消え入るように。

2014/01/18 Sat. 01:27  edit

Category: 2013年の5枚+α

Thread: 音楽のある生活 - Janre: 音楽

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Empty Days「Empty Days」(2013) 

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イタリアを拠点とするRIO(Rock in Opposition)/チェンバー・ロック系の作品をリリースするAltrockレーベルに所属するYugenというバンド(私は未聴)のギタリスト、Francesco Zagoをリーダーとするプロジェクトの1st。

深い翳りを帯びた、ノイズや音響処理を加えたアコースティック調のサウンドはモロにRIO~チェンバー方面のそれ。16~17世紀の英作曲家兼リュート奏者であるJohn Dowland作の2曲を含む7曲のVo曲と7曲のインスト曲が交互に並ぶ構成。1曲目の“Two Views On Flight”は6曲で歌っているElaine Di Falcoによる落ち着いたVoの多重録音が実に端整な表情を見せており、正直、少し感動した。Vo入りの残りはRachel O'Brienが“Flow My Tears”(John Dowland作の2曲のうちの1つ)で流麗なソプラノ・ヴォイスを披露している。

インスト曲は21世紀に入ってからのArt Zoydを彷彿させる、かなり現代音楽風味の強い曲が多い。隙間の多い、様々な楽器が爪弾く単音の連なりで幽玄の世界を感じさせる曲から、ありていに言ってしまうと一般人にはお化け屋敷のBGMにしか聞こえないようなのものまで。後者は怖い。

1曲目の感動が最後まで持続するかと言われると少し苦しいが、出来は良い。暗黒チェンバーと呼ばれる音楽の虚ろな雰囲気だとか、クラシックを基調としたある種の優雅さといったものは着実に継承しており、このテの音に興味がある人向けの入門編としては悪くないのでは。もう一歩ディープな世界に踏み込んだアルバムとしてはJean-Philippe Goude「Aux Solitude」(2008)という傑作もあるので、興味のある方はチェックしてみて欲しい。


Empty Days“Running Water”
このテの音の、典型的なタイプの曲と言えるかも。

2014/01/13 Mon. 00:27  edit

Category: CD/DVDレビュー:E

Thread: 洋楽CDレビュー - Janre: 音楽

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Steve Hogarth & Richard Barbieri「Arc Light」(2013) 

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今年もよろしくお願いします。パソコンが壊れて更新できなかったので溜まっていた物件を片付けなければ。

というワケで新年一発目。MarillionのSteve Hogarth(Voice/Words)とPorcupine TreeのRichard Barbieri(Music)の、「Not The Weapon But The Hand」(2012)に続いてリリースされた5曲入りのミニ・アルバム。私はMarillionの公式サイトから購入したが、1/13にそれ以外のショップからも買えるようになる模様。

オンラインで配信された“Intergalactic”が新しいヴァージョンで収録されている以外は全て新曲だが、「A "little brother" to their album "Not The Weapon But The Hand"」という触れ込みからすると、「Not The Weapon~」のアウトテイク集なのかも知れない。全体的には「Not The Weapon~」と同じように磨きこまれたサウンドに耽溺する作風ながら、こちらの方がより内省的というか、もっとハッキリ言うとダウナーな感覚が漂う。曲のクオリティが「Not The Weapon~」のそれより劣るワケではないが、やや寄せ集め感があるのは否めず、更にマニアックになった印象。まあこのアルバムを購入する人はその時点で十分マニアックなので、別に問題はないだろう。

そんな中、やや異彩を放っているのがラストの“Elaine”。Elaineとは2007年に亡くなったHogarthの母親のこと。ピアノとごくごく控えめなパーカッション、ストリングスとサンプルのヴォイスで、静かに感傷的な心象風景を描き出している。他の曲と同じく大仰な展開を見せることはないが、“So easy to forget... You'd become an old lady”という歌詞に続いて現れる、シンプルなフレーズのピアノと後ろから立ち上がってくるヴォイスが聴き手の感情を微かに揺さぶる。コレが結構、沁みる。

2014/01/09 Thu. 22:02  edit

Category: CD/DVDレビュー:S

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