非思量

Blue October「Sway」(2013)

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テキサス州ヒューストンで結成された4人組(Vo,G+B+Dr+Vln)の7th。自主レーベルからの発売で、ファンからの予約でレコーディング費用を賄う、現在インディー系ミュージシャンの間で流行のMarillion方式で製作された。

前作は良く出来ていたとは思いつつ“The Feel Again(Stay)”という一撃必殺の曲とその他大勢のちょっととっつき辛い曲、という印象が拭えなかったが、個人的に一番お気に入りな、シリアスに歌い上げる1stシングルのバラード“Bleed Out”以外にも、荘重な展開で聴かせる“Fear”や、柔らかくポジティヴなサウンドとメロディが印象的な“Things We Don't Know About”、打ち込みを使用してちょっぴりR&Bの香りを漂わせる“Light You Up”、サビでダイナミックなリズムを聴かせる“Things We Do At Night”等、全体的にクオリティ面での底上げがなされている。

ストリングスもフィーチュアした、ヘヴィネスを強調しないポスト・グランジ~アメリカン・ハード・ロック路線を継承しつつ、全体的に前作よりも馴染みやすい曲が増えたように思う。一部の曲ではさらにPeter Gabriel(或いはソロ転向後のFish)色が強まっているヴォーカルも前作より良くなっている。なおVoを除きGenesis色はゼロ。但しPeter Gabriel「So」「Us」に通ずるスケールの大きさや静謐さのようなものは結構強く感じられる。Rush「Presto」、或いはMarillion「Holidays In Eden」といった、カタログの中ではやや地味な佇まいを持つアルバムが愛せる人にはオススメできるかも。良い作品。私はこういうの、好きだ。


Blue October“Bleed Out”

Shining「One One One」(2013)

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前作「Blackjazz」(2010)が高い評価を得たノルウェー(スウェーデンに同名のブラック・メタル系バンドあり)のShiningが放つ6th。ブックレットに記載されているメンバーは1人減って4人となっている。

容赦のないサウンド及び音楽性が一部の好事家の心を鷲掴みにした「Blackjazz」の、サウンドは方向性を踏襲している。カミソリのように空気を切り裂くそれはどこまでも刺々しいが、演奏も含めてあまりにキレが良いので、逆に聴き易いと感じる人もいるだろう。一方、変わったのは音楽性。変わったというか、前作のブラック・メタルとかインダストリアルとかポスト・ロックとかトランスとかアヴァン・ジャズとか、何でもゴッタ煮にしてしまっていたものが純化してハードコアな何かに変貌を遂げている。どうしてこうなった。

この剛直球一本勝負が全9曲、36分弱に渡って繰り広げられる。変化球は一切ナシ。前作の成功を受け、迷いがないからこうなったのか、それとも迷いが生じたが故にこうなったのか。聴く側には知る由もないが、階段を駆け上がっているうちに疲れてきたので踊り場でちょっと膠着、という印象が拭えないのは確か。カッコいいことは間違いないなのだが。

次も同じ手で来るとは思えず、いきなり全編丸ごとムード・チェンバーで占められたアルバムとか出してきそうで怖い。このアルバムによってShiningが予測不可能な、スリリングな存在になったことは間違いなかろう。繰り返すけどこのアルバム、カッコいい。ただ、前作を気に入った人に積極的に薦めてよいものかどうかは迷う。


Shining(Nor)“I Won't Forget”

James LaBrie「Impermanent Resonance」(2013)

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Dream Theaterのシンガー、James LaBrieのソロ。前作「Static Impulse」(2010)と同一メンバーで録音されており、Peter Wildoer(Dr)のグロウルがまず飛び込んでくる冒頭の“Agony”に代表されるエクストリーム・メタルとメロディックなプログレ・ハード寄りのスタイルが共存するスタイルも前作同様。

その“Agony”を発売前に聴いて「今回は前作の劣化盤かなあ…」とあまりポジティヴな気持ちにはなれなかったのだが、作品の出来としてはむしろスケール・アップしていて嬉しい驚き。ソングライター陣に元SoilworkのPeter Wichersら北欧勢が名を連ねているからなのかどうなのか、全体にほんのりと(曲によっては明確に)北欧的な透明感が漂うようになっている。

最も顕著なのが“Back On The Ground”。これはMatt Guillory(Key)1人で作られた曲だが、LaBrieのヴォーカルが冴え渡る、とてもメロディックな曲に仕上がっている。後半に並んでいる重厚な“Destined To Burn”~繊細な“Say You're Still Mine”~哀感漂う“Amnesia”のバラード調3連発も、それぞれタイプの異なるキャッチーなメロディを聴かせる。この流れはとても好き。

力入りすぎなアレンジ(特にドラム)も相変わらずだが、直線的過ぎたサウンドがアレンジの妙で多少なりとも柔らかな色彩を帯びるようになっているし、何より焦点がLaBrieの歌に向けられているのが好ましい。直接比較してもしょうがないが、LaBrieの歌唱を堪能するならDream Theaterよりもコチラですよ。


James LaBrie“Back On The Ground”

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