きゃりーぱみゅぱみゅ「なんだこれくしょん」(2013) 

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今や時代の寵児、と呼んでいいのだろうか。NHKアナでさえその名前を読む際に苦労するきゃりーぱみゅぱみゅの2ndフル。

“ふりそでーしょん”のPVを観てシュールな歌詞やメロディに魅かれて通常盤を買ってみたが、外国人が喜びそうなエキゾチシズムを内包した“にんじゃりばんばん”、クレヨンしんちゃんのOP“キミに100パーセント”、歌詞が何も言っていないに等しい“インベーダーインベーダー”“み”等、意外性よりもJ-POPとしてひたすらラヴリーかつキャッチーであることに焦点を絞ったアルバムである。“ふりそでーしょん”も改めて聴いてみるとサビ以外は割と普通だった。

最初は“ファッションモンスター”の出来が突出していると思ったが、洋楽エレクトロニカ臭が濃いこの曲がむしろ浮いてるのかな、と。ただ、“ファッションモンスター”がアルバムのハイライトとして君臨していることは間違いない。Capsuleのセルフ(と言っていいのか?)・カヴァー“Super Scooter Happy”やラストの“おとななこども”も、他の曲とはやや異なるクールな色彩を帯びていて良いと思う。

きゃりーぱみゅぱみゅの声質も含めて、おもちゃ箱をひっくり返したようなアルバム。ちょっと途中で辛くなる時間帯があることもまた確かなのだが、聴いていて思わず踊りだしたくなるようなフワフワしたムードが結構楽しい。

余談。“ファッションモンスター”を聴いていて思ったこと。最初はその奇抜なファッションから篠原ともえの現代版かな、と思っていた(可愛いし)が、そこはかとなく漂う甘酸っぱいテイストから何となく連想したのがレベッカ。未成年から支持を受けるガールズ・ポップ/ロックて、時代やスタイルが変わっても歌詞から滲み出る世界観はそう大きく変わらないものだが、だからといってレベッカを思い出してしまうというのは…トシだな。


きゃりーぱみゅぱみゅ“ファッションモンスター”

2013/06/28 Fri. 21:23  edit

Category: CD/DVDレビュー:国内か

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Anna Pingina「Ahimsa」(2013) 

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1at「Moy」(2010)が大変良く出来ていたロシアの女性シンガー、Anna Pingina待望の2nd。ロシア語表記だとАнна Пингина「Ахимса」。今のところDLのみでの販売なので今回の音源入手にitunes Storeを利用したのだが、音源をデータで購入するの、実はこれが初めてである。ただ聴く分にはこれでも大きな問題はないんだが考え方が古いのか、やはりCDというカタチのある形態で持っていたくなる。ジャケットのデザインもいいし。が、どうもCDでリリースされた形跡は今のところなさそう。むむう(2013/9/3追記:Garden ShedにCDが入荷された模様)。

作品の出来は今回もまことに素晴らしい。全体的にしっとりとした色彩が濃くなっているように感じられる。イントロや間奏におけるきらびやかなピアノの旋律がメロウなAOR臭を微かに漂わせる“Бесконечная”が一番好きだが、うっすらとエレクトロニクスをまぶしつつ様々なスタイルをフィーチュアした楽曲はどれも魅力的。ラストに爽やかなアレンジのロック・チューン“Облака”を持ってくる構成も良い。

トラッド~ケルト~シンフォ系を網羅したフィーメイル・ポップ/ロックの、ある種理想形ではなかろうか。傑作ですよ!前作「Moy」に言及した日本語サイトがウチを含めて2件しか見つからないのだが、もっと幅広く聴かれても良いと思う。少なくともユーロ・プログレに目がないマニアや辺境女性ヴォーカルのファン(そんなのいるのか)にはもっと注目されても良さそうなものだがそういった気配があまり感じられないのは何故だ。パツキン美女じゃないからか。


Anna Pingina“Daylight Is High”
アルバム唯一の英語詞曲。

2013/06/15 Sat. 22:10  edit

Category: CD/DVDレビュー:A

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The National「Trouble Will Find Me」(2013) 

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NYに拠点を置くインディー・ロック5人組の6th。インディーと言ってもセールスは立派なメジャー級で、このアルバムはアメリカで発売第1週に75,000枚の売り上げを記録している。私事ながら、発売日翌日ぐらいに地元のレコード屋でこのアルバムを入手しようとしたら「売り切れ」だった。売り切れつーても1,2枚しか売れてないと思うけど、私が住んでいるクソ田舎でも売れてるぐらいなのだから、日本でも結構な勢いで人気が浸透しているということか。

新譜のレビューを書くにあたり、前作「High Violet」(2010)のレビューを読み返し、音源も久々に聴いてみたが、やはり「High Violet」が今一つ入り込めないアルバムであることに変わりはなかった。更にその一つ前の大傑作「Boxer」(2007)と比較すると、ハッキリとどこがどうとは言えないが、何か「濁り」のようなものが感じられるのだ。楽曲の質も落ちてるし。

で、新作。一言でまとめてしまうと「だいぶ持ち直している」。月夜の中、静かに水辺で佇んでいるような、尖っているのにどこか優しい「Boxer」の雰囲気が復活している。“Fireproof”“Humiliation”あたりが特に優れており、空気の振動が伝わってくるような低音でボソボソ歌う“Demons”、急き立てるようなドラムとニヒルなVoの対比が麗しい“Sea Of Love”なども味わい深い出来栄え。

前述の「濁り」が完全に払拭されたとは言えないが「Boxer」と比較さえしなければ十分に良作だと言える(そもそも「Boxer」は私の'00年代ベストですから)。丁寧に塗り重ねられていながら厚ぼったさを微塵も感じさせないサウンドはさすが。聴く前は今作に関してかなり悲観的だったが、まずは一安心。


The National“Sea Of Love”

2013/06/07 Fri. 21:52  edit

Category: CD/DVDレビュー:N

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Phoenix「Bankrupt!」(2013) 

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フランス出身4人組の5th。前作「Wolfgang Amadeus Phoenix」(2009)がグラミー賞を受賞しているらしいが、恥ずかしながら全く知らなかった。“Entertainment”の韓国ドラマや北朝鮮のマスゲームをイメージさせる映像を脈絡なく繋ぎ合わせたようなPVと、まるで80年代ディスコ・ミュージックのようなサウンドや曲調に「何だこりゃ?」と興味を魅かれてアルバムを買ってみた。私が購入した国内盤は“Entertainment”のリミックスを3曲収録したCDを含む2CD仕様。

帯を見るとVo+G×2+Bという編成(ドラムはゲストを招いている模様)だが「80年代のRushでももう少し控えめだったんじゃない?」と言いたくなるシンセ・サウンド大行進。ギターやベースの存在感がやけに薄い。そのシンセはやたらとキラッキラして叙情性を拝した80年代風味。フレーズもやけにアジアへの憧憬を感じさせる無国籍風味が全編を貫く。こ、これが最先端のポップ・アルバムなんでしょうか?繊細と言うか、どことなくフニャッとした味わいのヴォーカルなど、確かに現代的に響く箇所もあるが、それは別としても、「オッサンが既視感を覚える音」が今の若いリスナーには新鮮に響くのかもしれない。

訳詞を読むと、歌詞からはグラミーを獲ってスターダムにのし上がったが故の苦悩のようなものを感じないでもないが、前述の“Entertainment”は言うに及ばず、ダンサブルな側面を強調した“S.O.S. In Bel Air”、キラキラした中にゆったりした荘重さを覗かせる5分弱(アルバムの中では尺が長い)の“Bourgeois”等、時に享楽的、時にロマンティックな楽曲は魅力的で、オルタナティヴ~エレクトロニカ系のポップ・ソング集として楽しめる。初めて聴いたのにこのようなことを書くのもちょっとどうかと思うが、バンドが成熟期に入ったと思わせる完成度を誇る作品である。



Phoenix“Entertainment”

2013/06/01 Sat. 22:37  edit

Category: CD/DVDレビュー:P

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