非思量

Pamela Moore「Resurrect Me」(2013)

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Queensryche「Operation:Mindcrime」(1988)に参加したことでメタル・ファンにその名を広く知られることとなった女性ヴォーカリストPamela Mooreの、ソロ名義としては4枚目となるアルバム。Solna「Eurameric」(2009)で共演したRalf Scheepersがゲストで参加している。

オルタナティヴ色が濃厚だった前作「Stories From A Blue Room」(2006)から一転、メタリックなサウンドが支配的。ハスキーで個性的な声と多彩な表現力を持つ人だがなんだかんだ言っても「The voice of Sister Mary」として名が売れている人、「コレがアタシの生きる道」と見定めたか。

とは言え、Radar「RPM」(2000)のサウンドを今風のヘヴィなものにアップデートしたようなSolnaとはまた異なる味付けになっている。サウンドはSolnaにも増してヘヴィネスを強調しており、メロディ・ラインは「Stories~」のオルタナ風味にメタルらしい高音を付け加えたダークな感じで、Radarのような、所謂メロハーと呼ばれる音楽性からは遠いところにある音楽、だと思う。

感心するのは、1stソロの発売が1981年だからもうそれなりにトシを食っているハズなのに高音の伸びが結構なレヴェルを維持していること。6年前、Queensrycheに帯同して来日した時のヴォーカルも大変良かった(「Mindcrime At The Moore」(2007)ではイマイチ調子が良くなさそうだったが)し、昨年、Todd La Torre側のQueensrycheにライヴでゲスト参加した動画を見ても、オーディエンス録音で不明瞭ながらなかなかの歌唱を聞かせていた。プロフェッショナルですなあ。


Pamela Moore“Paranoia”

Colin Edwin & Jon Durant「Burnt Belief」(2012)

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Porcupine Treeのベーシスト、Colin EdwinがJon Durantなるギタリスト/作曲家とのコラボレーションで作り上げたアルバム。Ex-Wise HeadsでのEdwinの相棒、Geoff Leighが“Balthasar's Key”でフルートをプレイ、パーカッション類をゲストのJerry Leakeが担当している他は全ての楽器(ベース、エレクトロニクス、プログラミング、ギター、ピアノ)をEdwinとDurantの2人で演奏している。

Ex-Wise Heads「Schemata」(2011)はエキゾチシズムを強く匂わせるアルバムだったが、コチラは各種パーカッションからそういった風情を漂わせつつも、Durantのギター/ピアノがさほど前面に出ているワケではなく、澄んだ音色の楽器やエレクトロニクスが深遠なイメージを形作る、ディープなアンビエント風味の作品に仕上がっている。

メロディ云々と言うよりも、Ex-Wise Heads同様、音の奥行きというか、音楽を聴くことで脳裏に広がる視覚イメージも込みで味わう作品と言えばよいだろうか。Ex-Wise Headsとは全然違うけど、根底ではどこか似通っている。アチラが好きな方ならコチラも好みの音である可能性は高いと思う。ピシッと引き締まった、凛とした空気が実に心地よい。睡眠時のBGMとしてもグッド。



Colin Edwin & Jon Durant“Semazen”

Paula Cole「Raven」(2013)

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アメリカ人女性SSW、Paula Coleの「Ithaca」(2010)以来となる6th。

Deccaから離脱して新作を製作するにあたり、彼女はアルバム制作費をファンから募る形を採った。結果、目標の50,000ドルを大きく上回る75,258ドルを集めることができ(詳細はこの記事に詳しい)、アルバムも無事リリースされた、という次第。全然知らなかった…。発売元の「675 Records」は恐らく彼女の自主レーベル。

豊かな声量を生かした繊細極まりないトーンの使い分けこそが彼女の歌の特色だが、その特性は四十路も半ばを迎えようとして衰えるどころかさらに冴え渡っている。Peter Gabriel「Secret World Live」(1994)の映像版で衝撃を受けて以来のファンだが、今も昔も変わらず驚異的に上手い。6分以上に及ぶ“Manitoba”や5分弱の“Why Don't You Go?”の流れで彼女のヴォーカルの真髄を堪能できる。静と動、柔と剛の対比というか、使い分けがあまりに鮮やか。

YouTubeで動画が公開された“Eloise”はこれまでになく軽いタッチの曲だが、全体的には落ち着いたムードの中に激しさを内包した、「Courage」(2007)以降のテイストを引き継ぐ作風になっている。パッと見には少し地味かも知れないが、深い味わいの良い作品だと思う。我らがTony Levinも半分強の6曲で参加。


Paula Cole“Eloise”

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