非思量

John Hollenbeck「Songs I Like A Lot」(2013)

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The Claudia Quintetの首領John Hollenbeck、ソロ名義としては2010年の「Shut Up And Dance」以来となるアルバム。The Claudia~の「I, Claudia」(2004)以降、この人の作品も長いことフォローし続けているなあ、私。と言いつつ抜けも結構あるんだが(「Shut Up And Dance」も未購入だったり)。

さてこの「Songs I Like A Lot」であるが、The Claudia Quintet +1「What Is The Beautiful?」(2011)にも参加していたTheo Bleckmann(Vo)をはじめとして、Kate McGarry(Vo)、The Frankfurt Radio Big Band等の多数ゲストを迎えて製作されている。

タイトルからも推測できる通りカヴァー・アルバムで、選曲は“Wichita Lineman”のようなカントリーからおなじみQueenの“Bicycle Race”、テクノ・ミュージシャン竹村延和の“Falls Lake”等々、多彩そのもの。多彩過ぎて私には馴染みのない曲だらけ。数曲、YouTubeにアップロードされていたオリジナルと聴き比べてみたが、オリジナルの歌メロを尊重しつつ、流麗かつエモーショナルなコンテンポラリー・ジャズに姿を変えていることがよく分かる。美しいメロディ・ラインを持つ曲が選ばれているので、そこをあまりいじらなかったのは正解だろう。ラストの“Chapel Files”のみインストで、恐らくオリジナル曲。

元ネタの多くがヒット曲ということもあってか、The Claudia Quintetのような実験性よりもポップさが先に立つ作風。Kate McGarryのコケティッシュなヴォーカルが映える“Bicycle Race”もいいけど個人的にはImogen Heapのカヴァー“Canvas”が纏う天上界の美しさが非常に印象的だった。オシャレな感じでなかなか良いよ。

坂本慎太郎「まともがわからない」(2013)

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exゆらゆら帝国の坂本慎太郎による3曲入りシングル。

ゆらゆら帝国は聴いたことがない。なのに何故コレを買おうという気になったかというと、MTVでこのCDの2曲目に入っている“死者より”を見て面白く思ったから。ゆらゆら帝国はサイケデリック・ロックのバンドとして認識されていたようだが、なるほど“死者より”からもサイケデリックな酩酊感のようなものは伺える。ドラムとコンガとベース、そして最低限のホーンや鍵盤、そしてクイーカ(NHK「できるかな」のゴン太くんの鳴き声に使われていた楽器)等で構成された、音の隙間を聴かせるタイプのサウンドに乗っかる「いきものって うらやましい いきものめ いきものどもめ」というシュールな歌詞。いきなり2013年ベスト・トラック候補が登場…は大げさだが、結構なインパクトを受けたのは事実。

タイトル・トラックのどこか懐かしい感じがするファンク歌謡テイスト“まともがわからない”や3曲目のFrancis Lai“Un Homme Et Une Femme”(“男と女”ですね。サバダバダ、サバダバダ♪)に通ずる気だるいバラード“悲しみのない世界”にも言える事だが、冷めた諦念というか、体の半分があの世に旅立ってしまっているような、熱のこもっていないアンニュイなグルーヴが全体を支配している。初回限定盤は2枚組になっていて、その2枚目に収録されたテレビ東京系ドラマ「まほろ駅前番外地」サウンドトラックについても同様。“ひろくん”は個人的にお気に入り。“Phantom Of The Opera”がサイケデリックな装いを纏うとこういう風になるのか、と。

普段はどちらかというと過剰に熱を発する音楽を好んで聴くので新鮮だった。たまにはMTVなども見ておくモンである。一時期、チャンネルを合わせたらなぜか100%近い確率でヒップホップばかり流れてきてイヤになったのでしばらく観ていなかったんだが。購入するなら初回限定盤がオススメ。


坂本慎太郎“死者より”

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