Balmorhea「Stranger」(2012) 

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テキサス州オースティンを拠点に活動しているバンドの5th。結成時のメンバーは2名だったが現在は6人編成で、バンド名のBalmorhea(バルモレイ)はテキサス州にある小さな街の名前から取られたものだそうだ。

再生をはじめてまず耳に飛び込んでくるのはケコケコした響きのエレキ・ギター。こ、このギター・サウンドは…ポ、ポポポ、ポスト・ロックじゃあああ!ポスト・ロック、私はつまみ食いどころか匂いを嗅いだだけで「あ、これダメだ」と拒絶してしまったんだなあ。PeleやTortoise、Sigur Rosあたりを聴いてはみたんだがどうにもダメで(あ、でもSleeping Peopleの1stは良かったな)…。どうやらポスト・ロック/音響系からの影響というのはバンド自身も認めるところのようで、国内盤のライナー・ノーツには「彼ら自身も大ファンであるトータスのジョン・マッケンタイアのSOMAスタジオで2曲を録音」とある。

というワケでいきなり不安になったが、この作品、良い。ケコケコ・ギター云々と書いたオープナー“Days”もかわるがわる現れるスティール・パンやストリングス、男性コーラスが楽曲に奥行きを与え、“Dive”ではストリングスが力強く舞い上がるような旋律を奏でている。前半はストリングスを大々的にフィーチュアして荘重な空気を作り出し、後半はロック・バンド的なサウンドを指向した“Artifact”のように比較的アグレッシヴな曲をはさみつつ幻想的でソフトなサウンドを聴かせる。“Shore”などはその名のとおり、美しい浜辺をイメージさせる佳曲。

1つ1つの音が重厚な印象で、穏やかでありながら存在感のある世界を描き出している。楽曲のクオリティも総じて高い。睡眠時のBGMにも重宝できそうな1枚。


Balmorhea“Fake Fealty”

2012/12/28 Fri. 22:29  edit

Category: CD/DVDレビュー:B

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Siberian Newspaper「0」(2012) 

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日本発、G×2+B+Vln+Pf+Perによる6人組(もう1名ディジリドゥ奏者がいるが長期休養中)の5th。名前だけは少し前から知っていて気にはなっていたが、ようやく新作をゲット。調べてみると彼らの楽曲はCMで流れることもあるそうな。テレビは競馬中継とNHKニュース以外、ほとんど見ないので全然知らなかった。

アコースティックがメインのアンサンブルを従えて、クラシックだったりトラッドだったりするヴァイオリンがひらひらと舞うようにメロディを響かせる、というのが基本スタイルだが、ドラムのサウンドが硬質なせいか、音楽性が非常にロック~ポップスに接近したものに感じられる。オープニングの“Kimi Ga Hoshii”もそうだし、ラスト前に配された“Vetro”はパンキッシュと形容したくなるほどにヤケクソ気味なスピード感で駆け抜ける。ジャズ的なラストの“Recovering”のように、アコースティックの音色を活かした美しい曲も存分にフィーチュアされている。

ジャンルで括ればチェンバー・ロックということになるのだろうが、いわゆるレコメン系とは全く違うしムード・チェンバーやモロ室内楽系ともやはり異なる。西洋の音楽をベースとしつつ、西洋チェンバーに漂いがちな宗教色のようなものが一切感じられない、淀みのない透明な感じが日本的だと思う。この辺りの感覚は上手く言い表せないのだが。いずれにせよ、良い作品。


Siberian Newspaper“Kimi Ga Hoshii”

2012/12/25 Tue. 22:57  edit

Category: CD/DVDレビュー:国内さ

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趣味:音楽鑑賞(主に洋楽) 

職場の同僚A氏(私と同い年)は四国の海沿いのクソ田舎で生まれ育った身でありながらブラック・ミュージックを愛する奇特な人。辺境プログレを愛する私とは音楽的嗜好こそ大きく違うが、趣味の話をしてもついてこれる人が身近にいない業の深さにおいては同類である。

先日、職場向けの広報に載っていた新人職員紹介を読んでいると、1人の女性職員プロフィールに「趣味:音楽鑑賞(主に洋楽)」と書いてあるのをみつけた。ここの読者諸兄ならわかってもらえると思うが、こういう場面に出くわすと音楽好きは無駄にテンションが上がってしまうワケですよ。

「わざわざ『洋楽』て書いてありますよ!」
「好きなミュージシャンの名前が長過ぎて書ききれなかったんですよきっと。ミシェル・ンデゲオチェロとか」
「もしくはフォントがなかったとか。ジ・アーティスト・フォーマリー・ノウン・アズなんちゃら的な」
「一口に洋楽つーても色々ありますからねえ。アフリカの民族音楽も『洋楽』ですかね?」
「『ウクライナのプログレに興味があるんです』とか言われたら求婚せざるをえない」
「ベ、ベラルーシとか、あと東欧のハンガリーあたりはどうですか!?て訊いてみたくなりますね」

いつも自分の殻に閉じこもっている(話したところで誰も理解できないから)我々だが、やはり仲間は欲しいのである。しかもそれが女性だったりしたらステキやん?ま、A氏は既婚者ですけど。

「でも訊いてみたら『テイラー・スウィフトが好きです』とか、そういうオチになるんですよ、きっと」

全然接点がない部署の子なので訊く機会もないが、まあ、実際そんなところに落ち着きそうな気がする。今日も我々は孤独だ!

2012/12/22 Sat. 00:01  edit

Category: ライヴレポ、雑記等

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アンクルボーイ「宇宙カラコンニチワ」(2012) 

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斉藤孝太郎(Cello)、うしろから前川(B)、ひかり(Ds)からなる変則トリオ、アンクルボーイの2nd(ひかりはこの作品から加入)。1st「ボクはN極、キミはS極」(2010)は未聴ながら、同作品に収録されていた“Stand On Clara”のPVを観たら思わぬヘヴィさと悪趣味な映像が妙に気になったので最新作を購入してみた。


アンクルボーイ“Stand On Clara”

ジャケットも奇天烈なら帯になぜか浅野起州(プロレス団体、IWAジャパンのオーナー)のコメントが載せられていてさらに奇天烈。しょっぱなの“宇宙通信 I”~“スペースカーニバル”もジャケットそのままに奇天烈というかコミカルな流れ。ここで単なるキワモノと断じたくなるが、それ以降は(ラスト2曲でコミカル路線に戻るけど)結構マトモというか真面目。ヘヴィなジャズ・ロックから静謐なチェンバー・ロック~ニュー・エイジ風味まで、様々なスタイルの曲を演奏している。コミカルさとシリアスさが程よいバランスを保っていて、上手に作ってあるなと思わせる。

マトモと言っても弦楽器隊が5弦エレクトリック・チェロ+7弦ベースという他に類を見ない編成で、出てくる音はオリジナリティの塊。YouTubeで上がっているライヴの映像がやたらカッコ良くて気になるのだが、ついこないだ大阪に来ていたのか。くそう、見逃した。いつかライヴを観てみたいバンド。突き抜けていてなかなか良い。

2012/12/17 Mon. 21:20  edit

Category: CD/DVDレビュー:国内あ

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Machacek Preuschi Pirker「Fat」(2012) 

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Terry Bozzioとの共演やUKZへの参加等で知られるギタリスト、Alex Machacekが母国オーストリアのミュージシャン、Raphael Preuschi(B)とHerbert Pirker(Ds)を率いて結成したFabulous Austrian Trioの作品。ミュージシャン名は3人の連名で、作品名がトリオ名を省略したと思しき「Fat」である。ちなみに2006年にMachacekのソロ名義で発表された「Sic」も今回と同じトリオで録音されたものだそうだ。

作品の基礎を成すのはクールで抑制の効いたジャズ・ロックで、ドッタンバッタンとせわしなくなる場面は少ないが、おバカなノリのオープニング“Why Not? (aka Disco Polka)”やジャンクなテイストの“Compromising Evidence”といった変り種もプログラミング・サウンドを交えつつふんだんに盛り込んでいて、なかなか魅力的な仕上がりになっている。

しかし何より、随所でア然とする光速フレーズをシルクのような滑らかさで繰り出して聴き手を圧倒するMachacekのプレイこそが最大の聴き所。ホントこの人のギターはどんなフレーズでも聴いていて気持ちがいいな。どんなに複雑なことをやっていても、それを感じさせずにサラッと聴かせてしまう。私は「好きなギタリスト」というのは特にいない(強いて言えばRobert Fripp)のだが、技術、変態性ともに非常に高い次元にいる彼の出す音には不思議と魅入られてしまう。

かつてTerry Bozzioとの共演をナマで観たことがあるが、もう一度ライヴを体験したいと思わせてくれる作品。


“What A Time To Be Me”2010年のライヴ映像。

2012/12/13 Thu. 23:05  edit

Category: CD/DVDレビュー:M

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