Marillion「Sounds That Can't Be Made」(2012) 

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イギリスのヴェテラン5人組の新作。アコースティック調にリアレンジしたセルフ・カヴァー「Less Is More」(2009)からは3年ぶり、オリジナルとなると「Happiness Is The Road」(2008)以来4年ぶりとなる。

1曲目の“Gaza”がヘヴィかつシアトリカルなイントロから唐突な場面展開を交えつつ演奏時間が17分半にも及ぶという、いきなり聴き手の忠誠心を試すような展開で個人的にはゲンナリしたのだが、80年代的な清冽な透明感を湛える“Sounds That Can't Be Made”~か細い音色がどこかうら寂しさを感じさせる“Pour My Love”~アルバムの中では最もシリアスでハードな“Power”という、2~4曲目までの短めの曲が並ぶところの流れはなかなか良い感じ。その後、曲の展開がいかにも彼ららしさ全開の“Montréal”、それぞれ「Happiness Is The Road」「Somewhere Else」(2007)収録曲に近い雰囲気の“Invisible Ink”“Lucky Man”を経て、ラストは繊細な長尺曲“The Sky Above The Rain”でクライマックス。

正直、このレビューを書くために聴き返すまではそれほど良い印象を抱いていなかったのだが、少しひねって2曲目から聴くと「あれ、ええやん?これ」と思ったし、1曲目も改めて聴くと場面ごとのメロディは悪くない。最後の曲は結構感動的。サウンドは洗練されているけどちょっと掴みどころがないかな…ぐらいにしか思っていなかったがそんなことはなかった。意外とキャッチーな面もある。勿論Marillionのことなので取っ付き易いとは言い難い(過去ヒットを飛ばしている割りに、その傾向は昔から変わらない)が、それでも近年の作品の中では掴みが強いほうだとは思う。


Marillion“Power”

2012/09/29 Sat. 23:50  edit

Category: CD/DVDレビュー:M

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The Gathering「Disclosure」(2012) 

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オランダの元(?)ゴシック・メタル・バンドの10th。前作から加入したSilje Wergeland(Vo)も引き続き参加、メンバーの変更はない。

前作「The West Pole」(2009)から音楽性は表面的にはそう変わっておらず、夢と現を行き来しているような浮遊感や幻想感のあるサウンドの中を、Voがひらひらと舞うように歌っている。前作の“Treasure”“A Constant Run”のような鮮烈なメロディを持つ曲がないため、「Home」(2006)の内省的なムードが再び色濃くなっているようにも感じられる。

トリップ・ホップ~サイケデリック的音像の中に時折浮かび上がるグルーヴ感が目新しいが、どこか神秘性を感じさせるバンドの個性をAnnneke Van Giersbergenがいなくなっても保っているのは大したものだと思う。昨年PVが公開された“Heroes For Ghosts”が一番好きだが、トランペットが寂寥感を演出していて、割とストレートにロックしている曲が目立った前作と今作の違いをクッキリ浮かび上がらせている。なんとなくクセになる音。


The Gathering“Heroes For Ghosts”

2012/09/21 Fri. 23:14  edit

Category: CD/DVDレビュー:G

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Diablo Swing Orchestra「Pandora's Piñata(Pinata)」(2012) 

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メタル+ビッグ・バンド+オペラという狂った組み合わせの音楽性を持つスウェーデン産変態さんの3rd。トランペットとトロンボーン奏者を正式メンバーに加え8人編成となったほか、前作同様、大量のゲスト(ヴァイオリン、フルート、ティンパニetc)を迎えて製作されている。

ドラマーが元TherionのPetter Karlssonに変わったことで、直線的で重量感を増したメタリックなリズムとスウィングしようとする上モノ隊のコンビネーションはますます奇妙に、しかし何故か不自然さは減退するというミラクルが発生。いかがわしさ全開のオープナー“Voodoo Mon Amour”からもう彼らの魅力が最大限発揮されている。「思いついたアイデアを全部ブチ込んでみました」的なゴッタ煮感が尋常ではなく、“帰ってきたヨッパライ”風Voが喚き散らす“Black Box Messiah”やAnnlouice Loeglund(Vo)のソプラノが炸裂するオペラ風“Aurola”、脳内で太ったインド人男優のダンスシーンが再生されてしまうボリウッド・テイスト“Mass Rapture”等々、もうメチャクチャ。これだけじゃなくてサンバのテイストが入った曲やエレクトロニクスが大胆に使用された曲もあるんですぜ…。

前作「Sing Along Songs For The Damned & Delirious」(2009)よりもホンの少しだけ怪しさが後退した気がするが、メロディがよりキャッチーに、アレンジがより巧妙になった故の前向きな変化と受け止めたい。いや、それでも十分過ぎるほど怪しいけど。前作についてはかつて冗談めかして「彼らこそメタルの未来」と書いたことがあるが、大半のメタル・バンドとはパラレルなポジションの最先端を独走していることは間違いあるまい。

散々変態とか怪しいとか書いておいてナンだが個人的には「Korpiklaaniがアリならこれだって絶対アリだろ」と思いますけどね。誰か彼らを日本に呼ぶ勇気のあるプロモーターはいませんか。ビッグ・バンドは国内で調達すればいいんですよ。ホント、生で観てみたいなあ。アルバムの「音の玉手箱」感をうまく体現したジャケやブックレットも含めて最高。


Diablo Swing Orchestra“Voodoo Mon Amour”

2012/09/16 Sun. 23:27  edit

Category: CD/DVDレビュー:D

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Luar Na Lubre「Mar Major」(2012) 

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スペインはガリシア州の女性Voを擁する8人組、Luar Na Lubreの新作。12枚目ぐらい?1986年結成だから結構なキャリアを誇っており、国内盤がリリースされていたこともある。Mike Oldfieldの前座で起用されたことから注目を浴びるようになったらしい。

看板の女性Voが交代しており、個人的には「Hai Un Paraiso」(2004)で歌っていたRosa Cedrón(Cedron)の、大人の色香を漂わせるディープな声が好きだったんだが、やや朗らかさを増した新任(Paula Rey)も美声の持ち主でなかなかに良い。楽曲はトラッドをベースにしているようで、村の祭りを思わせる素朴な高揚感/和やかな空気を感じさせる曲から、深い哀感を込めた曲まで多彩。

メジャー・レーベルであるワーナーからのリリースとあって非常に洗練されており、多くのゲストを迎えたアコースティック・サウンドと美しいVoが、ポップでありながらトラッド音楽特有の中世を思わせる幻想的な世界を見事に描き出している。手練の風格が漂う高品質な作品。


Luar Na Lubre“A Invocación de Amergin”

2012/09/09 Sun. 21:24  edit

Category: CD/DVDレビュー:L

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