非思量

Sha's Feckel「Greatest Hits」(2012)

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Nik Bärtsch's Roninのクラリネット/サックス奏者、Shaのリーダー・アルバムとしてはSha's Banryu「Chessboxing Volume One」(2008)以来2枚目となる作品。Sax+G+B+Drの4人編成で、2011年10月11日にチューリッヒのKaufleuten Hofで録音されたライヴ音源である。

編成こそRoninとは大きく異なるが、RoninのドラマーKaspar Rastがメンバーに名を連ねていることもあって、Banryuと同じくRoninの表層をなぞったような作風を想像していたのだが豈図らんや、確かに変拍子を多用している点はRoninに通ずるものの、しょっぱなの“Build Us A Rocket Then...”で放たれる暴力的なフレーズはむしろ第3期King Crimsonあたりを起源とするヘヴィなジャズ・ロックとしてのカラーが色濃い。Ronin同様肉体性の強い音楽ではあるが、ストイックなRoninに対してこちらはストレートにヘヴィネスを追求した音ゆえその有り様は大きく異なる。

Bruford Levin Upper Extremities「Blue Nights」(1999)に通ずるモノクロ・フィルムのようなカッコ良さが魅力、て伝わりにくいか。「Greatest Hits」なるタイトルは勿論ジョークだが、このテの音楽を愛好する筋にはベスト・アルバムを聴いているかのようにキャッチーに響く、かも知れない。ライヴ録音ならではの生々しい息遣いがダイレクトに伝わる良作。


Sha's Feckel“Massive Bereavement”

Tremonti「All I Was」(2012)

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Creed/Alter Bridgeのギタリスト、Mark Tremontiのソロ・プロジェクト。G+B+Drのシンプルなトリオ編成で録音されており、VoはTremonti自身が務める。

Alter Bridgeの各作品やCreed「Full Circle」から色濃く漂うメタル臭がTremontiの好みだったことがよくわかる作品。1曲目の“Leave It Alone”はスロー・テンポのAlter Bridge色濃い曲だがラストで我慢できずにツーバス炸裂、続く“So You're Afraid”はソロ・パートの手前でタガの外れた刻みを聴かせ、3曲目の“Wish You Well”はスピード・メタル。どこをどう切ってもメタル。“You Waste Your Time”のリフやタイトル・トラックにおけるリズムの使い方なんかからも「スラッシュ・メタルが好きなんだなあ」てわかる。

こんな調子なのでバラード調の“The Things I've Seen”“New Way Out"はオマケぐらいにしか思えなかったんだが、なかなかどうしてTremontiの歌唱、結構堂に入っていて悪くない。Scott Stappに少し似ている気もするがひょっとするとStappより上手うわ何をするくぁwせdrftgyふじこl

Alter Bridgeよりもコンパクトにまとめられた楽曲はメロディにもフックがあり、自分のやりたい事を最優先しつつキャッチーさと両立させている印象で、レヴェルの高いアルバムだと思う。個人的にはコチラの方がAlter Bridgeよりも分かりやすくて好きだ。暑苦しさが夏にピッタリ。


Tremonti“You Waste Your Time”

Doimoi「Materials Science」(2012)

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名古屋発4人組の3rd。

情緒的なメロディは私好みだし、音もハード・ロックと似たようなものなのに、私はなぜかエモが苦手なんである。なんでだろうなあ。パンクがルーツなだけに、メタル的なキメというか、タイトさに欠けるからだろうか。もう長いことそのテの音とはご無沙汰なんで、もうよくわからなくなっているが。

しかしDoimoiにはそれがある。骨太なメタル・サウンド。それ一辺倒ではないが、あくまで軸足はメタル。そこにエモいメロディが乗っかることにより作り出される、時に繊細、しかし別の瞬間に邪悪な表情も見せる音世界は更に磨きがかかっている。前作「Dialectic And Apocalypse」(2009)も良い作品だったが、マッチョな塊感が強調されていた前作に対し、新作は狭い檻から解き放たれたかのようなのびのびとした表情を見せる場面も多く、親しみやすさも増しているように思う。

何よりもまず、PVが製作された“円群”を聴いてほしい。メタルとエモの理想的なマリアージュがここにある。この曲を聴いて鳥肌が立った。今年はいい曲との出会いに恵まれている気がするが、この曲も大変良い。この1曲だけでもう元は取れた。勿論、他の曲も良いですよ。


Doimoi“円群”

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