Blue October「Any Man In America」(2011) 

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テキサス州ヒューストン出身4人組の6th。元々は5人いたが昨年ギタリストが脱退している。

今様アメリカン・ハード・ロックに対して抱いている私の印象を色で表すと「茶色」である。そもそもサンプルが少ないし、その少ない中でもCreedのような暑苦しいのしか聴いていないから余計にそう感じるのかもしれないが、今回初めて聴いたBlue Octoberに対するそれは「青」もしくは「白」である。アルバムを包む空気がどちらかというと英国あたりの作品のそれに近い、とでも言えばいいだろうか。

イントロ"Everything(A.M.Limbo)"に導かれて始まる1stシングル"The Feel Again(Stay)"でPeter Gabrielに似た声質(というか、かなり影響を受けていると思う)を持つJustin Furstenfeldの声が響く瞬間から、Peter Gabriel「So」のような、澄んだ音世界が広がる。時々Scott Stappのようにもなるので、やはりキャラとしては茶色系の暑苦しいVoに通ずるものがあるのだが、ヘヴィネスに溺れない音像のせいか、透明感は終始保たれている。

ハード・ロックに留まらない着想の広さが彼らの音楽の特徴で、エレクトロニカやR&B、ヒップホップのテイストをごくごく自然に取り入れた曲もあるがやはり"The Feel Again(Stay)"こそが決定打だろう。静と動の対比が鮮やか過ぎるドラマティックかつメロディックなナンバーで、今のところQueensryche"Hard Times"と並んで今年のNo.1チューン。アルバムの中でこの曲が抜けている気もするが、キャッチーなハード・ロック"The Chills"(2ndシングル)をはじめとするその他の曲もなかなかに味わい深い。ヴァイオリニストが正式メンバーとしてクレジットされているからというワケではないが、結構プログレ好きにもアピールする音だと思う。

2011/09/27 Tue. 23:32  edit

Category: CD/DVDレビュー:B

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Nguyên Lê「Songs Of Freedom」(2011) 

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ヴェトナム系フランス人ギタリスト、Nguyên Lê(Nguyen Le:グエン・レ)によるカヴァー集。カヴァー元はThe Beatles、Stevie Wonder、Janis Joplin、Led Zeppelin、Cream、Bob Marley、Iron Butterflyといったところ。それ以外に数曲、イントロ的なオリジナルの小曲が収められている。

古い音源の収集は一部のプログレをかじっただけで止めてしまった身なのでオリジナルを知らない曲が多い(いくつかの曲はYouTubeで聴いてみたりはしましたが)が、オリジナルと聴き比べるまでもなく全編に渡ってLeの個性が注入されていることがわかる。バンド・メンバーにヴィブラフォン/マリンバ奏者を迎え、ゲストにもタブラ奏者のクレジットがあるそのサウンドは、クールなジャズ・ロックをベースにエスノ成分をこれでもかとまぶした特異なもの。ギターも時にうねうね、時にピロピロと結構派手に弾きまくっており、洒脱なムードとロック的な熱さのバランスがかなり面白かったりする。

どの曲も圧巻だがLed Zeppelinの"Whole Lotta Love"が白眉。ヘヴィなギターとタブラに乗っかるサイケな女性Vo、暴れまわるヴィブラフォン、曲の中頃に現れる口タブラ。自由過ぎる。強烈過ぎるほどにLe自身のオリジナリティを感じさせる演奏は原曲に思い入れがある人にはかなりキツいかも知れないが間違いなく快作。私は文句なしに好きだ。


Nguyen Le"Whole Lotta Love"

2011/09/24 Sat. 00:52  edit

Category: CD/DVDレビュー:N

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Dream Theater「A Dramatic Turn Of Events」(2011) 

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皆様お待ちかねの新作であります。

新作を聴いてまず思ったのが「Mike PortnoyはMetallicaにおけるBob Rock的存在だったのではないか」ということ。Bob RockのMetallicaにおける役割の全てを知っているワケではないが、「Metallica」から「St. Anger」までの音楽性の変化を見れば、彼がバンドを「革新的な存在」で在り続けさせようとしたことは間違いない。

一方のDream Theater(以下DT)、6th「Six Degrees Of Inner Turbulence」あたりから自身が築き上げた音楽性にPortnoyの新しモノ(もしくは古典プログレ)好き精神が色濃く注入されていたのはご存知の通り。ま、コチラの場合は「革新的」と言うより「半周遅れ」感があったのは否めないが、いずれにせよ、今思い返せば強迫的なほどに「前進し続けること」を自らに課していたように感じられる。

そして1st「When Dream And Day Unite」から20年を経た前作「Black Clouds & Silver Linings」で顕になったのは前進することが目的化して硬直し切ったバンドの姿だった。ダラダラと長いインスト・パート、メロディがまるで活きてこない曲構成。トドメは「アルコール依存症を克服する12のステップ」最終章の最悪すぎる出来ばえ。

実は「Systematic Chaos」の時点で「次はちょっとキツいかもな…」と思ってはいたのだが、さすがにここまで酷いとショックだった。以前にも書いたが「Black Clouds~」は多分通算で10回ぐらいしか聴いていない。つか今iTunesを確認したらあのアルバムを通しで聴いたの、3回だけだよ。

まあいずれにせよ、潮時だったんでしょうなあ。

新たにバンドを主導する立場となったJohn Petrucciは何よりもまず「メロディを聴かせること」に重点を置いているように思える。「Images And Words」が素晴らしかったのは、複雑な構成でありながら曲が滑らかに流れていくことだった。超絶インストが主役と見せかけて、実はメロディをしっかり活かしている。これは"Metropolis Pt. 1"も例外ではない。別々の曲を繋ぎ合わせたような途中でワケワカメになる展開や陰鬱なヘヴィネスの大幅な後退、クリアなサウンドといった新作で顕著な傾向も、突き詰めればメロディを重視した結果なのではないか。結果、ここ数作でPortnoyがリップ・サービス的に口にしていたのとは全く異なる次元で「Images And Words」の世界観に接近したアルバムになっている。

勿論このアルバムは「Images And Words Pt. 2」ではない。そもそも「ピアノはともかくキーボードの音、時々ヘンじゃないか?」なJordan RudessにKevin Mooreの音世界を再現しろと言ってもどだい無理な話であって、ついでに書くと滑らかな曲の流れに水を差す贅肉のような冗長さも完全には排除し切れていないし、10分超の曲が4曲というのも多すぎる。

とまあ課題もあるが、James LaBrieの意向がこれまでになく反映されていると思しきメロディはこれまでになくナチュラルな響きをたたえていて、結構ハッとさせられる場面も多い。例によって収録時間は80分近くに及ぶがそれ程長く感じないし、聴いていて疲れない。彼らの作品でこういう感覚を味わうのは「Train Of Thought」以来だなあ。新生DT、まずは合格点である。真価が問われるのは次だろうが、コレは案外期待してもいいのかも知れない。

2011/09/11 Sun. 00:40  edit

Category: CD/DVDレビュー:D

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