Marillion「Live From Cadogan Hall」(2010) 

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2009年にリリースしたアコースティック・アルバム「Less Is More」のツアー最終日である2009年12月7日、ロンドンのカドガン・ホールで行われたコンサートを収録した2枚組ライヴDVD。茶屋町タワレコで何気なく買ったCD版が非常に良かったため、勢い余って公式サイトからDVDも購入。ちなみにMarillionのDVDはリージョン・フリー(ブルーレイ除く)の親切仕様で、この作品はAmazon等でも購入可能。

CDもDVDも構成は同じで、1枚目の前半はアルバム「Less Is More」を曲順もそのままに演奏。アコースティックと言っても一部の楽曲ではエレキ・ギターも使用されており、"Quartz"の終盤のエレキ・ギターによるソロの後には長いスタンディング・オベーションも。中盤で演奏されたこの曲から演奏に俄然熱を帯びてくるのがわかる。個人的には大好きな「Anoraknophobia」(2001)から多くの曲が選ばれているのがうれしい。リズムを変えたり、ハンマー・ダルシマー等の様々な楽器を各メンバーが複数駆使することで、オリジナルのアレンジとは異なる表情を見せることに成功しており、欧州で根強い人気を保ち続けるバンドの高い実力が窺える。

休憩を挟んで後半の2枚目はアルバムから漏れた楽曲をやはりアコースティック・アレンジで演奏しているが、"80 Days""Beautiful"或いは筆舌に尽くしがたい美しさの"Estonia"のように、前半と較べると原曲のイメージをいくらか濃い目に残した曲が多いかも。ピアノの弾き語りで演奏される"No One Can""Easter"(後者は途中からバンド・スタイルになる)にはハッとさせられたが。

元は教会だったという雰囲気バリバリの会場でムーディなライティングの中、温かくも熱狂的なオーディエンス(若い女性も結構いたり)に囲まれて繰り広げられる幸せなライヴ。Steve Hogarthのファルセットが時折不安定になるがそれ以外は文句ナシ。ナマで見られた人がうらやましい。私がここにいたかった。


Marilion"You're Gone"

2011/06/28 Tue. 22:35  edit

Category: CD/DVDレビュー:M

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Queensryche「Dedicated To Chaos」(2011) 

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バンド結成30年目にしてYの上からウムラウトが消えたQueensrycheの12枚目のスタジオ・アルバム。正式メンバーはGeoff Tate(Vo)、Scott Rockenfield(Dr)、Eddie Jackson(B)、Michael Wilton(G)の4人で、ツアーにも参加したGeoffの娘婿であるParker Lundgren(G)はAdditional Guitarsとしてクレジットされている。

アルバム発売前に"Get Started"を聴いた時はあまり印象に残らなかったのだが、公式アカウントがYouTubeで公開していた"Wot We Do"にはさすがに度肝を抜かれた。



まるでR&Bとかヒップホップのような(て、門外漢だから書いていてあまり自信がないんだが…)謎めいたグルーヴ。Geoffは新作を「『Empire』の未来盤」と表現しており「言われてみればアダルトになった"Last Time In Paris"って感じはするかな…」と思えなくもないが、どちらかと言うと比較対象として浮かんでくるのは「Promised Land」「Hear In The Now Frontier」(以下HITNF)といった問題作群。比較対象と言ってもこの2作と「Dedicated To Chaos」が音楽的に似ているワケではない。共通項は聴き手にもたらされる「なんで『○○』の次にこれが出てくるの?」という感情で、『』の部分が前回は「Empire」で今回は「American Soldier」になる。

音楽的には拡散の極みといった趣きで、まがりなりにもハード・ロック風味を残した"Get Started"のような曲もあるが、伸びやかな"Around The World"のようなバラードもあれば"Higher"のようにファンキーなテイストの曲もあり、"Hard Times"のようにメロウな曲もあり、そして前述の"Wot We Do"のような曲もあり。多様な音楽性がヴェテラン・ミュージシャンというフィルターを通じて、変なプログレとしか形容のしようがない音になっている。Geoff Tateのソロ・アルバムで見られた多様性をさらに大胆な形で推し進めたアルバム、というのが最も適切な表現かも知れない。

私は前作の「American Soldier」が結構気に入っていて、Chris DeGarmoが抜けた後のQueensrycheの1つの到達点だと思っている。もう彼らもいいトシなので、ああいう作風で落ち着いてくれんかなあ、と思っていたがものの見事に裏切られた。まあ「American Soldier」云々を抜きにしてもとにかく奇妙なアルバムで、とてもではないが胸を張ってオススメはできない。

でも何故か自分の部屋で超ヘヴィ・ローテーション中。奇妙なアルバムではあるのだがGeoffのメロディが今回は結構堂に入っていて、特にプログレ色の強い"Hard Times""Big Noize"はクセになる味わい。"Wot We Do"もリズムの使い方が面白くて何となく嵌ってしまう。最早一部の物好きと盲目的なファンにしか受け入れられないのではないかという気がするが、私は好きなので別にいいや。しかし、さすがに今回は来日はないだろうな。

2011/06/24 Fri. 22:44  edit

Category: CD/DVDレビュー:Q

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Brandt Brauer Frick「You Make Me Real」(2010) 

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Daniel Brandt、Jan Brauer、Paul Friendrich Frickの3人からなるドイツ産ユニットの1st。

一言で言ってしまえばテクノ・ミュージックなのだが、聞こえてくるのは電子音ではなく、人力による演奏。ジャケットには具体的なクレジットは載っていないが、下に貼り付けた"Bop"の動画を見ると、ピアノにパーカッション、鉄琴、ベース・シンセ等、様々な楽器が使用されている。コチラの記事によるとBrandtは映像作家でもあるマルチ・クリエイターだそうで、この動画もBrandtが手がけたもの。


音楽番組をパロッたような構成で、何故か日本語の字幕付き。

彼らの音楽性をテクノと書いたがミニマル・ミュージックを主体とした現代音楽的なアプローチが特徴で、享楽的なノリよりもストイックなムードが強く、ソリッドな音像は私のようなシリアスな音を好むプログレッシャーにとって心地良いものである。"Paparazzi""R. W. John"では一瞬Nik Bärtschの音楽かと錯覚する瞬間も。ああいう複雑怪奇なリズムのアプローチは採っていないので適切な表現ではないかも知れないが。

かと思えばKraftwerkに通ずるポップな一面を垣間見せることもあり、アヴァンギャルドでありながらキャッチーさも備えた秀逸なアルバムである。ミニマル好きを自認するなら是非。

2011/06/19 Sun. 23:32  edit

Category: CD/DVDレビュー:B

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Jakszyk, Fripp And Collins「A Scarcity Of Miracles」(2011) 

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Robert FrippがKing Crimsonの名を冠した作品(ただし、サブタイトルで)を携えてロックのフィールドに戻ってきた。

21st Century Schizoid BandでVoとGを担当していたJakko M Jakszyk(G,Vo,Key,古筝)と「Lizards」「Island」でCrimsonのメンバーとして名を連ねていたMel Collins(Sax,Flute)、そしてFrippの3人の名を並べたJakszyk, Fripp And Collinsが恐らく正式なバンド名。但し、ブックレットにはJakszyk, Fripp And Collins With Levin And Harrisonとあり、その名の通りTony Levin(B,Stick)とGavin Harrison(Dr)を加えた5人でレコーディングされた全6曲が収録されている。

音質の話を云々できる耳も環境も持ち合わせていないが、とても「良い音」のアルバムだと思った。特にMel Collinsのサックスやフルートが凄くて、歌の合間などで切れ込んでくる即興的なフレーズのキレが恐ろしくいい。他の楽器を押しのけてソロをブバブバ吹き倒すような無粋な真似は一切していないのに強烈な存在感。Frippのプレイはサウンドスケープの比率が高めだが、こちらも例の過剰な眩さをいかんなく発揮、スロー・テンポの楽曲がメインのアルバムに異様なテンションをもたらしている。みんな大好きTonyおじさんのベースも渋い重低音を響かせ、Harrisonのドラムも控えめながらこれまた良い。この人のプレイは好きだな。

楽曲の方に目を向けると、前述のようにスロー・テンポの曲が多く、また、David GilmourのようなJakszykのソフトな声質も相俟って、全体的にはジェントル。そこにCollinsやFrippがムーディな空気や緊張感といったカラーを重ね塗りしているような感じ。整ったサウンドがそう思わせるのかも知れないが、非常に丁寧に作られた印象がある。Jakszykが歌うメロディも悪くない。良い作品だと思う。

「A King Crimson ProjeKct」というサブタイトルを冠してはいるが、個人的にはこの作品からKing Crimsonの匂いを感じ取ることはできなかった。このサブタイトルはあくまでもビジネス上の戦略からつけられたものだと理解している。しかし、このメンツでツアーを始めてある日突然King Crimsonに名前を変えても、私は別に怒りません。Disciplineの例もあるしな。「これは新タイプのKing Crimsonだ」とFrippが言い張るのならそれでもいいのではないかと。つかツアー、するのかな。今のところその予定はないようだが。

2011/06/07 Tue. 23:09  edit

Category: CD/DVDレビュー:J

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