California Guitar Trio「Andromeda」(2010) 

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Robert Frippがかつて主催していたGuitar Craft出身のBert Lams、Paul Richards、Hideyo Moriyaからなるアコギ・トリオの2010年作。

私が持っている数枚のアルバムではロック・クラシックスのカヴァーも収録されているが今回は全編オリジナル曲で構成されており、それが作品を一本スジの通ったものにしている感がある。Discipline期King Crimsonの流れを汲む緻密すぎるほどのミニマルなアンサンブルを基軸に美しいメロディを聴かせるがフラメンコ調の曲もあったりして曲調はヴァラエティに富んでいる。クラシカルでありながらロック色も漂わせるタイトル・トラックやアンサンブルを従えてヴィオラが舞うチェンバー寄りの"Portland Rain"はアルバムの白眉。合間に即興ナンバーもはさんだ構成も良い。

また、曲によって前述のヴィオラやチャップマン・スティック、Dr、B等を配し、加えて、時折アコギにエフェクトをかけることでサウンドに幅を持たせており、ヴェテランらしい気配りの行き届いた作品だと感じた。格調、密度、オリジナリティのいずれもが半端なく高い音楽。細かく繰り出されるソリッド過ぎるほどにキレの良い音の1つ1つが満天の夜空に輝く星を思わせる至高の1枚。オススメ。


California Guitar Trio"Portland Rain"
ヴィオラ抜きのヴァージョン。

2011/03/28 Mon. 20:14  edit

Category: CD/DVDレビュー:C

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Believe「World Is Round」(2011) 

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日系人(?)ヴァイオリン奏者を含むポーランド産6人組の4th。過去作は未聴。…てこれCollageのギタリストが作ったバンドなのか。いや、Collageは名前しか知らないんですけど。

凛とした中にやや荒削りな雰囲気を漂わせるVoをフィーチュアした硬質なサウンドはややメタリックな感触だが、メタルというには隙間の多いサウンドで、ヴァイオリンのサウンドがRush「Signals」収録の名曲"Losing It"を想起させる瞬間もある。鬱々としたモダン・プログレぽくもあり。

隙間が多いと書いたが、どの楽器もあまりガッツいていない。あくまで主役は歌。しかしその隙間を埋めるシンセ類だったり、突如舞い上がるようなフレーズを奏でるヴァイオリンだったりが、スケールの大きい、メジャー感溢れるプロダクションに乗ってこちらのツボをビシビシ突いてくる。

もうちょっと曲調にドラマティックな成分が豊富だといいんだがなあ…と思いつつ何回も聴いている。その寸止め感ですら快感。なんなんだろうなあ、これ。構成の妙なのか、抑制が効いているのに畳み掛けてくる感じが結構強烈な部分もあって、聴き手を突き放しているように見せかけてしっとりと包み込むような、とにかく私にとっては掴みどころのないままに魅入られてしまった不思議な作品。ラストを含む数曲ではシタールまでもが唸りを上げていたりして、いやはや。


Believe"New Hands"
再生時間は9分以上あるが曲は6分で終わります。

2011/03/24 Thu. 21:38  edit

Category: CD/DVDレビュー:B

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Rush「Counterparts」(1993) 

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真打登場!その2。

Masqueradeのレビューで挙げた作品に次ぐ、いや、同等に私に深い影響を与えた作品。Dream Theater「Images & Words」国内盤ライナーノーツにRushの名を見つけ、同時期に出ていたこの作品を手にした人は決して少なくないと思う。そう多いとも思えないが。

RushがDream Theaterのルーツの1つであることは間違いないが、それは80年代初頭までの作品の話で、「Counterparts」はずっしりと重心の低いグランジを経由したサウンドの歌モノであり、むしろCreed等のアメリカン・モダン・ロックに通ずる系譜の作品だ。ヘンな曲もあるにはあるのでプログレ・ハードと形容することもまあムチャではないが、ドゥルルルルル!ズガガガガガガ!といったハイテク博覧会的なものを期待して聴かれるべき作品ではない。

「Snakes & Arrows」のレビューで私はRushの本質を「現実を直視し、受け入れた先にある楽観主義」と書いた。このアルバムでも、時に目を背けたくなるような厳しい現実を描きだしている(例えば"Nobody's Hero"の2番とか)。しかしその視線は決して下を向くことなく、時にユーモラスに、あるいは時に青臭く、愛を、希望を、歌い上げる。ジャンル云々などしゃらくさい。良いメロディ、良いサウンド、良い歌詞。これを3人の達人が良い演奏で聴かせる。このアルバムについて言えばこれで十分だ。

好きな曲は沢山あるが、ここ数日はアルバムの最後に収められた"Everyday Glory"の後半部分の歌詞が頭を離れない。離れなくて困るので、私の拙い訳詞とともに掲載してしまおうと思う。いいのかな。わからないけど、まあいいか。これが誰かにとっての、何かの足しになることを祈りながら。

In the city where nobody smiles
微笑が失われた街
And nobody dreams
夢も失われ
In the city where desperation
そんな街で人々は捨て鉢になる
Drives the bored to extremes
退屈から窮境に向かって

Just one spark of decency
たった一つの気高い光が
Against the starless night
星のない闇夜に輝けば
One glow of hope and dignity
希望と尊厳の光がたった一つあれば
A child can follow the light
子供はその光を辿って進むことが出来る

No matter what they say...
誰が何と言おうとも
No matter what they say...
周りが何と言おうとも

Everyday people
ありふれた人々
Everyday shame
日々、恥辱にまみれ
Everyday promise
毎日の約束は
Shot down in flames
反故にされる

Everyday sunrise
だが毎日陽は昇り
Another everyday story
新たな日々の物語が生まれる
Rise from the ashes
灰の中より蘇れ
A blaze of everyday glory
美しき日々の輝き

If the future's looking dark
もし未来は暗いというのなら
We're the ones who have to shine
我々こそが輝ける者となろう
If there's no one in control
コントロールできる者がいなければ
We're the ones who draw the lines
我々こそが道標となろう
Though we live in trying times-
我々は困難の時を迎えているが
We're the ones who have to try
だからこそやってみなければならない
Though we know that time has wings-
時は翼を持っているというが
We're the ones who have to fly
羽ばたかなければならないのは我々なのだ

Rush"Everyday Glory"

2011/03/14 Mon. 23:22  edit

Category: CD/DVDレビュー:R

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The Reign Of Kindo「This Is What Happens」(2010) 

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ニューヨーク州出身、Vo+G+B+Dr+Pianoからなる5人組(サックスやヴィブラフォン等のクレジットもあり)のEPを含めて3枚目。昨年暮れに出たユーロ・ロック・プレスのレビューで初めて存在を知ったのだが「ま、そのうちお金があるときに買えばいいか」と後回しにして、最近購入後にチョロチョロ調べていたら来日公演がつい先日終わっていたことを知った。Oh…。

というワケで、ライヴを観に行かなかった事を激しく後悔しているのであります。チェンバー・ロック的な7拍子サウンドをハード・ロックのような激しさで叩き付けて来るしょっぱなの"Thrill Of The Fall"でハートをワシ掴みにされるが、全体の傾向としてはチェンバー・ロックやジャズ・ロックに接近したタイトでありながらたおやかさを感じさせる音楽。ハッピー・エンドの映画の終盤で流れてきそうな、将来への希望を感じさせる伸びやかなメロディが実に印象的。"Flowers By The Moon"、"Comfort In The Orchestration"等、特筆すべき曲は多い。

チェンバー・ロック~ジャズ・ロックあたりを土台としたパーツの1つ1つはさほど新鮮味はないのにどこかモダンな感じを漂わせているのは、収録曲の8bitアレンジをiTunesで販売してしまう彼らの現代的なセンスの賜物かも知れない。なかなか良い。ボーナス・トラックでEP収録曲の8bitヴァージョンや前作収録曲の着メロヴァージョンを収録。

2011/03/07 Mon. 21:17  edit

Category: CD/DVDレビュー:R

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