青森最後の詩人ひろやー「津軽曼荼羅」(2008) 

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ニコニコ動画でアルバムの冒頭を飾る"新町"が発売から2年を経て突如脚光を浴び、局地的に人気沸騰中の青森最後の詩人ひろやー。遅ればせながら私もコチラ経由で彼の存在を知ってすっかりハマってしまい、これだけ笑わせてもらったのだから銭を落としておくかな、と思いアルバムを購入。

まずは何を置いても"新町"に触れなければなるまい。うら寂しいアコギにフォーク調のメロディで2分半、ギターをかきむしりながら絶叫、絶叫、また絶叫のラスト1分、ひたすら直球中学生レヴェルの下ネタの連呼。ここまで来ると天晴れと笑うしかない。まあとりあえず未聴の方は聴いてみなせえ。あ、うっかり職場で再生しないように!聴くのはコチラで歌詞を確認してからでも遅くないぞ。


これがウワサの"新町"。友人曰く「タイガーマスクの最終回のBGMに使えそう」。これが人生のエンディングテーマとかイヤすぎる。

オビに三上寛の推薦文があり、直接的な下ネタワードを含むフォーク・ミュージックという内容からも三上寛と同じ系譜にある音楽性と考えていいかも知れない(三上寛は何年か前に数枚聞きかじっただけなので自信はないが…)が、手触りとしてはあまりドロドロとしておらず、個人的には聴き易い音だと思った。歌詞の衝動性とは裏腹に、ひろやーが自分自身を少し嘲笑的な視点から冷静に見ているようなフシが音楽そのものからは窺える。

言いかえればこの人、センスがいいのだ。"お金をください""ハードコアの流れる喫茶店"のキャッチーなメロディ、"コ○コーラの詩""津軽曼荼羅"で色濃く漂うサイケデリック感、"津軽ねぶた節"(この曲は物凄くいい。歌詞もさほど抵抗感はないし)で聴ける民謡調のサビメロ等々、実は聴きどころは多い。そもそも"新町"とて、曲を最後までキッチリ聴かせるだけのメロディ、アレンジ、展開の妙があるからこそあれだけのインパクトがもたらされるワケで。あ、あと「オリオン座の下で」な。

というワケで"新町"が楽しめた方には「それだけじゃないんだよ」ということでオススメできる。あの曲が面白いと思えない方、腹が立った方はこれ以上関わらない方がお互いのため。アルバムには6曲のライヴ・テイクが収録されており、ラストは勿論"新町"。アルバム版より酷いことになっています。

2010/10/20 Wed. 20:28  edit

Category: CD/DVDレビュー:国内あ

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James LaBrie「Static Impulse」(2010) 

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Dream Theater(以下DT)のヴォーカリスト、James LaBrieのソロ名義としては2枚目、Mullmuzzler名義の頃から数えれば4枚目のソロ・アルバム。LaBrie以外のメンバーは前作「Elements Of Persuation」から引き続き参加のMat Guillory(Key)にMarco Sfogli(G)、あと初参加となる元HalfordのRay Riendeau(B)&元Arch EnemyのPeter Wildoer(Dr)というメンツ。

先日の大阪遠征時に茶屋町のタワレコに立ち寄った際、お目当てのCDが置いてなかったのであてもなくウロウロしていたらこの輸入盤が1枚だけ置いてあり、ボートラ入り国内盤が出るまで待つつもりだったのだが実はこの作品にはあまり期待してなくて「ボートラで時間が長くなってもかったるいし、歌詞もどうせ読まないから訳詞もいらんし、全然知らない人のことじゃないからライナーも別にいらないし。何より安いし」ということでその場でサルベージ。

1曲目"One More Time"で明らかにLaBrieのものではないグロウルが炸裂して「CD間違えたか?」と思ったがこれはドラマーのWildoerによるもので、サビでソフトなLaBrieの声が聴こえてきて「あ、間違えてないわ」と安堵。結構虚を突かれた感じだが、このテのエクストリーム・メタル系は普通声Voが物凄く平凡(下手ではないが)だったりすることが多いので、このタイプの曲をLaBrieが歌っているというのはいい試みだと思うし、しかも結構上手くいっている。「Elements~」の"Battery"もどきみたいだった1曲目よりも数段印象がいい。

続く"Jekyll Or Hyde""Mislead"もグロウルとキャッチーなLaBrieパートが上手く噛み合っている。グロウルなしの4曲目、DTバラード風味な"Euphoric"はかなりいい。今年のベスト5ぐらいには入るかも知れない。先に「あまり期待してなくて」と書いたが、とにかく「Elements~」の楽曲が印象に残らないものばかりで、今回もGuillory/LaBrieのソングライティング・チームには変更がなかったので期待の持ちようがなかっただけに、こう言っては失礼だが、これだけのクオリティを持つ曲が入っているのは意外。5曲目以降は所謂プログレ・ハード系歌モノがメインとなる(グロウル入りの曲もあり)が、捨て曲ナシとは言わないまでも楽曲の質は結構揃っている。12曲50分とコンパクトにまとめたのもマル。

敢えてケチをつけるなら曲によってはシャープ過ぎるドラムがトゥーマッチかな。個人的にこの人のプレイは大好きだからまあOkだが。あ、DTの助っ人にはちょうどいいかも知れん。この作品に対する満足度とは全く別の次元で個人的な願望を言わせてもらうならば、ドラムも含めてインストはもっとシンプルでいい。メタルである必要すらない。まあそれでは売れないだろうから、Mullmuzzler「2」に収録されていた"Believe""Listening"のようなエモーショナルな曲、あるいは「Elements~」の日本盤ボートラ"Understand"のような、LaBrieの繊細な歌唱が映える曲をもっと混ぜて欲しい。いつになるか分からんが、次に期待。

2010/10/06 Wed. 21:58  edit

Category: CD/DVDレビュー:J

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聖飢魔II@グランキューブ大阪(2010/09/30) 

10年来、参戦(彼らの流儀に従えば「参拝」)したいと願いつつ思いが叶わなかった聖飢魔IIのライヴ(彼らの流儀に従えば「大黒ミサ(だいくろみさ)」)。やっとこさ生で観ることができた。今回はそのライヴレポ。長いよ。

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開演前に自席近くから撮った写真だが、見晴らしええわー。いやそうじゃなくて、ステージ遠っ!目が悪いこともあり、ステージ上の細かい動きはほとんどわからずじまい。私の隣に座っていた女性はオペラグラス片手で鑑賞していたが、なぜ自分もそれを思いつかなかったのかと歯軋りすることしきり。しかしオペラグラスをかざしつつ拳を上げるのもなんかおかしいわなあ…。

ライヴは2部構成。セットリストは割愛するが、現時点でどの会場も同じ曲を同じ曲順で演奏しているようなので、これからライヴを観る予定の人には曲がわからないように(ただ、文脈からある程度曲名が特定できるケースがあることをお断りしておく)、また、既に観た人にはどの曲を指しているかわかるように「第○部の○曲目」という感じでそれぞれの曲について触れていきたい。但し、演奏しなかった曲の名前はバンバン出します。ちなみに、私は某所で既にセットリストをある程度把握した状態でかつ「大阪は2日目なんだから少しぐらい曲目変えてくれないかな」という期待を持ってライヴに臨んだ。その辺りを汲んで読んでいただけるとこれ幸い。

第1部の3曲目、前口上の場面。閣下から「後押しが欲しい」というような文言が出てきた(「背中を押して欲しい」だったかも)ので「これはひょっとして新曲"Babies In Their Dreams"が来るか!?」と内心色めき立ったが、次第にいつも通りの文句から事前の情報どおりの曲へ。

第1部の4曲目から3曲はキーボードの出番が少ない曲が続き(というか、全般的にキーボードは控えめだった)、怪人松崎様の担当はサポーティング・キーボードからエア・ギターに(メンバー紹介でも「On supporting keyboard and air guitar」と紹介されていた)。

第1部は7曲で終了、エンディングのソロを弾き終えた松崎様のアナウンスと共に15分程度の休憩に。ここまで開始から1時間程度。えらくアッサリしているな、と思ったが…。ちなみに休憩中のBGMはRX。

今更言うまでもないが、閣下のMCの面白さは鉄板。さだまさしではないが「閣下のしゃべりを聴きにライヴに行く」という選択肢も十分アリだと思う。他のバンドがどうだかは知らないが、定番のネタにしょーもない(けど必ず笑える)フックを必ず仕込んでくる。そして予め仕込んであるのかその場のアドリブでやっているのかわからないようなトークでさらに畳み掛けてくる。

ちなみに他のメンバー(彼らの流儀に従えば「構成員」)も実は面白い。この日の第2部開演前の場内放送担当はギタリストのルーク篁(たかむら)。「(携帯の電源を切る等の諸注意の後)守れない人は、殺します!」とあくまで爽やかに言い放ったり「非常時には係員の指示に従ってください」と言った後に「ミサ中は閣下の指示に従ってください」と小ネタを交えたりして会場を沸かせていた。

第2部は超定番のオープニングのインスト→速い曲という流れ。速い曲と言えば、この流れに相応しい曲は演奏された曲以外にも"The End Of The Century"とか"地獄の皇太子は二度死ぬ"等があるので、できれば差し替えて欲しかったなー、というのが本音。

最初の方のMCで閣下は「今日はこのツアー初めての連荘だが昨日より調子がいいかも」「調子がいいがどこまでもつかはわからん」「調子がいいうちにここで止めるか」というようなことを言っていたが、第2部7曲目あたりはさすがにキツそうな場面が。この曲、キー高いからねー。しかし閣下は決してフェイクに逃げないしどうにかこうにか持ち直してくる。観客に歌を任せてしまうようなマネもほとんどない(第2部の5曲目、サビの曲名部分ぐらい?このあたり記憶が曖昧)。調子も良かったのだろうが、偉い。

偉いといえば、年をとったメタル・バンドにありがちな「速い曲のスピード・ダウン」が全くない。これは素晴らしいことである。

第2部の5曲目、冒頭でライデン湯澤のバスドラに合わせて閣下のコール&レスポンス。これがあるとどうしても"Big Time Changes"への流れを期待してしまうのだがあれはエース清水あっての曲なので「まあ、ないだろうな」と思っていたら案の定別の曲。”Big Time~"よりコッチの方が好きではあるのだが。

第2部の8曲目はルークの時間!

続く9曲目はジェイルの時間!もしかすると、今の聖飢魔IIで最も盛り上がる曲がこの曲ではないだろうか。冒頭、ドラムが走り気味だった気がするが2番でキッチリ修正していた。ここで本編終了。

かなり長い時間じらしてアンコール。1曲目はこの日演奏された曲の中で、再集結後の再録アルバムに収録されていない2曲のうちの1曲。私が聖飢魔IIにハマッたキッカケであり、未だに生涯ベスト・チューンのトップ3に入る曲なので、これが聴けてうれしい。極端な話、この曲さえやってくれれば残りが全曲「PONK!」からでも良かった。ごめん、さすがにそれはウソだ。しかしこのとき、前の席の背とフロアの間にたてかけてあった傘が倒れて前席の背とフロアの間に落ち込んでしまったことに気づいて曲にイマイチ集中できず。私の人生、こんなんばっかのような気がするぞ!

アンコール2曲目は定番中の定番で大団円。聖飢魔IIに限った話ではないが大阪の盛り上がりは今回も凄かった。閣下の「あー、楽しかった!」という言葉と共にメンバーはステージを去り(この時のBGMはダミアン浜田のソロ!)、閣下の場内放送トークで終了。この時点で10時20分。結局3時間やりやがった!全然アッサリしてない!結局、明石大橋を渡って帰宅したのは日付も変わった午前1時半前だった。今朝はマジで辛かった。

さて総括。閣下のヴォーカルはところどころ危うい場面があったものの、コンディション自体は良さそうだった。俺たちロッカー!イエー!なギタリスト2名も「艶のあるジェイルと直線的なルーク」というキャラ分けがきちんとなされており、リズム隊は磐石の鉄壁ぶりを発揮。タイトな演奏と軽妙な笑いで満たされた、素晴らしいショウだった。

セットリストについては、曲目を日替わりである程度いじれるスポンテニアスさがこのバンドの魅力の1つだと個人的には思っているだけに「再録アルバムに入ってない曲も含めて別の曲をもっと!」「"魔界舞曲"ぐらいならできるだろー」などと思わないでもなかったが、ルークが高見沢俊彦のツアーにも参加していて多忙を極めていたこと、長いブランクを経て再加入のジェイルにとってはほとんどが「新曲」であることを考えれば止むを得ないだろう(この後セットリストが変わったらこの部分は単なるアホ丸出しの文章になる)。

恐らく私にとっては最初で最後のナマ聖飢魔IIになると思うが、あー、楽しかった。

最後に、ライヴ前に1人でぼんやりしていた私に話しかけてくれて休憩時にはウェットティッシュをくれ、さらには倒れてフロアと席の間に落ち込んだ傘を自分の折り畳み傘のヒモ部分で引っ掛けて取ってくれた、広島と大阪2Daysに参戦した岡山在住の男性にお礼の言葉を(見てないと思うけど)。あなたのおかげでライヴの楽しさが3割増になりました。最後は出口へ向かう人の列に飲み込まれてちゃんと挨拶できませんでしたが、どうもありがとう。

2010/10/01 Fri. 22:45  edit

Category: ライヴレポ、雑記等

Thread: LIVE、イベント - Janre: 音楽

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