Triptykon「Eparistera Daimones」(2010) 

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衝撃の復活作「Monotheist」が絶賛の嵐を浴びながら人間関係のもつれであっさり崩壊したCeltic Frostの中心人物、Tom Gabriel Warriorが新たに結成したTriptykonの1st。

「Monotheist」は私が初めて接したCeltic Frostのアルバム(ちなみにそれ以外の作品はあの迷作「Cold Lake」をチラッと聴いただけ)なのだが、これがもう切れ味の鈍いナタで目の前にある生命体をことごとく叩き潰して回る狂人のような、徹底的に駆けない重々しい曲調とサウンドでもってして15年間積もりに積もった怨讐を撒き散らす凄まじいものだった。以前やった「インパクト重視で選ぶ'00年代の30枚」という企画では迷った末に外したのだが、今になっておけば入れておけば良かった気もする。とにかくレコード屋で買ってカーステレオに放り込むや否やビシビシと伝わってきた負のエネルギーに圧倒されたものである。

今回はCeltic Frostが機能停止してから2,3年ほどしか経っていないので、ドス黒いネガティヴなオーラの放出っぷりは「Monotheist」より劣る。しかし同じような音楽をもっと上手にやれる人たちはいるだろうが、この人ほど「この世に横たわる闇の全て」のようなものをこれほど具体的に音楽で表現できる人はそうはいますまい。ジリジリと焼け付くようなシンプル極まりないリフ、ドスが効き過ぎているかと思えば断末魔の叫びを響かせたり死にそうなつぶやきを聞かせたりするWarriorのヴォーカル、それとは対照的な女性ウィスパー・ヴォイス。ドゥーム~デス~ゴシック~プログレを縦横無尽に横断する音楽性はネガティヴ一辺倒でありながら実に豊かな響きを湛えている。

ドライヴのBGMには徹底的に不向き、ポータブルプレイヤーで聴きながら歩くのにもふさわしくない、とにかく気軽に聞き流すことのできない超重量級音楽。圧倒されました。ウ゛ッ!


Triptykon“A Thousand Lies”

2010/04/25 Sun. 23:30  edit

Category: CD/DVDレビュー:T

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Type O Negative「October Rust」(1998) 

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Peter Steele逝去。

もうしばらくすれば大好きなミュージシャンがいなくなってもおかしくない年齢層に入ってくるので、心の準備のようなものはしていたつもりだったがまさか48歳の若さで彼が旅立つとは。今宵はこの世で最も美しいアルバムの1枚である彼のバンド、Type O Negativeが98年にリリースした4th「October Rust」を追悼がてらレヴューしたい。

彼らの初のヒット作である3rd「Bloody Kisses」は尺の長い曲からインターミッション風の短い曲、あるいはパンキッシュな高速ナンバーからドゥーミーなスロー・ナンバーまであらゆるスタイルを駆使してダーク&ディープかつ退廃的でエロい世界を描き出しており基本的な路線は続く「October~」でも踏襲されているが、繊細なキーボードとPeter Steeleのエロい低音を強調したスローな楽曲の数々は不吉で官能的、かつロマンティック。私がMTVで見てこのバンドにハマるキッカケとなった“Love You To Death”や、重厚なキーボード・リフやサビのメロディに吸い込まれそうになる“Red Water(Christmas Mourning)”など、クオリティも極上。

ただ、ヘヴィながら聴きやすいサウンドが「軟弱になった」という批判につながったようで、続く「World Coming Down」(Peterは当時の自身が酷い状態だったとかであまり気に入っていないらしいが、このアルバムも傑作)はより遅く、かつ重くなり、「Life Is Killing Me」「Dead Again」では3rdの雑多で猥雑な路線に戻っている。だからむしろ異色作なのかも知れないが、官能的な美を極限まで追求した「October Rust」こそが私の中ではこのバンドの最高傑作である。72分間遅い曲が続くので後半はちょっと飽きるんだけどね。

Peterは「World Coming Down」において、諦念を漂わせたまろやかなメロディで“Everything dies”と歌っていたが、銀色の円盤の中で彼の声は永遠に生き続ける。彼の魂の穏やかならんことを。


Type O Negative“Love You To Death”

2010/04/18 Sun. 02:54  edit

Category: CD/DVDレビュー:T

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Coheed & Cambria「Year Of The Black Rainbow」(2010) 

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アメリカ産プログレ・ハード・ロック・バンドの5th。デビュー作から1つのストーリーを延々描いてきたが、この作品でようやく完結となるようだ。完結と言いながらこれが第一章だったり、最後の最後でレコード会社を移籍していたりで、意図がよくわからない部分が多いのだが…。

Voの声質も含め、70年代のRushからの影響を感じさせる音楽性自体に大きな変化はないが、私が初めて、かつこれまで唯一聴いたCoheed & Cambria(以下CAC)のアルバムである3rd「Good Apollo I'm Burning Star IV Volume One(以下略)」とメロディの質が変わっている印象で、サラッと乾いた手触りだった3rdと比べて、ウェットな成分を多く含んだドラマティックな曲が増えている。シンセ類を導入して音に厚みを増していることがそういう印象に拍車をかけている。

3rdもいい曲は多いのだが何故か印象に残る曲が少なくて、このバンドに関しては「ストーリーものを終わらせて独立したフツーのアルバムを作るまではスルーしよう」と決めていて、レコード会社を移籍した今作でようやくストーリー・アルバムでなくなったと思っていたらライナーを読んでみるとそうでなくて聴く前からガッカリしていた(実はストーリー・アルバムて少し苦手なのだ。大好きな作品は多いのだがどこか胃にもたれる感じがあるので)のだが今回は良かった。ストーリー・アルバムと言ってもアルバム自体はコンパクトな楽曲の集積で、ストーリー云々とは関係なくそれぞれの曲が魅力を放っているのがこの作品の長所。

CAC、本国での人気に日本でのそれが全く追いついていない状態らしいが、コレは結構日本人の嗜好に訴えるものがあるように思える。近年、所謂プログレ・ハードとかプログレ・メタルと呼ばれる音楽に対してはインポテンツ気味(昨年出たDream Theaterの新作も全く心に響かなかった)な私にも結構楽しめた。SFな歌詞やストーリーを一切無視しても鑑賞に耐えうるクオリティ。食わず嫌いの方はこれを機に試してみるのもいいかも。


Coheed & Cambria“The Broken”

2010/04/15 Thu. 23:07  edit

Category: CD/DVDレビュー:C

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Blues Control「Local Flavor」(2009) 

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ある年齢層の日本人なら「リアル餃子(チャオズ)!」と叫びたくならないこともないジャケットの、NY産男女2人組ユニットによる3rd。過去作は未聴。

年度はじめで職場がバタバタしている時に届いたブツで、少し落ち着いてきたところでいっちょ腰を据えて聴くか…とヘッドホンをつけて再生ボタンを押したら恐ろしく音の分離が悪いモコモコしたローファイなサウンドが流れてきて腰が抜けた。いくら2万円台のワイヤレスヘッドホンだからってこれはないだろう。この後に続けてHarmoniaの1st「Musik Von Harmonia」('74)をかけても全く違和感を感じさせないという…。わざわざ言うまでもないだろうが、狙ってやっているんだろうな。

Harmoniaを引き合いに出したが、古臭い音色の単調なビートにミニマルなフレーズが絡み、かと思えばキラキラしたピアノがゆらめくアンビエントやら引きずるような音色のドローンがぐわんぐわん鳴り響いたりで、音楽性も70年代前半のジャーマン・プログレが持つホンワカホンワカラリパッパな空気に通ずるものを感じる。まあルーツというか元ネタは確実にこのへんでしょうな(実はドイツのプログレに暗いのであまり自信がないんだが)。そんな中で他の曲とは多少色合いを変えているのが1曲目の“Good Morning”。ノイジーなギターや暴れまくるピアノ、途中から切れ込んでくるサックスがMarilyn Manson“1996”(いきなりこんな例えですいません)のような破天荒さを感じさせてやたらとカッコいい。

「今どきあえてこんな音を出して喜んでるヤツっているんだなあ」ということがわかっただけでも勉強になった(まあ他のジャンルでも似たようなモンかも知れんが)が、曲そのものが持つインパクトはなかなかのもので、残業後のイヤな疲れが溜まっている時に酒を飲みながら聴くとハマッてしまう妙な中毒性がある。なんだかわからんけど凄い物件を掴んだ気分。


Blues Control“Good Morning”

2010/04/10 Sat. 00:02  edit

Category: CD/DVDレビュー:B

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