非思量

Queensrÿche(Queensryche)@赤坂Blitz(2009.8.23)

前回より随分と会場の規模が縮小されてしまったが、前回も客の入りが芳しくなかったようなので仕方あるまい。むしろ来日したこと自体に驚いたぐらいで。

開演30分前に会場に着いたが、なかなか恐ろしくなるぐらいのガラガラっぷり。前方4分の1は人だかりが出来ていたが、その気になれば余裕で突っ込んでいける程度の密度。どうなることかと思ったが、気がつけば(ちなみに私は真ん中より少し後ろにいた)ソコソコの入り。密度がそれほど高くないので実数としては知れているだろうが、閑散といったことは全くなく、むしろ年齢層の高いオーディエンスにとってはそこそこの密度で快適にライヴを楽しめる環境だった、ということにしておこう。

何やら機材のトラブルとかで20分遅れでスタート。全米ツアーに帯同していたサポートのキーボード奏者の姿はなく、ステージもスクリーン等の仕掛けもないシンプルなもの。 セットリストは以下の通り。

  1. Neue Regel
  2. The Whisper
  3. The Killing Words
  4. Gonna Get Close To You
  5. Walk In The Shadows
  6. London
  7. Sliver
  8. Hundred Mile Stare
  9. At 30,000 Ft
  10. If I Were King
  11. Best I Can
  12. The Thin Line
  13. One And Only
  14. Della Brown
  15. Another Rainy Night(Without You)
  16. Jet City Woman
  17. Anybody Listening?
    (Encore)
  18. Empire

 



「Operation:Mindcrime II」で来日時に新宿で観た時はギターの音がデカすぎてヴォーカルが埋もれ気味だったが、今回は“Neue Regel”の出だしこそ少々ヴォーカルが引っ込み気味だったものの2曲目以降はバランスも良好。Geoff Tateのヴォーカルを堪能することができた。

そのGeoff、さすがにレンジがシャレにならないほど高い「Rage For Order」パート(1~6曲目)こそ、出し切れない高音を表現力でカヴァーする(あるいは観客にマイクを向けて任せてしまうとか。“Walk In The Shadows”ギターソロ後のスクリームのところでマイクをこちらに向けてきたときは「そらあんまりだ」と思った)場面が散見されたものの、最新作ゆえ無理なく歌える中盤の「American Soldier」パートや、ハイトーンを駆使する場面があまりない後半の「Empire」パートでは卓越した歌唱をいかんなく披露。この人の声の良さはもう天性のものですな。

すっかり余裕綽々な「おやじロッカー」と化したMichael Wilton(G)&Eddie Jackson(B)と、ひたむきなプレイを見せていた名前のわからない(“One And Only”の前に紹介されてたけど忘れた)若いギタリストa.k.a.Geoffの娘婿も良かったが、私は主にScott Rockenfield(Dr)のプレイに釘付け。“Della Brown”でのハイハットの使い方とか、思わず見入ってしまった。

ここで終わると前回のライヴレポと書いてることがあまり変わらないので、他のことも書いておかないと。

まずセットリストについて。22日から中身を結構いじってきたようで、“The Killing Words”“Another Rainy Night(Without You)”を聴けるとは正直思っていなかった。嬉しい。その代わり“I Will Remember”“Silent Lucidity”などはカット。後者が聴けなかったのは悲しい。

「American Soldier」からは4曲の演奏に留まったが、正直なところ最もパフォーマンスが充実していたのはこのアルバムからのパートだったように思う。曲数が少ないのはアルバムの人気がイマイチと判断してのことだろうが“Sliver”は結構盛り上がっていたし、できれば“The Killer”“Man Down!”あたりも演奏して欲しかったところ。

しかしまあそれに続く「Empire」パートの盛り上がりを考えればそうなるのも仕方ないかな、と思えたり。特に“Best I Can”のイントロで上がった歓声はその日一番だったと思う。今読み返して気づいたが「Empire」から8曲もやったのか。いっそのこと“Resistance”“Silent Lucidity”“Hand On Heart”も加えて全曲再現すればよかったのに。ほら、そういうの最近流行ってるし。

あと、この日の観客について。相当コアなファンが集っていたという印象で、Geoffの煽りが上手いこともあるが、数は少ないながらも相当な盛り上がりを見せていた。アンコールの“Empire”が終わった後も手拍子をしている人がソコソコいて(私もしていた)、客電がなかなかつかないので期待したのだが残念ながら三度の登場はならず。満足の中に微妙に物足りなさが残る105分間だった。アソコで出てきてくれれば言うことナシだったんだが、とっとと会場を出てる人もいたから、しゃあないか。

凄く楽しかったのだが「次はないかも」という前回来日時も抱いた危惧は払拭されず。やはり「Hear In The Now Frontier」以降の約10年に及ぶ空白期間(活動を停止していたワケではないので正確な表現ではないが)は痛すぎる。客の少なさ&年齢層の高さ(10代はおろか20代ですら皆無だったかも知れない)は致命的。演奏も上手いが、特にGeoff Tateの表現力はハンパではないので、フェスとかに呼んで「Operation:Mindcrime」「Empire」の曲ばかりやれば若いファンの開拓も可能なのではないか、と思うんだがなあ。フェスの運営に携わっている方、一度ご検討いただけませんでしょうか。

1997年~2006年の10枚+1(序文)

※最終回となる第11弾アップしました。このエントリーの真下にあります。(09/08/11)

企画モノ始めます。テーマはタイトルの通り。

まあ、今までどおりCD/DVDのレビューを行うだけですが、ちょっと旧譜も取り上げてみようかな、と。選考基準は

1.以前「cota:marine 475」というサイトをやっていた時に取り上げた
2.購入してから結構時間が経ったけど今でもちょくちょく聴く

で、特に2番目の基準を重視したので、発売から1年ほどしか経っていない2007年以降の作品と、「あまりCDを持っていなかったので同じのばかり聴いていた/熱中のあまり聴き過ぎたため、逆に今はあまり聴かなくなった」1996年以前の作品は除外。特に後者の時期の作品を含めるとオールタイム・ベスト的な性格が強くなってしまい、今回の趣旨から外れるというのもあります。ただ、1996年リリースの作品を1枚だけ含めました(それがタイトルの「+1」)。

「この10枚が1997年~2006年のベスト10だ!」と言いたいワケではありませんし、例によって大半の日本人の人生に縁がなさそうな音楽の話ばかりになりますが、私にとってはそれなりの年月を経てなお重みを失わない、良い音楽をチョイスできたと思っております。通常のレビュー等と並行してボチボチやっていきますので、お付き合いくださいませ。ちなみに、登場順は単なるアルファベット順です。

※このレビューをアップするたびにこの記事を一番上にもってきます。この下にレビュー一覧のリンクをはっていく予定です。
  1. Art Zoyd「u.B.I.Q.U.e」
  2. Bill Bruford With Ralph Towner And Eddie Gomez「If Summer Had Its Ghosts」
  3. Chris Cornell「Euphoria Morning」
  4. Devin Townsend Ocean Machine「Biomech」
  5. Disillusion「Gloria」
  6. James LaBrie's Mullmuzzler「2」
  7. Nik Bärtsch's Ronin「Stoa」
  8. 今沢カゲロウ「BassDays」
  9. Rachel's「Music For Egon Schiele」
  10. Rush「Rush In Rio」(DVD)
  11. Univers Zero「The Hard Quest」

Univers Zero「The Hard Quest」(1999)

thehardquest.jpg 

※「1997年~2006年の10枚+1」第11回→他のレビューはこちら

'78年にデビューし、RIO(Rock In Opposition)なる反商業主義的な音楽を志向するムーヴメントの中で活動、'87年に一度解散したベルギー産バンドの再結成第一弾(6th)。なお、バンド名は「ユニヴェル・ゼロ」と読む。

主にアコースティック楽器(ベースはエレクトリック)を用い、室内楽の精緻なアンサンブルとロックが持つダイナミクスの融合を目指したチェンバー・ロックと呼ばれるジャンルの嚆矢の1つで、部分的にはMagmaに通じるところもあるかも知れない。ドラマーがイニシアチヴを握っている点も共通している。ただ、祝祭的かつ宗教的な高揚感を漂わせ、ある種冗談の通じなさそうな暑苦しさを持つMagmaに対し、Univers Zeroの方は内向的で陰鬱、厳格でありながらどこか屈折したユーモラスさを(微かではあるが)漂わせている。

前述の定義に従えば、最もチェンバー・「ロック」している3rd「Ceux De Dehours」('81)及び4th「Uzed」('84)が一番「らしさ」を感じさせるのだが、「The Hard Quest」においてそのようなハードな側面を見せるのはラスト前の10曲目に収録された“Xenantaya”ぐらいで、そのほかの曲は、一歩一歩足元を確かめながら歩むような感じでガッチリと構築された、無機質かつ前衛的なアンサンブルを聴かせる。

アコースティック楽器の透明感のある音色はなぜか殺風景な世界を現出せしめ、高音域を駆使するベースは聴き手に不安や混沌をもたらす。爽快感は皆無で、聴いていて鬱になるタイプではないが、平和の中に潜む静かな狂気を感じさせる音楽である。

正味な話、再結成後の作品は芳しい評価を得ているとは言い難い気がする(というか、そもそもあまり言及されていない)のだが、ひたすら不吉なイメージを刻み込むことに全力を注いでいるアングラ色タップリな1st、2nd(これはこれで捨てがたい)や、音楽的には飛躍的な技術的向上を見せつつそのユーモア感覚(あと音質)ゆえに(あくまでも曲によっては、だが)少々「軽さ」を感じさせる部分がないでもない3rd~5th(一般的に評価が高いのはここかも)よりも、歪んだ陰鬱さがより明快に表現されたこの作品が個人的には最も好みである。この時期の彼らのフォロワーというのは恐らく存在しないので、なかなか他では聴けない音だと思うよ。


Univers Zero“Civic Circus”

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