Canvas Solaris「The Atomized Dream」(2008) 

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前作「Cortical Tectonics」から1年ほどでリリースされた4th。ベーシストがチェンジ、そして新たに2ndギタリストとシンセ奏者が加入して5人編成になっている。

「ムチャばっかりするインスト・メタル」という大まかな方向性に変化はない。1曲目“The Binaural Beat”は前作のオープニング“Berserker Hypothesis”とは正反対の、キーボード類を厚く配した浮遊感のあるストレートなミドル・テンポの曲なので一瞬「あれ?」となる(まあこのテの曲とて、元々彼らの手駒として存在しているものなんだが)が、続く“Reflections Carried To Mirror”は彼らならではのつんのめりになりながら疾走するスリリングなナンバー。

その後もジャズ・ロック/サイケデリック/メタルといったジャンルを自在に横断しまくるナンバーが目白押しだが、やはり専任の鍵盤奏者加入というのはバンドにとって大きな変化だったようで、前作では楽曲の空気に奥行きを与えるための添え物的な存在だったシンセ・サウンドの存在感がかなり大きくなっており、キーボードがリードを取る場面も見られる。前作よりもカドが取れ、滑らかさが増したように思えなくもないのは、このあたりの変化が原因かも。

私のような「複雑骨折系リズム大好きっ子」にはストップ&ゴーの繰り返し、ワケのわからんノイズ、超絶変拍子、殺人的なユニゾンといった要素満載の“Solar Droid”が用意されており、“Berserker Hypothesis”で虜になった人間も必ず満足できると思うが、親しみやすいメロディが随所で聴かれることも忘れてはならない。彼らの振れ幅の大きさが付け焼刃でないのは頼もしい限り。Dream Theaterのインスト・パートが好きなら聴いてみて損はないかも知れん。


Canvas Solaris“Reflections Carried To Mirror”

2008/09/07 Sun. 00:42  edit

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サザンオールスターズ「Southern All Stars」(1990) 

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私のような「ザ・ベストテン」「ザ・トップテン」あるいは「夜のヒットスタジオ」を見て育った世代の人間は、本人がどんなに無自覚であろうと、あるいはどんなに否定しようとも「歌謡曲」というのがルーツの1つとして骨身に染み付いているのである(断言してしまった)。

そのルーツたる歌謡曲の中にあって、私の中で特に重要な位置を占めているのがサザンオールスターズ。10歳で「Kamakura」に出会ってから高校に入学するあたりまでの約5年間、私にとって音楽といえばサザンのことであった。「Kamakura」と初期のコンピレーション「バラッド'77~'82」は少なめに見積もっても千回は聴いてると思う。

高校を卒業する頃あたりから、私の音楽嗜好の変化と共に急速にサザン熱が醒めていき(それはもう“Tsunami”をワンフレーズも歌えない、要は聴いたことがないほどの醒めっぷりでして…)、買いはしたけどほとんど聴いてない「Young Love」以降の動向についてはとんと疎いのだが、この夏を持ってサザンが無期限の活動停止を発表したことで懐かしさがこみあげてきたと言うか「今の耳でサザンを聴いたらどういう感想を抱くのだろう?」という意味での興味が沸いてきて、とりあえず「Kamakura」「Southern All Stars」の2枚を再購入。今日は後者をご紹介。

「Kamakura」をリリースした85年からしばしの活動停止期間を経て復活作として大々的にリリースされたのが本作で、サザンのアルバムとして初めてミリオンセラーを記録したアルバムである。リリース当時、朝の番組(何の番組かは覚えていない)でやっていた「アルバムセールストップ10」みたいなコーナーで数週間続けて1位になっているのを見て「よく売れてるんだな」と思ったことは記憶に残っている。

編曲に小林武史を迎えて製作されており、「綺麗」「人気者でいこう」「Kamakura」における「デジタル大好き!」路線から大きく舵を切り、桑田佳祐と小林武史の初コラボとなった1stソロ「Keisuke Kuwata」('88)の緻密ながらスッキリしたサウンドに、手触りとしては近くなっている。華美すぎず硬質な中にも暖かさを感じさせる音。

収録曲はバラエティ豊かな13曲が取り揃えられており、そのうち半分くらいの曲はシングル・カットされても大丈夫なのではないかというほどの充実ぶりで、セルフ・タイトルを冠したバンドの自信が伝わってくる。4曲目、桑田の多重コーラスによるア・カペラ“忘れられたBig Wave”から7曲目のキリッとしたバラード“Oh, Girl(悲しい胸のスクリーン)”までの流れは特に圧巻。ここは今聴いてもいいと思う。それ以外に今回聴き返して、発売当時はそれほど好きではなかった“女神たちへの情歌(報道されないY型への彼方へ)”“Mariko”といった曲が結構気に入った。何と言うか、よく練られている感じ。そう言えば、サザンに興味をなくす直前に好きだったのはこれまた異常に凝ったアレンジの“愛の言霊~Spiritual Message”だったなあ。

個人的には、この作品を境にある種の泥臭さが消えたというか、セールス面も含めて良くも悪くも「皆に愛される国民的バンド」になった印象で、この作品でサザンを卒業した(あるいは70~80年代の作品をより高く評価する)人が結構いるような気がするのはそのあたりが影響しているのかな、と思う。思春期ど真ん中の時期に死ぬほど聴いたアルバムなので冷静な評価というのは中々難しいが、名作、でしょう。

2008/09/01 Mon. 23:38  edit

Category: CD/DVDレビュー:国内さ

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