非思量

Strapping Young Lad「City」(1997)

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Devin Townsend(Vo,G)率いるStrapping Young Lad(以下S.Y.L.)の2nd。2008年にリマスターの上、デモ音源等のボーナスを加えて再発された。再発にあたり、ジャケットの「Strapping Young Lad」よりも「Devin Townsend」の文字が大きく表示されていた部分が後期S.Y.L.のロゴに差し替えられている。

Devinのアジテーションが猛り狂う"Velvet Kevorkian"の後、ドラムのカウントに続いて炸裂する弦楽器+ドラムスの絨毯爆撃、その後、ノイズの塊を切り裂くようにDevin のスクリームが響き渡る"All Hail The New Flesh"から、ほとんどブレイクをはさむことなく攻撃的な音の塊をひたすら撃ち込んでくる。

彼らが通り過ぎた後にはペンペン草一本残らぬほどの無慈悲なサウンドだが、その一方で、Devin節とも呼べるキャッチーなメロディも随所で炸裂しており、マシーナリーなノイズと、瑞々しささえ感じさせる歌メロをこれだけムリなく共存させられる人はいなかったと思うし、今でもあまりいないのではないかなあ、と思う。

この後、Devinはソロ名義でアルバムを発表、「怒り」が轟音ではなく、極端に神経質な感触として現れるようになり、21世紀に入ると人間が丸くなったのか、S.Y.L.、ソロ名義ともに攻撃性が失われていくのだが、この作品が1997年時点で「最もやかましく凶暴、かつ先鋭的なメタル」の1枚だったことは間違いないと思う。「歌舞伎町から超鋼鉄重低爆音」という邦題がまさに「名は体をあらわす」1枚。驚異的な密度の高さは後続への影響も大だと思われるので、名前は知ってるけど聴いたことがないという方はこの機会に、ぜひ。


Strapping Young Lad"Detox"

Joe Jackson「Rain」(2008)

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英国出身SSW、Joe Jacksonの新作。30年近いキャリアを持っているそうだが、私自身は彼の作品を聴くのは初めて。自身のVoとPiano、あとはBとDrのみというシンプルなトリオ編成で録音されている。

のっけから結論を言ってしまえば、傑作だと思う。時に柔らかみを帯びつつも力強く飛び跳ねるピアノをリズム隊がガッチリと支え、タイトな演奏の合間を縫うように、熟成されながらも瑞々しさを失わないヴォーカルが美しいメロディを得てしなやかに舞い踊る。抑制が効いていながらも実にエネルギッシュな仕上がり。

3人の演奏以外には何も付け足しされておらず、しかもリード楽器がアコースティック楽器なのでわかりやすい派手さというのはないが、ひとつひとつの楽曲、メロディ、演奏がいちいち魅力的で、聴けば聴くほどに彼らの世界に引き込まれていく。シンプルながら実に丁寧に作りこまれており、全く飽きることなく聴けるのも実に好印象。私が買ったUS盤ではDVDがオマケについていて、アルバム収録曲中4曲のライヴ映像が見られるのだが、ここでリズム隊2名が実にいい働きをしていることも付け加えておきたい。

生え際が後退したアヒル口のオッサンが今更日本で脚光を浴びることなど考えづらいが、多くの人の耳に触れて欲しいと思わずにはいられない。いやホントいいよコレ。

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