Seal「System」(2008) 

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ロンドン出身の黒人シンガー、4年ぶりの5th。

私がSealの作品で聴いたことがあるのは98年の3rd「Human Being」のみで、ダークでひんやりした手触りの打ち込みサウンドと、Peter Gabrielに通ずるSealのハスキーで力強い声の取り合わせが印象的だったのだが、制作上のパートナーがTrevor HornからStuart Priceに変わっても基本的なラインに変更はない。

ただ、「Human Being」ではほとんどなかったような気がする(聴き返そうと思ったら家にCDがなかった…)ダンサブルなアップ・テンポの曲が多めに収録されている。華美とまでは言わないにせよ非常に華やかというか、ゴージャスな印象を受ける。「Human Being」収録曲のようなストリングスを配したスロー・ナンバーも存在するが、それらが互いを引き立てあう役割を果たしており、まあ色々ひっくるめて「伊達に金かかってないよなあ」という印象(これはポジティヴな意味で受け止めてもらいたい)。

勿論、作品を支配しているのは他ならぬSeal本人の声だ。いかなるサウンドをバックにしても埋没することなく、じわりと染み入るような歌を聴かせてくれる。ホント、いい声してますこの人。

2008/01/27 Sun. 22:49  edit

Category: CD/DVDレビュー:S

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Protest The Hero「Fortress」(2008) 

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カナダ産5人組の2ndフル。

線の細いヘロッとしたデス声混じりのヴォーカルや前のめりに突き進むところなどが、時にエモだったりデス・メタルだったりするのだが、唐突な場面展開を見せて急にプログレ・メタルっぽくなったりする。そんなバタバタとせわしない流れの中にキャッチーなメロディをサラッと差し挟んでくるのが彼らの特徴。

パッと聴いたときに、音楽性としてはDream Theaterをコンパクトに凝縮したような印象を受けたのだが、別にDream Theaterのファンになら薦められるという意味ではなく、気に入ったものはなんでも取り込んでしまう雑食性とか、様々な要素を複雑な展開で無理矢理1つにまとめようとする強引さとか、リズムが複雑になればなるほど楽しそうなドラマーとか、そういう「結構ムチャクチャ」だけど「それがバンドの個性に昇華している」あたりが共通しているのだと思う。

エモとか、そういうのが起点になってるぽいバンドはヴォーカルがどうしても好きになれないが、ゴチャゴチャと鳴り響くメタリックな音像と、その中から浮かび上がってくる人懐っこいメロディにはついつい惹きつけられる。10曲入りで約40分とコンパクトで、聴いていて飽きないのも○。

2008/01/27 Sun. 18:10  edit

Category: CD/DVDレビュー:P

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Sean Malone「Cortlandt」(1996) 

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CynicやGordian Knotでの活躍が知られるベーシスト、Sean Maloneが96年にリリースしながらも速攻で廃盤となり、2007年にようやくリマスター再発された1stソロ。全部で10曲収録されており、そのうち、"Sinfonia"はJ.S.Bachの、"Giant Steps"はJohn Coltraneの、"Unquity Road"(Gordian Knotの1stのボーナス・トラックと同テイク。ちなみに、このアルバムには初収録で、こちらでもボートラ扱い)はPat Methenyの、それぞれカヴァーである。

Gordian Knotでの音楽性からも想像できるように、実際にはメタルからとても遠い位置にいる人だが、この作品ではGordian Knot以上にメタル度は低い。楽曲はGordian Knotでは聴けない(Cynicぐらいでしか彼のことを知らない人には想像もつかない)ようなライトなフュージョンも交えたテクニカルなジャズ・ロック寄りの曲が多く、さすがにGordian Knotほどの確固たる個性/統一感を得るには至っていない。MaloneのベースもJaco Pastoriusっぽい速弾きが散見されるし。

Maloneの演奏家/作曲家としての自我がむき出しになっているアルバムだが、彼独特の知的で優美なメロディ・センスは既に十二分に発揮されており、「Cynicみたいなのじゃなきゃイヤ!」と言うのならともかく、Gordian Knotに魅せられた人なら必携でしょう。Gordian Knotをまだ聴いたことがない方はまずそちらからどうぞ。

2008/01/17 Thu. 22:56  edit

Category: CD/DVDレビュー:S

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Jonas Hellborg「Art Metal」(2007) 

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スウェーデン人ベーシスト、Jonas Hellborgのソロ・アルバム。副題に「Vyakhyan Kar」と記されている(グジャラート語で吟遊詩人のことらしい。ネットて便利!)。参加メンバーはFreak Kitchenのスーパー変態ギタリスト、Mattias IA Eklundh(G)と、Anders(Dr)、Jens(Key)のJohansson兄弟、さらにSelvaganeshなるインド人パーカッション奏者(Kanjeera)という超・豪華メンツ。

タイトルこそ「Metal」と謳いあげてはいるものの、Hellborgのベロンベロンしたプルの音などは紛れもなくジャズ・ロック/フュージョン系のそれで、強いて言えばEklundhのギターが「メタル」をアピールしている。彼のギター、自身のバンドFreak Kitchenと比べるとかなり大人しめのプレイだが、初めて聴いた人はのけぞるかも知れんなあ。Johansson弟もベロンベロンした(…て、Hellborgの時と同じ表現を用いてしまったが、Johansson Johansson Holdsworthで初めて聴いたときの印象が「なんかベロンベロンした音やな」で、今回もサウンドのキャラが変わっていないのでこう表現した次第)音でソロを取って存在感を発揮している。Johansson兄のドラムはジャズ色はほぼ皆無で、あまり派手さはない。Hellborgのベースが高音域を強調した音なので、しっかり土台を支えている印象。

ハイライトはラストのタイトル・トラックだろうか。縦横無尽に叩き出されるKanjeeraサウンドをベースにした炎の高速変拍子ユニゾン地獄。もうひたすら攻めの一手で「アホかコイツら」と思うと俄然楽しくなってくるぞ。

このタイプのハードな曲が多数収録されているが全体的には攻め一辺倒というワケではなく、エスニックな和み系メロディが顔を出す場面もあるのだが、総じて感じるのが「ジャズ・ロック」「ヘヴィ・メタル」「エスノ風味」が融合してはおらず、融合というよりは互いの距離を感じつつもアッパーな空気の中でなんとなく共存しているムード。それが違和感ではなく、このユニットの個性として昇華しているあたりが凄いなあ、と思う。

2008/01/14 Mon. 00:12  edit

Category: CD/DVDレビュー:J

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Canvas Solaris「Cortical Tectonics」(2007) 

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アメリカ産インスト・メタル・トリオ(その後、メンバーが5人に増えた模様)の3rdフル。

のっけから、別々に録音した様々な超絶フレーズを切り貼りしたような"Berserker Hypothesis"で度肝を抜いてくれる。ムチャなキメと滑らかなアルペジオが交互に繰り出されたかと思えば、拍を数えるのが面倒になるリズム・チェンジの嵐で聴く者を責め立てる。もう一曲目でぐったり。

手駒がこれだけだったら2枚目あたりでアイデアが尽きて沈没するのが関の山だが、Gordian Knotを彷彿させる奥行きと広がりのあるサウンドを聴かせる部分もあり、それ以外にも随所で引き出しの多さを感じさせる部分は多く、押し引きの勘所を弁えているような気もする。でも忘れた頃にまたムチャなパートをねじ込んでくるので油断ならん。

ジャズ・ロックとヘヴィ・メタルを自在に行き来する作風は実に刺激的で、理路整然とムチャなことを延々やっているのを聴くのが好きな人には大推薦。

2008/01/06 Sun. 00:24  edit

Category: CD/DVDレビュー:C

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2007年下半期の5枚。 

あけましておめでとうございます。今年もシーンの動向に関係なく(そんなにたくさんの音源を聴いてないし、だいいちついていけないから)、気になったブツを細々と紹介していきます。

年明け一発目は恒例のアレ。私が2007年7~12月の間に買ったCD/DVDから、個人的に気に入った作品を5枚ピックアップしてみました。2007年中に発表された作品とは限らないので、その場合は作品名の後に発表年を表記してあります。

1.James Blackshaw「The Cloud Of Unknowing」
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レビュー
触れば壊れそうなほどの繊細さとむせ返りそうなほどの英国臭がたまらん。

2.Kristi Stassinopoulou「Taxidoscopio」(2006)
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レビュー
ラディカルでありながら取っ付き易さへの配慮もしっかりなされている。ポップな快作。

3.Canvas Solaris「Cortical Tectonics」
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あ、レビュー書いてないや。変態バカテク系メタルの、ひとつの極北。
(1/5追記:レビュー書きました→コチラから)

4.Adrian Belew「Side Four(Live)」
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レビュー
内容が、Belew画伯自身によるジャケットのアレっぷりを補って余りある充実のライヴ盤。若いリズム隊が健闘。

5.W.A.S.P.「Dominator」
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レビュー
だって好きなんだもん。

2008/01/03 Thu. 22:40  edit

Category: 2007年下半期の5枚

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