非思量

Adrian Belew「Side Four(Live)」(2007)

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King Crimsonのギタリスト兼ヴォーカリスト、Adrian Belewの「Side One」「Side Two」「Side Three」と続いた三部作の締めくくり(?)的なライヴ・アルバムである。

アルバムはソロ名義だがライヴ冒頭で「Adrian Belew Power Trio」と紹介されている通り、Julie Slick(B)、Eric Slick(Dr)姉弟を従えたトリオによる演奏で、近年の三部作や過去のソロ作、Crimsonの曲からまんべんなくチョイスされた12曲が収録されている。

Julieは現在21歳、Ericも弱冠20歳という若さだが、Julieのベースはぶっとい音でぐにゃぐにゃとうねりまくり、Ericも手数の多いパワフルなプレイを披露。アルバムの音はBelewの一人芸術がメインなせいかどこか掴みどころがないのだが、ライヴではこの2人のおかげで見事にロック色に塗り替えられている。大したもんだ。

そんな若い2人に負けじとBelewのギターにも気迫がこもっていて白熱の仕上がり。気迫がこもっていると言っても彼の場合、表現手法が「炎の速弾き」とか「魂のチョーキング」とかではなく「あらん限りのヘンな音をギターから放出する」というものだし、元々のキャラクターもあってどこか洒脱というか、飄々とした風情が漂っているのだが。

今のところ、Belewの公式サイトでのみの販売となっているようだが、一般流通での販売が望まれる。若いプレイヤーに誘発されたヴェテランが溌剌としたプレイを聴かせる力作。

有馬記念にキネーン騎手が出るぞ。

久しぶりに競馬ネタ。1年の締めくくり(たまにではあるが地方競馬も愛でる私にとっては大晦日の高知県知事賞@高知競馬場こそが1年の締めくくりなのだが、まあ一般的な話として)、有馬記念ということで何か書いてみよう。

一番笑わせてもらったのがレゴラスの出走である。自己条件馬ふぜいがグランプリに出走してきたから、ではなく、笑ってしまったのは、どう考えても「一発狙い」な馬の鞍上に「淡々とコースを一周させたら日本一」「G1では空気同然」の柴田善臣大先生を配してきた陣営のセンスに、である。善臣の大ファンで、いつも善臣の馬から流して私から「金をわざわざドブに捨てなくても」と嘲笑されている(でもヴィクトリアマイルみたいに、時々ドカンと来るんよな…)友人Dですら「オレの有馬記念は終わった」「今回は馬連総流し、1500円で遊べるわ」と自嘲的に話していたぞ。

個人的には「最近、近藤利一に魅入られてちょっぴり気の毒(何とて重賞を勝ったビッググラスの復帰戦で自己条件上がりのアドマイヤスバルに騎乗していたのには驚いた)、でも強い馬に乗れる機会が増えるここはチャンスよね(しかもアドマイヤスバル、勝ってたし)」な村田一誠を密かに応援している身としてアドマイヤジュピタの複勝を買おうと思っていたのだがアドマイヤジュピタは回避。

となればJCで単・複を買ったら4角で早くもショボーンな気分になってしまったドリームパスポートの単・複で再度勝負するしかあるまい。鞍上が高田潤に戻って(「戻る」という表現でいいのだろうか)、浪花節/応援馬券的な売れ方をしているのが気に食わないが。でも高田だからこそ応援してやりたい、というのは私の心の中にも、ある。JCに引き続いてアンカツだったら1銭も買わなかっただろう(アンカツが中山苦手、というのもある)。1面で掲載したスポーツ紙もあったそうで、まあ馬券的な妙味もさることながら「ここで高田に男になってもらいたい」という思いも記者たちの間にあったんではないかな。

まあ普通に騎手で買えばユタカ-ペリエ-キネーンで決まりなんだが。ま、どうなりますかね。お祭りを楽しみましょう。

Alter Bridge「Blackbird」(2007)

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Scott Stapp脱退後、残されたCreedのメンバーが新Voを迎え入れて結成したハード・ロック・バンドの2nd。WWEのファンなら「Edgeのテーマ曲を演奏しているバンド」と言えばわかるだろうか。

穏やかにスタートして中盤グワッと盛り上がるミッド・テンポの楽曲がメインで、「割と手を変え品を変えしてるはずなのに始めから終わりまで単一のカラーが支配する典型的な歌モノアメリカン・ハード・ロック」といったところか。「結局、Creedの路線に戻るのか」と言えばそうではなく、1stよりきもち控えめながらギターは相変わらずハッスルしており、Creedというよりは80年代のゴージャスなメタルを土台に、90年代以降のダークで陰鬱なフレーヴァーをたっぷりまぶした感じ。

前述の通り、ずーっと同じようなカラーの曲が続くので13曲59分というのはちょっと長すぎやしないか?とは思うが、ハイトーンもいける熱い(暑苦しい)ヴォーカルがぶ厚く(暑苦しく)構築されたサウンドをバックに愁いを帯びたメロディを歌い上げる様子はなかなかサマになっている。

Creedの幻影は終始つきまとうことになろうが、Creedよりもエッジが立っていてメリハリがあるため、むしろCreedのヌルい部分を敬遠していた向きにオススメしたい。何せコイツらはメタルだからな!今回のも十分いい出来なのだが、1st並みに楽曲のキャラが立ってくればさらに良い作品を生み出せるのではないか。

12月のライヴ総ざらえ

12/8(Sat) Red Priest@兵庫県立芸術文化センター小ホール

Red Priestはバロック音楽の作曲家、ヴィヴァルディのニックネームをそのままバンド名にした4人組である。Judas Priestとは何の関連もない。

演奏しているのはいわゆるバロック音楽、クラシックの範疇に入る音だがその編成はリコーダー+ヴァイオリン+チェンバロ+チェロという一風変わったもので、昼の部と夜の部のうち、私が見た夜の部のセットリストはこのページの「プログラムI」。

こうやってクラシックのコンサートについて語るのが恥ずかしいほどにクラシックについては無知なのだが、英国王立音楽院出身者とかがいるだけあって演奏は素晴らしいの一言。アンサンブルには一片の狂いもなし、アンプを通さない楽器の音色も美しく、いやあ、凄いなあ、と。

演奏がいいだけでなく、時折ユーモラスな動きを交えたりして笑いを誘うなど、ツボをおさえまくっての2時間。いい仕事してます。立派な体格の女性チェリストが、時折チェロを肩からストラップで提げて指弾きしていた(主に親指を使用)のには驚かされた。



12/13(Thu) Sleeping People@鰻谷Sunsui

3組出てたサポートアクトの2組目まで見て(正確には見てない)外に出たのでメイン・アクトについては感想の書きようがない。なのでそのサポートの感想と、あと少し思ったことなどを。

なんか知らんが(どうやらサポート3組目のEnvy目的の客が多かった模様)人が異様に多くてフロアに入る気が起きなかったので、友人Gと2人でフロアの外のスペースでベンチに腰掛けて音だけ聴くことに(フロアにドアはないので音を聴くだけなら問題なかった)。

サポート1組目はペケペケしたギターが変拍子の上でコード弾きやアルペジオをカマすポスト・ロック系の音。

G「オレならここでソロ弾き倒すんやけどな~(Gは音楽学校でギターを習っていた人です)」
cota「なんかここで一発パワーコードを鳴らして欲しかったところではあるな。ジャラーン!と」

こんなところにいてはいけないメタルかぶれのオッサン2名が小声でグチるグチる。それでも演奏はタイトなのでまあ聴けた(悪口ばかり言ってたワケではないぞ)がヴォーカルが絶望的にダメでげんなり。

2組目はトランペットやヴィブラフォンが入ったクラブ・ジャズというのか?なんかオサレーな感じの曲を演奏。唐突に終わる曲が多くて「?」だったが、まあこれはこれでいいかな、と。トランペットはイイ感じで鳴っていた。

2組目が終了したところで、我々のグループで唯一フロアに突撃していたMが戻ってきて「堪能した」というので会場を出ることに。京都でメシを食うことになっていたので遅くまでいられなかった、という事情もあるのだが。もうこの時点で9時近かったし。

Mに感想を訊くと「2組目の鉄琴叩いてた女の子、カッコも地味だし『魅せる』というところに無頓着すぎ」といったようなお答え。むー。そういえばメインのSleeping Peopleが出てきたのは10時過ぎだったそうだ。出演者、会場ともにもうちょっと考えてやってほしいな、と思いました。木曜日にメイン・アクトが10時スタートて、マトモな感覚じゃありえないと思うんだが。



12/15(Sat) 今沢カゲロウ@鳴門D-Box

関西では夕方のワイドショー番組に出演したりして、主婦や自宅警備員といった層の認知度も上昇中(?)の今沢カゲロウ。私にとっては大雪に見舞われた2年前から3年連続の参戦、年末の風物詩と化した感すらある。

風物詩とか言いつつ実は「今年は行かなくてもいいかな?」と思っていたのだが、既に聴いたことがある曲も新しく音が加えられたり、少しアレンジが変わっているものが多く、未だに進化し続けていることを証明。すいません甘く見てました。歯切れの良い新ネタ込みのMCや観客参加型の"コオロギ王子"などからは、リピーターも一見さんも楽しませようとする姿勢がうかがえ、頭の下がる思い。宿で夜練をしながらそのまま寝てしまうこともあるという今沢氏、まさにプロの芸人(ちょっと違う)であった。

余談だが、ライヴ終了後毎回CDを買っていて、今回は「4 Phusion」「Tapirus」を買ってサイン&ヒラタカゲロウの絵を描いてもらったのだが、「4 Phusion」を「Psybass Metaloop」と間違えていたことが家に帰ってから判明。「4 Phusion」、もう持ってるよ…。

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King Crimson「B'Boom Official Bootleg-Live In Argentina」(1995)

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2009年から始動する第7期(で合ってるのか?)King Crimsonに、Porcupine TreeのGavin Harrison(Dr)が参加するらしい。Pat Mastelottoとのツイン・ドラム編成になるとのこと。

過去のCrimsonのどのドラマーとも異なるヘヴィ・メタリックなプレイが持ち味のHarrisonがどのような作用をもたらすのか興味深いところだが、それよりもツイン・ドラム編成と聞いてまず思ったのが「Robert Frippて、90年代のWトリオ編成に未練があったのかな?」ということ。Wトリオは正式なアルバムは1枚作っただけで活動を停止してしまったし、まだまだ進化の余地はあったと思えるだけに。ま、今回は今のところベーシストは1名(Tony Levin)ですが。

で、ふと思い立って聴き返して見たのが今日紹介する「B'Boom」。前述のWトリオ編成からなる第5期Crimsonが第1弾ミニ・アルバム「Vrooom」(1994)のレコーディング終了後にアルゼンチンで挙行された、第4期の活動終了以来10年ぶりのライヴを収録したもの。明確に「Official Bootleg」と銘打たれており、そのアルゼンチン公演のブートレグへの対抗措置として発表されたもののようだ。ちなみにメンバーはRobert Fripp(G)+Adrian Belew(G,Vo)+Tony Levin(B,Stick)+Trey Gunn(Warr Guitar)+Bill Bruford(Dr)+Pat Mastelotto(Dr)の総勢6名。

品質面の問題から以前はFripp翁が猛烈にCD化を渋っていた「Earthbound」「USA」すら含まれている近年の再発ラッシュからはなぜか完全に外されているのだが、内容はそりゃもう「壮絶」の一言、これしかない。「とりあえず作ってみた」な「Vrooom」から「ちゃんと作りました」な「Thrak」への進化の途上でありながら歓声が入ってなかったらスタジオ録音と見紛うほどの超絶的な統率感と、進化のごく初期段階であるがゆえのこれまた超絶的なテンションとが奇跡的な相互効果を発揮。再発されない現状を鑑みるにFripp翁の評価は芳しくないのかも知れないが、第三者から見れば「神が降りてきた」としか思えない。コレをナマで見たアルゼンチンのヤツらがうらやましい。

70/80年代の楽曲もWトリオの圧倒的な音圧を得て新たな生命の息吹を与えられたかのごとく活き活きとしており、"The Talking Drum""Larks' Tongues In Aspic Part II""Red""Frame By Frame"は全公式音源中、このテイクが最高傑作だと断言できる。もう最高。

以前から口を酸っぱくして言っているのだが、このWトリオ編成Crimsonは小難しさ、ポップさ、叙情性、大仰さのブレンド加減が実に絶妙で「遅れてきたプログレ初心者」向けの入門編としてはうってつけ、「Vrooom」「Thrak」そしてこの「B'Boom」はプログレ者ならずとも聴いていただきたいところであります。この時代の音源はDVDを含めて他にもあるけど、まずはこの3枚から。しかし「B'Boom」何で再発されないのかな…。

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