非思量

Soilwork「Sworn To A Great Divide」(2007)

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スウェーデンのエクストリーム・メタル・バンドの2年ぶりとなる7th。

前作「Stabbing The Drama」は、むやみやたらにタイトなドラミングを見せる新加入のドラマーが楽曲を引き締めていた反面、メロディックな要素が控えめになっていたが、「Stabbing~」リリース後にどキャッチーなメロディを書いていたPeter Wichers(G)が脱退したためか、「Sworn~」ではその傾向がより顕著に。直截的に言えば、さらに地味になっている。

Peterの書くメロディが楽曲の、ひいては作品の核の1つであったことは間違いなく、そういう意味では確実に痛手ではあるが、すっぽり抜け落ちた部分はSpeed(Vo)の普通声パート増加などによるメロウな感覚の増量によって乗り切っている印象。デス声の存在感が希薄になっている感が無きにしも非ずだが、少なくともスタジオではいい歌を聞かせてくれる(オマケDVDに収録されていたライヴ映像には少々ガッカリさせられたが…。ま、これだけ複雑なヴォーカル・パートを再現しようと思ったらちゃんと歌える人間がもう1人いるわな)ので、個人的には問題なし。そもそも私は彼らのことを「ポップ・バンド」として捉えているので。

個人的にはSven Karlsson(Key)が書く叙情的なナンバーの比重が増えると嬉しいが、そうなるとますます地味になるな。まあそれはともかく、無難な出来ではあるものの、メイン・ソングライターの脱退という危機はうまく乗り切ったのではないか。上がり目が感じられないのは気がかりではあるが…。

At War With Self「Acts Of God」(2007)

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Gordian Knotの1stに参加したGlenn Snelwar(G)率いるAt War With Selfの2作目。Snelwar以外のメンバーは総入れ替えとなっている。

2005年の1st「Torn Between Dimensions」はGordian Knotと似たような方向性に、ほのかにアンビエントな空間処理を施したようなフュージョン・メタルで、今回も同一の方向性…と言えばまあそうなのだが、特筆すべきは9曲中4曲にヴォーカルが参加していること。

所謂「911」が作品のテーマだそうで、なるほどインストがメインになると切迫感だったり緊張感だったりが前面に出てくる(ただ、前作にあったたゆとう感覚は継承されている)のだが、Mark Sunshineなるヴォーカリストの歌いまわしがどことなくMike Patton的というかJames Hetfield的というか、とにかくおかしな、時に東洋的なコブシを利かせていて、シリアスというより、奇妙。

一体、911をテーマに据えた上でこのヴォーカリストを迎えることでどういう地点に着地したかったのか皆目見当がつかないのだが、引き締まったインストとフラつくヴォーカルの対比がユニークで、上手く化ければ誰も辿り着いていない境地に達するかも知れない。Glennさん、本業が科学者なんで次があるのか、次があっても同じメンバーで録音できるのかわからんけれども、「まあ、良く出来てるよな」で終わりだった1stよりもある意味長足の進歩を遂げているので、次も頑張って欲しいです。

Arch Enemy「Rise Of The Tyrant」(2007)

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スウェーデンのデス・メタル・バンド、Arch Enemyのスタジオ7th。

Angela Gossow(Vo)加入後はメロディックな要素を後退させてメタル・コアへの接近を図ったり、かと思えば中途半端に初期の路線に摺り寄ってみたりで微妙に迷走気味、質の高さは認めるにしても聴いた後に何も残らない作品が続いて「多分、もうダメでしょ」と思いつつ聴いてみたが、今回はセルフ・パロディと揶揄されても仕方ない次元で初期路線への回帰を図っていており、最早「開き直っている」と言っても過言ではないと思った。

でも今回はその開き直りがいい方向に出ている。「これ、オレらがオリジナルだから」とばかりに、汚いデス声を従えて流麗なツイン・ギター全開。Frederik Nordstromが久々にプロデューサーを務めているが、彼もひっくるめてのArch Enemyサウンドなのだな、と思わされる。久々に凄みのある作品になったと思うが、良くも悪くもお手軽感の漂うAs I Lay Dying(と同時に購入したのです)と比べると余計にそう思わされる(As I~もアレはアレで好きですけど)。

勿論、初期3枚目までの禍々しさは望むべくもないのだが、今のVoで当時の雰囲気を再現するのはハッキリ言ってムリだし、そもそもそういうのは、メンバーのミュージシャンシップの向上だとか、単に加齢だとか、売れてプロダクションが向上したりだとか、そういった諸々の要因で嫌でも失われていくもので、ないものねだりなどするものではない。自分たちの持ち味を見つめなおし、それを最大限発揮して作られた佳作であると言えよう。

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