Kristi Stassinopoulou「Taxidoscopio」 

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ギリシャ出身のトラッド系女性シンガーのアルバム。クリスティ・スタシノプールと読むみたい。このアルバム、AmazonやHMVではなぜか「Le Temps D'une Chanson」というタイトルで販売されているが勿論間違っているし、そのような名前の曲すら収録されていない。

ガイダ(バグパイプの一種)などのアコースティック楽器をフィーチュアした地中海トラッドと書くと物凄くありがちだが、一曲目はエレクトロニカ+抑制の効いた語り口調のヴォーカルや、サイケデリックな趣きのサビメロなどがかなり異様。その後はヴォーカルもバックの演奏も何となく私の脳内にある「地中海トラッド」のイメージに近いものになるが、電子音の導入には相変わらず意欲的で、それ以外にも数多くの楽器を起用して、非常に多彩な、凝ったアレンジの楽曲を聴かせる。

ギリシャ特有の哀感と電子音楽由来のサイケデリックなムードが妙な配合でブレンドされていて先鋭的ではあるが高尚ぶったところはなく、メロディの親しみやすさにも随分と配慮がなされており、総合的にはポップで親しみやすいアルバムだと思う。

プログレ方面に視線が向いている人間にとってギリシャは宝の山だと思うが何せ言語の壁が途方もなく厚く、例えば雑誌の記事などで興味を持ってネット上で検索したりしてもなかなか見つからないケースが多いのだが、この作品はアーティスト名のみならず、タイトルや歌詞もギリシャ語と英語を併記した親切仕様。スペインとポルトガルでは昨年リリースされた作品だが、この8月に国内盤が出るらしいですよ。

2007/07/29 Sun. 00:20  edit

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W.A.S.P.「Dominator」 

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Wingerに続いて80sヘア・メタル・バンドの登場です。

と言ってもW.A.S.P.はデビュー以来、短期の活動停止期間はあるがコンスタントにアルバムを出し続けている。全盛期はポップなノリだったが、徐々に重厚なブリティッシュ・ハード・ロックへ移行、その後、キャラクターのモチーフをパクったMarilyn Mansonを逆にパクり返したようなインダストリアル調の「K.F.D.(国内盤のタイトルは「Kill Fuck Die」)」を経て、アルバム毎に初期のパーティ路線と中期のシリアス路線を行ったり来たりしていたがこのあたりから楽曲の質が目に見えて落ちてきていたので、シリアス側に寄った2001年の「Unholy Terror」を最後に私は脱落。それからのことは知らん。

で、チラチラと良い評判を目にしたので久々に新作を手にしてみたらこれが想像以上の力作。英語力がないので歌詞の中身については何ともよう言わんが、「支配者」というタイトルやジャケットのデザイン、ブックレット巻末のBlackie Lawlessのライナーノーツ(斜め読みしただけですが)などから、近年のアメリカの情勢に対する怒りがテーマになっているのは明らか。よって当然、方向性も重厚でダークな方に傾いている。

キャッチーなメロディ+Blackieにしか出せない表情豊かで美しいダミ声+ロケンローなギター・ソロというW.A.S.P.の3大要素は今も昔も変わらないが、ここに来て全盛期の畳み掛けてくるような迫力が円熟味を伴って復活しているのが凄い。「なんかこのフレーズ、昔のアルバムで聴いたことないか?」というのが結構多いバンドではあるが、楽曲の出来がいいのであまり気にならない。“Chainsaw Charlie”“I Am One”を思い起こさせるBlackie節全開の“The Burning Man”や、静かな出だしから徐々に盛り上がるシリアスなミッド・テンポの“Heaven's Hung In Black”などは、W.A.S.P.の曲で久々にグッと来たぞ。

「The Headless Children」や不朽の大傑作「The Crimson Idol」を心から愛せるけど最近の作品はチェックしていなくてねえ…、というメタル退役軍人なアナタに是非オススメしたい一枚。もちろん、現役バリバリの皆様にも。

2007/07/26 Thu. 23:48  edit

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Pete Lockett's Network Of Sparks「One」 

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イギリス人パーカッショニスト、Pete Lockettがゲストに複数のパーカッショニストを迎えて製作したNetwork Of Sparksの1stアルバム。1999年の作品。

ゲストの中でもとりわけ有名なのがBill Bruford(と言うか、残りの3名-Nana Tsiboe、Johnny Kalsi、Simon Limbrick-が何者なのか知りません。不勉強ですまん)。参加しているのは10曲中5曲だが、ジャケットにはデカデカと「Featurering Bill Bruford」の文字が。これで私のようなプログレ者が釣られる(いつ、どこで買ったのか覚えてないけど…)。

パーカッショニストが集って作られたアルバムなので、全編コレ打楽器によるアンサンブルの嵐。通常のドラム・セットやタブラ、コンガ、和太鼓など、比較的馴染み深い楽器に加え、ダンベク(トルコ)、トーキング・ドラム、ジャンベ(西アフリカ)、ドール(アフガニスタン)、チャッパ(日本の小型シンバル)と言った聞き慣れない名前の打楽器や、Lockett本人によるコナコル(Konnakol)と呼ばれる南インドのヴォイスパーカッションまで登場したりして、さながら打楽器の見本市のよう。

上記の楽器以外にもマリンバやヴィブラフォンと言った西洋音楽で多く用いられる楽器も使用されており、さらにサンプラーが導入されている曲もあるので、通して聴くと、プリミティヴで土着的な印象はあまりない。個人的にはウソ臭い民族音楽的な埃っぽさを漂わせてくれるよりは、この作品のような洗練された音のほうが聴きやすくて好ましい。

打楽器オンリーなので聴き手を選ぶのは確かだが、様々な楽器がカラフルな色彩を描き出していて、なかなかに楽しいアルバムだ。ちなみに第5期King Crimsonのライヴで披露されていた曲“Conundrum”“Prism”も収録されている。

2007/07/23 Mon. 00:26  edit

Category: CD/DVDレビュー:P

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Winger「IV」 

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80年代に隆盛を極めたヘア・メタル・バンドの一つ、Wingerがオリジナルの3人+新たに2人のメンバーを迎え、15年ぶりにリリースした4th。2006年の作品。実はアルバムを買ったの初めて。

ダークなリフを伴う“Right Up Ahead”を冒頭に持ってくることで「昔の名前で出ています」と認識されることを拒否、続く“Blue Suede Shoes(Dedicated To Our Troope)”も、サビこそ分厚いコーラスがあてがわれているものの「誰かのために命を捧げようとは思わないのか?」という重いメッセージを持つシリアスなナンバーである。多分、昔のファンはこの2曲で脱落決定。

ただ、中盤の“Your Great Escape”からは、80年代の空気を伝えるアップ・テンポのナンバーも散見されるようになり(但し、2006年仕様にアップデートされております)、ここまでガマンすれば古くからのファンも楽しめるのでは(別にガマンしなくてもいいけど)。Reb Beachは何の臆面もなく弾きまくってるし、“On A Day Like Today”は結構コテコテのバラードだ。

今風ダークネスを基調としながらも、かつての華やかさを感じさせたり、ミステリアスな色調にしてみたりで、Kip Wingerの力強いヴォーカル(メチャクチャ上手い)も相俟って「ダークな正統派アメリカン・ハード・ロック」を正統派ではない手法(例えば“Blue Suede Shoes”のAメロでギターがディシプリン期のKing Crimson風だったりとか)で体現した音、という印象。いやー面白いわコレ。「絶対、他のヤツらと同じようにはやらんからな」という凄腕ヴェテランの矜持が伺える1枚。

2007/07/15 Sun. 22:51  edit

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Thursday「A City By The Light Devided」 

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米国産の、エモとかそういうのに分類されるであろう6人組の4枚目。2006年リリース。

U2っぽいというか、今様スタイルのバンドに極めてありがちな、不安定で甲高いヴォーカルの、途轍もない青臭さというか、傍から見たら果てしなくどうでもいいようなことで悩んでいそうな前のめりっぷりが耳を引くが、釣られるようにバンドの演奏も言い知れぬ不安におののくかのごとき焦燥感を伴って突っ走る。

個人的にはその突っ走りっぷりが、まあそのナンだ、どことなくメタルっぽいところが気に入った次第でして。ギターがドンシャリだったらモロにメタルになりそうな曲もあるし、ほら、2曲目の“Counting 5-4-3-2-1”の冒頭のフレーズからはIron Maidenの香りが漂ってきませんか?きませんか。ならいいです。

バックの演奏が醸し出す切迫感とメロディのキャッチーさ/メロウさが溶け合って描き出される世界観は好みだ。3ヵ月後も愛聴しているかどうかはわからんけど…。

2007/07/15 Sun. 01:47  edit

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Queensrÿche(Queensryche)「Mindcrime At The Moore」(DVD) 

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「Operation:Mindcrime I&II」の(ダイジェスト版ながら)再現ツアーも記憶に新しいQueensrÿcheの、こちらはセットから何から完全再現版となった地元シアトルでのステージを収めた2枚組DVD。同じ音源を収録した2枚組CDも同時に発売されている。

昨年リリースされた「Operation:Mindcrime II」について「『Operation:Mindcrime』にハマった人だけが楽しむ権利を与えられた『ボーナス・トラック』のようなものだ」と書いたことがあるが、このライヴ・アルバム/DVDについても感想は同じようなものだ。付け加えれば「来日公演に行った人なら更に楽しい」と言ったところか。

来日公演のステージ・セットはソファがポツンと置かれているだけの質素極まりないものだったが、このDVDではエキストラ/ドクターX役などに俳優を起用、スクリーンも配置され、セットも凝った作りになっているのが特徴。当然、日本で演奏されなかった曲も演奏されている。演奏の質などは日本でのそれとほぼ同等と考えていい出来で、来日公演の興奮が蘇ると共に、日本におけるバンドの人気や地理的条件に歯軋りせずにはいられなくなる、と。

でも、来日公演に駆けつけるほど思い入れがない人がこの作品を楽しめるかどうかはやはり微妙だ。現在のサウンド(特にドラムとMike Stoneのギター)が80年代の作品である「I」には向いていないし、何より、主人公は青臭いジャンキーと娼婦なのに、それを演じているのはオッサンとオバちゃんだ。「I」に思い入れない人ならGeoff TateとPamera Mooreの揃い踏みを観て何て思うのだろか(2ちゃんでは「土俵入り」とか書かれていた)。「II」パートの微妙さについては言わずもがな(私は好きですけど)。彼らのライヴ音源に触れてみたいなのなら「Empire」のツアー時に「Operation:Mindcrime」を完全再現した「Operation:Livecrime」を観た方がいい。

とまあ、若いモン向けに忠告タレるのはこれくらいにして、このDVDサイコー!Pameraの声、もうちょっとレベル上げても良かったんでない?とか、GeoffとPameraの絡み(演技の話)がちょっとこっ恥ずかしいかも…とか、“Eyes Of A Stranger”のサビのフェイクはそりゃないぞとか、まあ思わんでもないが、Geoffのヴォーカルが放つ個性は相変わらず唯一無二だし、シスター・メアリーはPameraでなければならんのだ。“Eyes Of A Stranger”は生で聴いていて少し泣きそうになったが、DVDを観ていてもやはり少し泣きそうになった。

ちなみに、DVDのハイライトは2枚目のオマケに収録された生Ronnie James Dio降臨の図。還暦過ぎのちっちゃいおじいちゃんが爬虫類のウロコみたいな模様のレザー・パンツを履いて、体をクネクネ動かしながら物凄くデカい声で朗々と歌うサマは「動くRonnie」が実は初体験の私にとってはかなりインパクトのある映像でした。この人、ヘンなオーラ出まくり。

2007/07/14 Sat. 23:38  edit

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The Claudia Quintet「For」 

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NYのドラム+ベース+ヴィブラフォン+アコーディオン+クラリネット/テナー・サックスという5人編成のユニット、The Claudia Quintetの4thアルバム。全8曲収録で、6曲目の“For You”以外、曲ごとに“For ○○”という副題がつけられているが詳細は不明。

上記の通り少し変わったバンド構成で、パッと見ジャズだがジャズとは異なるグルーヴ/精緻に組み上げられたミニマルな反復フレーズが物凄いテンションをもたらしつつ、ヴィブラフォンやアコーディオンといったソフトめな音色の楽器がそのアンサンブルの上で牧歌的なフレーズを奏でていたりしていて、なんとも独特な雰囲気である。

フリーキーな展開を挟みつつも終始クールなムードは保たれており、傑作2nd「I,Claudia」と比較すると、やや難解さが増しているように思えるが、軽やかで案外親しみやすい部分は基本的に不変。何がなんだかよくわからない細かいフレーズの積み重ねによってメロディックな音風景を作り出す手腕は立派の一言。

2007/07/08 Sun. 22:57  edit

Category: CD/DVDレビュー:C

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