Masayoshi Fujita「Apologue」(2015) 

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ベルリン在住の日本人ビブラフォン奏者、Masayoshi Fujita(藤田正嘉)のソロ2nd。2月に観たライヴの会場で購入した物件。

ライヴのレポでも書いた通り、ニュー・エイジ/アンビエント系の、非常にリラックスできる音。ライヴでは演奏前に朗読されていた各楽曲のテーマがブックレットに収録されている。ライヴでは完全にソロによる演奏だったが、アルバムではヴァイオリン、チェロ、クラリネット、フルート、フレンチ・ホルン、スネア・ドラムといったゲスト奏者を迎えてより豊饒なサウンドを志向している。

ビブラフォンの柔らかい音色が時に穏やかで、またある時には幻想的な空気を作り出す。のほほんと和む音ではなく、曲によってはひんやりとしたクラシカルなチェンバー・ロック的な表情を見せることもあり、ソッチ方面が好きな人にもアピールする音楽だと思う。こういう、BGMとして優秀でありながら、じっくりと向き合うように耳を傾けても退屈しない作品が好きだ。とても良い。3月末から4月初旬にかけて関西でライヴの追加日程が発表されている(コチラ)ので、興味のある方はチェックしてみては。


Masayoshi Fujita“Tears Of Unicorn”
ビブラフォンのみのヴァージョン。アルバムでは他の楽器も演奏に加わったテイクが聴ける。

2016/03/06 Sun. 22:00  edit

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ハチスノイト「Illogical Dance」(2015) 

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「Universal Quiet」(2014)以来、約1年ぶりとなるハチスノイトのソロ2nd。

ハチスノイト自身の声を多重録音&エレクトロニクス処理する手法は前作同様だが、エレクトロニクスによる処理の手法が広がっている模様。“illogical Lullaby”なる曲はハチスノイト側でミックスした“illogical Lullaby-Furepe edit-”と、Björkのアルバム/ツアーに参加経験のあるデュオ、Matmosがミックスを手掛けた“illogical Lullaby - Matmos edit-”の2つのヴァージョンが収録されており、若干前作の空気を残しているFurepe editと比べると、Matmos editはブレスの音も小さくなり、人間的な息遣いよりも無機的な感触のポップ性が前面に出ている。

前作は西洋宗教色漂う神秘性が特徴で、今作もまた独特の神秘性をたたえた作品に仕上がっているのだが、、このMatmos editと、短くぶった切った声の断片を繋ぎ合わせた“anagram c.i.y.”やといった曲の存在が、前作とは異なる硬質な手触りをもたらしている。

斬新かつアーティスティックな作品、という表現が実にふさわしいというか。一点の曇りもなく「個性的」な一枚である。次はどうするんでしょ、て私がここで心配してもしょうがないんだが、それはともかく、生でライヴを一度体感してみたい人である。


ハチスノイト“illogical Lullaby - Matmos edit-”

2016/01/24 Sun. 22:41  edit

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ハチスノイト「Universal Quiet」(2014) 

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夢中夢、Magdaraのヴォーカリスト、ハチスノイトの1stソロ。全ての曲が彼女の声(エレクトロニクス処理を施されたものも含む)で構築されている。

彼女の存在を知ったのは今沢カゲロウ目当てでDOMMUNEを視聴したとき。トリを務めた今沢の1つ前の出演だったが、彼女が出演している約30分間、最初から最後まで圧倒されっぱなしだった。1人の人間からこんだけ色んな声が出てくるもんなんだなー、と。歌詞と呼べるような意味のある言葉の連なりは無く、クラシックのような伸びやかな発声、ウィスパー、空気を揺さぶるような低音といった様々な声をその場でサンプリングして重ねていく事で抽象的な世界を形作っていた。

ビックリしたので速攻でCDを購入したのだが、CDを聴いて更に驚かされたのは、CDに収録されている声とライヴで聴いた声の乖離の小ささ。CDで聴こえてくるとおりの声なり歌唱法なりをライヴでキッチリ再現できる人は案外少ない。そうでないとダメだというワケではないが、それが出来る人はほぼ無条件に信用できる。私が知る範囲では、彼女とMyles Kennedy(Alter Bridge)ぐらいのものだと思う。

ブルガリアンヴォイスを思わせる神秘性を帯びた、かなりインパクトのある1枚。


ハチスノイト“Kamuy Mintar”

2015/05/23 Sat. 21:07  edit

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Phew「View」 

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Aunt Sallyというバンドでデビューした日本の女性シンガー、Phew(フュー)の2ndソロ。87年の作品。

彼女がロック/ポップスの文脈上、どういう立ち位置なのかイマイチわからない(私はプログレ関連の文献で彼女のことを知ったが、Aunt Sallyについては「日本最初期のパンクバンド」という記述もある)のだが、その原因は彼女の歌唱。一度聴けばわかる。彼女に対抗できるのはかのFlorence Foster Jenkins女史ぐらいしかいない、というぐらいの不安定な音程。スタジオ録音でこれだけ揺れまくる歌ってどうよ?と思わずにはいられない(ボートラのライヴ音源を聴くとさらに物凄いことになっているのがわかる)。

ただ、(こういう形でフォローするのは自らの感性の豊かさをひけらかしているようで実は嫌なのだが)彼女の声からは単なる「歌」を越えた何かが聴き手に突き刺さってくるものを感じる。音程に反して芯の部分は恐ろしく強いというか。友人に聴かせたところ「演劇/芝居的」という感想を得たのだが、有機的な言葉を駆使しながらどこか無機質な歌詞も併せて、いかなる意味においても「衝撃的」であることは保障できる。

Canのメンバーと録音された1st「Phew」(81年)が有名だが、「Phew」でのひたすらシンプルで硬質、かつ陰鬱な世界から一変、春の陽光を思わせる開放的なロック・サウンドを従えた「歌モノ」の要素が強い一枚になっている。でもまあ、バックがどんな音でもヴォーカルが全部持っていきます。強烈。

2007/08/26 Sun. 23:21  edit

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Boom Boom Satellites「On」 

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Boom Boom Satellitesは随分前に姉貴のダンナに薦められたことがあったのだが、周回遅れもいいとこでやっとこさ聴くことができた。ま、私の人生そのものが周回遅れみたいなモンですから。

「やかましいエレクトロニカ」ぐらいの認識で聴き始めたので、1曲目“Kick It Out”のロケンロー感覚(と、プロっぽくない発声のヴォーカル)に少々戸惑ったが、生音のような打ち込みのような、無機質なようなオーガニックなような、そういった矛盾した要素をごくごく自然に同居させたシンプルでストレートなサウンドが生み出すグルーヴ感というのはなるほど強烈。

このアルバムで「ヘッドバンギングしまくりです」というミクシ内のコメントを見かけたが、ヘドバンしたいならもっといいのあるよ聴いていて自然に体が動き出すというのはすごく判る気がする。私が求めていた「やかましさ」の点でも十分合格。

このCD、部屋の整理のために某ブッ○オフへ里子に出したCD約40枚と引き換えに手に入れたもので、個人的満足度が泣く泣く(という程でもないが)手放した40枚分の重みと釣り合うものかどうかは少々微妙なれど「思ったよりも『ロック・バンド』としてのキャラが濃いけど作品を遡るごとにそういった印象も変わってくるのかも知れないからまた機会があれば聴いてみようかな」ぐらいの興味を抱かせるには十分な出来であります。

2007/03/20 Tue. 00:16  edit

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