sora tob sakana「cocoon ep」(2017) 

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この記事の掲載日時点で平均年齢14歳の4人組アイドルユニットによるEP。

「音楽プロデュースを照井順政(ハイスイノナサ、siraph etc)が手掛けており、ポストロックとエレクトロニカを基調にした物語性の強い楽曲と表情豊かでまっすぐなパフォーマンスが唯一無二の世界観を作り出している。」とは公式サイトにある触れ込みだが、リーダー・トラックの“ribbon”を聴いて、奇数拍子を織り込んで暴れまわるリズム隊に唖然茫然。全6曲中3曲が生バンドの演奏で、この“ribbon”もさることながら、“夢の盗賊”での鋭角的なサウンドのギターもなかなかのインパクト。“透明な怪物”はピアノをバックに従えた穏やかな合唱曲といった風情で、ここで一旦トーンダウン、と見せかけてやっぱり鋭角なギターとリズム隊がブリブリ割り込んでくる。面白いなあ、これ。

エレクトロニカ色を強めた残り3曲も込みでなかなかに隙の少ない良作だと思うのだが、こうなるとちょっと気になるのが歌唱のつたなさ。「年端もゆかぬ女の子の歌に何を無粋な」っつー話ではあるんだが、好事家受けからもう一段上にステップアップしようとすると、歌が今のレヴェルでは壁にぶち当たるような気がする。Babymetalが広い層にアピールした理由も、まあ色々あるのだろうけど「歌が人並み外れて上手い」というのは要素の一つとして無視できないと思うのだ。実際、メタル好きではない私の知人(♀)が「Su-Metalちゃんの歌が上手過ぎる」という理由でBabymetalを愛聴していたりするし。

まあそれが技量であれ何であれ「替えの効かない」感は重要、何事も中途半端は良くない。持って生まれた才能に負うところも大きい話なので難しいところはあるかも知れないが、いずれにせよ、さらなる精進を。とはいえ、個人的にはかなり気に入った。アイドルでこれやるかという意外性と完成度の高さ。大変クールである。


sora tob sakana“ribbon”

2017/04/22 Sat. 09:22  edit

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水曜日のカンパネラ「Superman」(2017) 

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曰く「メジャー1stフルアルバム」。10曲入り36分の本作と7曲入り32分の「UMA」(2016)を分けるものが何なのかは判らないが、まああまり面倒くさいことは言いますまい。今回も装丁は凝っていて、ジャケットはCDホルダーと一体化されており、広げるとそれ自体がコムアイのポスター、裏面が歌詞カード、というつくり。

「UMA」が外部のミュージシャンに作曲を委嘱したせいか、ポップさという意味においては若干薄味に感じられたのだが、すべての曲をケンモチヒデフミが手掛けた結果、ヘンな歌詞と端正なサウンド、コムアイのちょっと危なっかしい歌唱(いうても以前に比べればかなり上手くなった)が三位一体となって生み出すいつもの作風に。エキセントリックな方向に振った“チャップリン”“世阿弥”といった曲も入れつつ、全体的には先行シングル「Superkid」収録の“アラジン”“カメハメハ大王”が持っていた享楽的でダンサブルなテイストが貫かれている。

「ジパング」(2015)が持っていた濃厚さは後退しており、インパクトという面ではやや物足りなさがあるが洗練の度合いを増しており、「UMA」をすっ飛ばして「ジパング」の次と考えれば順当な出来かな。きたる武道館単独公演への露払いとして申し分ないのではないかと。


水曜日のカンパネラ“カメハメハ大王”

2017/02/18 Sat. 00:17  edit

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水曜日のカンパネラ「UMA」「Superkid」(2016) 

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メジャーデビュー作となった「UMA」、なんとなくレビューを書く時期を逸したままここまで来てしまったので、新譜が出たタイミングで2枚まとめて紹介。

「UMA」は、一部楽曲の作曲を外部に委嘱しており、特にコムアイが作詞を手掛けたラスト2曲“バク”“クラーケン”が異彩を放っている。“クラーケン”なんて作曲がBrandt Brauer Frickで、あの欝々としたジャーマン・プログレに通ずる硬質なサウンドにコムアイの不器用なヴォーカルが乗っかっていて、興味深い仕上がりになっている。

全体的にも委嘱曲の異質さに引っ張られてか、「ジパング」(2015)のようなミもフタもないキャッチーさはやや後退して、クールな香りが漂う。ほのぼのした空気の“ユニコ”からはコムアイの歌に成長の跡がうかがえる。この曲はいいな。

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11月中はiTunesとApple Musicのみで配信(11/30から他の配信サイトでも配信開始)されるデジタル・オンリーのシングルが「Superkid」。iTunesのみトヨタ・プリウスとのコラボ曲“松尾芭蕉”を含めた全3曲。

こちらは全曲作詞・作曲をケンモチヒデフミが担当しており、ファンク色豊かな“アラジン”、暑苦しさとトロピカルさが同居する“カメハメハ大王”、様々なビートが現れては消える目まぐるしい“松尾芭蕉”と、彼女達らしいアッパーで享楽的なムード満載。上手い、とまではよう言わんけど、コムアイの歌も随分と洗練されてきている。


水曜日のカンパネラ“アラジン”

2016/11/21 Mon. 23:25  edit

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聖飢魔II「荒涼たる新世界/Planet/The Hell」「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ/Goblin's Scale」/デーモン閣下「Demon As Bad Man -D.C.18 Edition-」(2016) 

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まず「荒涼たる新世界/Planet/The Hell」。4月にリリースされた4曲入り(新曲2曲+それらのインストヴァージョン)シングル。

正直大して期待していなかったのだが、タイトル・トラックが哀愁をたたえつつ疾走するクラシカルかつ勇壮ななヘヴィ・メタルで面食らったのである。デーモン閣下のヴォーカルはともかく、演奏もどこかこう、自分がイメージする今の聖飢魔IIの雰囲気と異なる。これでもかと繰り出されるツイン・リードの後のソロからはジェイル及びルークの顔が浮かんでくるけど。

「何だこれ?」

クレジットを見てすべて納得がいった。作詞作曲ダミアン浜田。ここでまさかの創始者(ちなみに現在は高校教師)降臨。だったらこうなるしかない。こういうもの以外になりようがない。なる筈がない。ミッド・テンポの“Planet / The Hell”も含め歌詞についても抜かりなく、タイアップしたアニメの世界観を映し出しつつ聖飢魔IIらしさを失わない巧みなもの。曲調の割に乾いたギターの音が少し気になった(特にタイトル・トラック)が、それ以外に欠点が見当たらない。恐れ入谷の鬼子母神。

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で、「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ/Goblin's Scale」は「荒涼たる~」の2ヶ月後にリリースされたシングル。新曲2曲に“呪いのシャ・ナ・ナ・ナ”の英語版、それらのカラオケ・ヴァージョン含め全6曲収録となっている。

ルーク作曲のタイトル・トラックは映画の主題歌となっており、ほのかにコミカルさの漂うミッド・テンポのシャッフル・ナンバー。ダブルA面扱いの2曲目“Goblin's Scale”はジェイル作曲。アメリカンな埃っぽさをまき散らす疾走ナンバー。

粘り気のあるサウンドが現在の聖飢魔IIの等身大の姿を映し出しているが、個人的な好みからすると、ヒリヒリした空気の「荒涼たる~」の後にこれを聴かされるとちょっと…。ホントは6月に「呪いの~」が出た時に2枚まとめてレビューするつもりだったのをここまで引っ張ってしまったのは「呪いの~」の出来栄えががちょっと厳しいなあ、と思ったからでして。

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オマケ、というワケでもないが、やっとこさ閣下のソロ2作目を入手したので触れておこう。

この2月に再発されるにあたり、シングルのカップリングで収録されていた“Fight For Your Right”(Beastie Boysのカヴァー)を追加の上、曲順を大幅に変更した「D.C.18 Edition」へと装いを新たにしている。

制作陣に井上陽水、尾崎亜美、筒美京平、高見沢俊彦ら豪華メンツを揃えており、メロディは割とキャッチーで親しみやすいものになっている曲が多いように感じるがアレンジには全く統一感がない。これをヴォーカルの力量ひとつで「デーモンのアルバム」として成立させている。

“カツ丼”なんてしょうもないタイトルの曲とか、バブルの残り香が漂う悪乗りテイストが妙に鼻につくので長らく敬遠していたが、まあ、これはこれで面白いものだと思った。聖飢魔IIのメンバーで演奏されたメロウな雰囲気のミッド・ナンバー“Refrain Of Love”は大好き。

2016/08/27 Sat. 00:01  edit

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聖飢魔II「メフィストフェレスの肖像」(1996) 

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このたびの再集結に合わせ、聖飢魔IIがBMGに残したアルバムが昨年8月にリマスターの上、再発されている。個人的には「90年代以降に出た音源の音質がリマスターで劇的に向上することはない」という認識でいるので長らくほったらかしてあったのだが、通算8枚目にあたる「メフィストフェレスの肖像」については、劣悪と評価されがちな音質が今回のリマスターで随分良くなったとアマゾンでレビューされていたので、ならばと思い購入することに。

結論から言うと、そんなに変わってない。ベースやバスドラの輪郭がクッキリしたかな、とは思うけど、言われなければわからないだろう。「愛車に標準装備のカーステが一番マトモ」という悲惨なオーディオ環境で不満が出ない程度の耳の持ち主による論評、という注釈付きではあるが。というか、そもそも論としてこのアルバムの音質が悪いと思ったことがない。そりゃ次作「News」(1997)や最終作「Living Legend」(1999)は恐ろしく強靭なサウンドを得ているが、ダミアン浜田やジェイル大橋といった元メンバーの楽曲が採り上げられ、1st「悪魔が来たりてヘヴィメタる」(1985)から4th「Big Time Changes」(1987)、あるいはその後のシングル「Stainless Night」(1988)までの作風に立ち返った、湿り気のあるクラシカルなハード・ロック~ヘヴィ・メタルである今作にはむしろこの音が合っているとすら思っている次第でして。確かに「良い」とも思わないけど。

肝心の楽曲は非常に充実している。この作品の方向性を見事すぎるほどに示唆しているオープナー“地獄の皇太子は二度死ぬ”やダミアンワールド全開の“凍てついた街”“メフィストフェレスの肖像”、聖飢魔IIでは珍しい地味目ミッド・バラード“サロメは還って殺意をしるし”、ヒリヒリした疾走感が印象的な“Holy Blood”等々、佳曲揃い。当時の聖飢魔IIを取り巻く状況があまりにも悪かったことや、彼らにしては珍しく過去の焼き直し臭が漂う作風のせいか、メンバー間での評価は必ずしも高いとは言えないようだが、当時聖飢魔IIの名前を出すことがタブーに近かった某ワールドヘビーエストヘビーメタルマガジンの記者が同誌コラム欄で採り上げてポジティヴな評価を与えており、私もこの作品は随分と聴き込んだ。名作だと思いますけどね。リアルタイムでは時代にマッチしているとは言い難かった、端正な良質さを備えたオーソドックスな音楽性は、時を経て多様性が極まった今こそ輝く。ときたまテレビで歌うデーモン閣下を見て「この悪魔、歌上手いじゃないか!」と驚いた若人の皆様、これを機に聖飢魔IIを一枚、いかがでしょうか。

2016/03/20 Sun. 23:24  edit

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