amazarashi「Message Bottle」(2017) 

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amazarashi、初のベスト・アルバム。インディーズ時代も含め、これまでリリースされたシングル/EP/アルバムから満遍なく選ばれており、私のようなにわかファンにはありがたいつくり。昔だったら頑張って全作品集めたと思うんだが、旧譜に手を出す元気というか気合というか、おじちゃんそういうのがもうないんだよなあ。

曲はリリースされた時系列に並んでいるので、音の変遷がわかりやすい…と言ってもメジャー系(ソニー)からのリリースとなった3曲目“夏を待っていました”から多重ヴォーカルや多彩で厚みのあるアレンジが加わり一気に洗練の度合いが増したかな、という程度。インディーズ時代に“つじつま合わせに生まれた僕等”が生み出されているワケで、絶妙なタイミングで放たれる強いインパクトを持つ言葉を、朴訥な歌唱で歌い上げる音楽性というかセンスは初期の時点で確立していると言っていいのだろう。

このベスト盤が初出となる“ヒーロー”と“つじつま合わせに生まれた僕等”のリレコーディング版を含む26曲が収録されているが、サビメロがどキャッチーなアップテンポの“スターライト”が一番好きかな。この曲は名曲だと思う。2月にリリースされたシングル“命にふさわしい”は悲愴感に満ちたシリアスでドラマティックなナンバー。こういうの、大好き。あと“ライフイズビューティフル”が収録されているのが個人的には嬉しい。「歌詞を見ながら聴きたい曲が、いまいくつあるだろう」というのがこのユニットのキャッチコピーだが、こういうしんみりとした曲は結構ハマる。


amazarashi“命にふさわしい”

2017/04/07 Fri. 21:00  edit

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amazarashi「世界収束二一一六」(2016) 

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3rdフル。彼らのことを知ってからもう結構経つのだがアルバムを購入したのは初めてである。

先日観たライヴ、この新作に収録されている曲のうち半分ぐらいは演奏されただろうか。この時点で新作は発売されておらず、初見がライヴだったからか、はじめはスピーカーから流れてくるサウンドがやけにこぢんまりとしているように感じられた。それに引きずられて楽曲も地味かなあ、と思ってしまった…いや、実際ちょっと地味かも知れないけど、聴き込むごとに引き込まれていくスルメアルバムに仕上がっている。

現代を象徴するキーワードをちりばめた“タクシードライバー”と、逆に時代に拘束されない普遍的な閉塞感を描いた“多数決”の冒頭2曲がとても良い。字余りを恐れぬ奔放なようでいてよく考えられた歌詞もネガティヴ一辺倒というワケではなく、“ライフイズビューティフル”のような、古い仲間との楽しい一夜を描いた曲もあって、シリアスだしどこか刹那的ではあるが極端な息苦しさが始終漂っているワケではない。

何かと歌詞の方に目が向きがちだが、ドラマチックかつ多彩な楽曲及びアレンジのオッサンホイホイぶりもなかなかのもので、青臭さや気恥ずかしさを感じることなく聴ける。“花は誰かの死体に咲く”の間奏でのベースラインや、ラスト近くのサビでバックに流れるピアノのフレーズが好きだ。衝動性を重んじているようでその実とてもウェルメイドな佳作。


amazarashi“多数決”

2016/03/13 Sun. 00:44  edit

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amazarashi「スピードと摩擦」(2015) 

speed and friction

青森出身の2人組ユニットの2ndシングル。

3年ほど前にスーパーリスナークラブで採り上げられていたのを機に“つじつま合わせに生まれた僕等”をYouTubeで聴いておったまげたんだが、その後彼らの動向がこちらに引っかかってこないまま(昨年アルバムも出していたんですね)彼らの存在は記憶の奥底に埋もれていた。最近、MTVか何かで“スピードと摩擦”のPVを観て彼らのことを思い出し、CDを購入。

時々さだまさしっぽくなる朴訥なVoの声質/歌い回しや、語感重視でありながら聴き手に訴えかけてくる切れ味鋭い歌詞が独特。洋楽を経由している感じが全くしないが、他にこういうタイプの人って今のシーンにいるんだろうか。譜割りが昔のフォーク・ミュージック的でもある。一方でアレンジは多彩かつ洗練されていて、楽曲はドラマティックに仕上がっている。

気だるいラップ調の小品“風邪”、メッセージ性の強い“名前”といった他の収録曲も良い。今回もおったまげたんで、来年2月のライヴを観に行くことにした。他の曲、全然知らないけど、楽しみだなあ。


amazarashi“スピードと摩擦”

2015/10/30 Fri. 22:01  edit

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茜「茜道中譚/Journey」(2014) 

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ゲーム・ミュージックの世界で活躍している小林早織(Key,Pf,etc.)と高橋由美子(Vo-女優の高橋由美子は同名異人)のユニット、茜の2nd。

Kristi Stassinopoulou「Taxidoscopio」(2006)やSzalóki Ági & Borlai Gergö「Kishúg」(2011)、あるいはAnna Pingina「Moy」(2010)「Ahimsa」(2013)といった、トラッド/フォーク・ミュージックとロック/エレクトロニック・ミュージックのハイブリッドが大好物の1つである私にとって「日本民謡+エレクトロ」は「絶対好きになれるはずだし誰かがやっているに違いないけどなかなかアンテナに引っかかってこないもの」だったが、やっとこさ見つかった。

伸びやかなメロディとヴァイオリン、トライバルなリズムが渾然一体となった“螺旋の森”、繊細なタッチの“ピリカ”“天竺道中譚”等々、楽曲の出来の良さがまず印象に残る。日本民謡をアレンジした曲も3曲収録されている。ダンス/エレクトロニカ色を強調してハードな装いを纏った“Avalon(Kozilek Remix)”(“りんごの島”のリミックス)や、ストリングスを配して荘厳になった“Pirika(Takahiro Izutani Remix)”といった、最後の方にボートラ的に置かれたリミックスものがより大仰な感じで良かった。

民謡調のコブシが効きまくった高橋のヴォーカルと重厚な演奏が織り成すエレクトロ・シンフォニック一大絵巻とでも申しましょうか。とにかく濃い。前述の諸外国の作品と比べても、まあ手法が似通っていても着地点が全く異なるので直接の比較は無意味だが、その濃ゆさは圧倒的。かなり良い。

2015/01/11 Sun. 23:29  edit

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今沢カゲロウ「Spin, spin...」(2014) 

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ベースニンジャの17枚目。今回はピアノ・トリオ編成での録音と謳われており、今沢以外のメンバーはTakuto Kudo(Key)、Yoshiyuki Sakamoto(Programming, Recording, Mixing & Mastering)となっている。

ピアノ・トリオという言葉から「ジャズをやってるのかな」と連想する方が多いかも知れないが、ジャズはジャズでもニュー・ジャズとかフューチャー・ジャズとか呼ばれる類の音である。エレクトロニックでクール、かつ、全体的に非常に抑制の効いた音世界が繰り広げられている。トリオと言いつつベースは当たり前のようにオーヴァーダブを施されているが、リズム・トラックを重ね録りするような従来の手法からは離れ、別々のフレーズがお互いに溶け込みあいながら楽曲の一要素を構成しているような、そんな印象を受ける。

15th「Superlight」(2012)のレビューで「音の隙間であるとか、あるいは奥行きを強く意識させる仕上がり」と書いたが、この作品では遂に「音そのものを聴かせることよりも、音が作り出す空間を感じさせることに注力した作風」へと辿り着いた感がある。音の「間」に即興演奏由来のものを感じさせる部分は多く、昨年あたりから行っているBASSNINJA Wired(公式サイトに曰く「世界各地の表現者との瞬間作曲プロジェクト」)からのフィードバックが強く現れているのかも知れない。作品全体を貫く程よい緊張感が心地よい快作。


アルバムのトレイラー。

2014/09/26 Fri. 21:42  edit

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